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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
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第143話 魔水晶

 ラビットAが狩りに戻った後も、ちらほらと仲間が戦果を報告しに戻ってきた。


「……これ、俺がトドメを刺せと?」


 ビーナイトが頷く。

 以前のように右に移動するんじゃなく、人型っぽい骨格になったので、首が使えるようになっていた。

 そのビーナイトだが、ロック鳥を生け捕ってきた。


 3人一緒だとはいえ、1メートルにも満たない身体で全長10メートルくらいありそうな鳥を運んでいる光景は、唖然としてしまった。


「というか、ロック鳥ってこんなに大きかったんだな」


 デカいと思っていたソニックイーグルよりもさらに倍以上大きい。

 これなら乗れそうではあるが、流石にデカすぎるよなぁ。

 ソニックイーグルか、それよりも小さいくらいで丁度いい。


「ほら、せっかくナード達が生け捕りにしてきたんだから、早く倒しちゃわないと!」


 ビーナイトの3人はそれぞれナード、ニード、ネードと名付けた。

 この3人が生け捕りにした理由は分かる。

 俺がトドメを刺すことにより、カードモンスターにした際に、声を発することが出来るようになるからだろう。


 正直モンスターといえども、身動きができない状態で止めを刺すだけってのは気が引けるが……俺は申し訳ないと思いながらベレッタで急所を撃ち抜いた。



 ****


「ピィィィィ!!」


 甲高い鳴き声が辺り一面に響き渡る。

 非常にうるさいが、初めて声をあげるんだから仕方がない。


 ――――

 ロック鳥

 レア度:☆☆

 固有スキル:怪音、石化攻撃

 個別スキル:脚力強化


 巨大な怪鳥。

 最も巨大な鳥類モンスター。

 悲鳴にも似た鳴き声は、聴いたものを恐怖に陥れ、再起不能にする。

 ――――


 うん。

 俺のモンスターだから敵意はないが、敵意があったら、今の鳴き声でどうにかなりそうなのはよく分かる。


「よし、無事に声が出せるモンスターになったようだな」

「ピィ」


 ロック鳥は小さめに頷く。

 うん。この程度なら全然問題ない。


「じゃあ早速働いてもらいたいが、大丈夫か?」

「ピィ」


 うん。いい子だ。

 このロック鳥に他のモンスターの場所を教えてもらう。

 それが一番効率がいいもんな。

 もちろん案内を受けるのは俺ではなくナード達ビーナイト。

 さて、明日の朝までにどれだけ戦果を上げてくれるかな。



 ****


「シュートはね。もっとアタイに感謝してもいいと思うの!」


「うう……まったく面目ない」


 日頃から感謝はしているが、今回は特に頭が上がらない。

 何故なら仲間たちが倒してきたモンスター達を、俺が寝落ちしている間に、ナビ子が代理人スキルを使用して、カード化と分解をやってくれていた。

 俺が起きた時にはすでに全員が帰ってきていて、処理も全て終わっていた。


「じゃあ時間もないし、さっさと確認するよ」


 今日中にブルーム山付近の街までたどり着かなくてはならない。

 俺は急いで戦果を確認することにした。


 ――――

 ワイルドホーク

 レア度:☆

 固有スキル:凶暴化、鷹の目


 鳥系下級モンスター。

 鷹がモンスター化した存在。

 鋭い目でどんな獲物も見逃さない。

 ――――

 ――――

 ワイルドイーグル

 レア度:☆

 固有スキル:凶暴化、鉤爪


 鳥系下級モンスター。

 鷲がモンスター化した存在。

 鋭い爪で自分より巨体のモンスターすら獲物として捕食する。

 ――――

 ――――

 ワイルドファルコン

 レア度:☆

 固有スキル:凶暴化、風読み


 鳥系下級モンスター。

 隼がモンスター化した存在。

 鳥類の中でもトップクラスのスピードで、どんな獲物も逃さない。

 ――――

 ――――

