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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
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第142話 鳥狩り

 コンテナをカードにした後で、もう一度ソニックイーグルに飛んでもらい、最寄りの山までやって来た。

 ソニックイーグルによると、この山にはロック鳥がいるらしい。

 ロック鳥といえば、鳥モンスターの定番だ。

 それに、他の鳥モンスターもいるようだし、稼ぐにはもってこいの場所だ。


 俺はカードモンスターを召喚する。

 召喚するのは先日進化した古参。

 そして、保留となった古参。


 それに加えて進化していなくなった種族。

 ジャッカロープやラビットコーン、殺人ワスプやデスタランチュラなどを下から新たに進化させた新参。


 とりあえず星3以上の仲間は全員呼び出した。


「よし! 今から全員で鳥狩りだ。鳥モンスターで合成しようと思ってた奴らは自分の獲物は自分で見つけてくるんだぞ」

「きゅい!」


 俺の言葉にラビットAが元気に返事をする。

 なんでラビットAが返事をするんですかねぇ?

 もしかして、空を飛びたいのか?


「言っとくが、ラビットAの合成は今回ないからな」

「きゅぴぇ!?」


 ラビットAが驚くが……何故驚くのかこっちが聞きたいくらいだ。


「お前は進化したばかりじゃないか。今回の合成は、前回合成しなかった古参や新参が優先だ」

「きゅート! ケチ!」


 ケチってお前……。


「そんなこと言ったらそのステッキ取り上げるぞ」

「きゅめぇ!?」


 ラビットAは嫌だとばかりにステッキを後ろに隠す。


「大体、せっかく可愛い服も作ったんだし、合成して着られなくなったら勿体ないだろ」

「きゅむぅ」


 確かにとラビットAが頷く。


「だから今回は手柄を手に入れることを優先しろ。そしたら別のご褒美をやる」

「きゅい! ニンジン!」


 人型になってもニンジンは好物のままだ。

 ということで、前回進化した古参は手柄に応じて褒美を、前回進化してない古参と新参は合成したい鳥モンスターを自分で手に入れるように言った。

 また、戦闘能力のないモンスターに関しては、採取などをお願いした。


「よし全員、明日の朝までには戻ってこいよ!」

「きゅっぱーつ!!」


 ラビットAの掛け声でそれぞれが思い思いの方向へ駆け出す。


「……この山からモンスターがいなくなるのも時間の問題ね」


 ナビ子がしみじみと呟く。

 大袈裟でもなんでもなく、それが事実になりそうだから怖いんだよなぁ。


「でも、また魔素から生まれてくるんだろ?」


 モンスターは魔石を所持しているため、周囲の魔素を消費しながら生きている。

 だから、モンスターがいなくなったら、魔素が消費されずに溜まっていく。

 魔素が一定量溜