 ワイルドバット

 レア度:☆

 固有スキル:凶暴化、超音波


 コウモリ系下級モンスター。

 コウモリがモンスター化した存在。

 超音波を放つことにより、暗闇でも獲物を見つけることが出来る。

 ――――


 まずは定番のワイルド系モンスター。

 予想通り、猛禽類モンスターが勢揃いした。

 ……1種類だけ、別のモンスターもいるようだけど。


 ――――

 ナイトホーク

 レア度:☆☆

 固有スキル:鷹の目、夜目

 個別スキル:月の光


 鳥系モンスター。

 夜行性の鷹モンスター。

 夜でもその目は獲物を見逃さない。

 ――――


 おそらくワイルドホークの進化系だろう。

 固有スキルも持っているようだ。


 ――――

 ジャイアントバット

 レア度:☆☆

 固有スキル:超音波、感覚妨害

 個別スキル:気配察知


 コウモリ系モンスター。

 巨体から繰り出される超音波は獲物の感覚を狂わせる。

 ――――

 ――――

 バンパイアバット

 レア度:☆☆☆

 固有スキル:超音波、吸血、再生

 個別スキル:眷属化


 コウモリ系中級モンスター。

 吸血することにより、獲物から生命エネルギーを吸い取る。

 ――――

 ――――

 ヒュプノスバット

 レア度:☆☆☆

 固有スキル:超音波、感覚破壊、催眠


 コウモリ系中級モンスター。

 感覚を狂わすだけでなく、惑わし同士討ちをさせる。

 ――――


「何でこんなにコウモリだけ種類が多いんだよ!!」


 いや、原因は分かっている。

 ラビットAが張り切った結果なのだろう。

 しかし……本当にどこから見つけてきたのやら。


「あのね。メーブに聞いたけど、隠れた場所に洞窟があってね。そこで捕まえてきたみたいなの」


「へぇ。メーブも一緒にいたのか」


「うん。メーブが暗いところを探していたら、ラビットAが洞窟に案内してくれたって」


 ラビットAはどうやってその洞窟を……と思ったけど、ラビットAは嗅覚のスキルを持っているから、探しものは得意だったな。

 んで、洞窟でコウモリ狩りをしていたと。

 メーブに詳しい話を聞いてみたいけど、メーブは朝が苦手だし、ゆっくり話を聞く時間はないもんなぁ。


「あのね。そこでメーブがこれを見つけてきたんだけど……」


 ナビ子がアイテム図鑑を開く。


 ――――

 魔水晶【鉱石】レア度:☆☆☆☆


 魔力が込められた不思議な水晶。

 周囲の魔力を吸収する。

 魔素濃度が高く、光の届かない場所でしか見つからない。

 ――――


「えっ、なにこれ凄い」


 星4の素材なんて、アンブロシアの枝くらいしか知らないぞ。

 しかも鉱石……色々と使えそうだ。


「これってどれくらいあるんだ?」


「洞窟には、いっぱいあったみたいだけど、カードはこれだけしかないよ」


「えっ!? なんで……」


 いっぱいあったのなら、たくさん持って帰ってほしかったのに……。


「ほら、説明文にもあるでしょ。周囲の魔力を吸収するって。触るだけで魔力が無くなるから、持って帰れなかったんだって。これだって、メーブが何とか頑張って一つだけ持ち帰ったんだよ」


 カードモンスターは魔力の塊みたいな存在だから、近寄ることも困難だったようだ。


「だから洞窟にもモンスターはコウモリ以外いなかったんだって。普通だったら色々いてもおかしくないのにね」


 逆になんでコウモリは無事なんだ?

 それに獲物もいなかったらコウモリだって困るだろうに。


「今からその洞窟の調査は……」


「流石にそんな時間はないよ」


 だよなぁ。

 でも魔水晶はもっと欲しい。

 多分俺が行けば……というより、その場でカードにすれば簡単に手に入れられるはずだ。


「……仕方がない。帰りにまた来ることにしよう」


 洞窟は隠れた場所にあるって言うし、こんな場所に冒険者も来ないだろうから、後ででも十分に回収できるだろう。

 ナビ子にこの場所を覚えてもらって、俺はこの山を後にした。

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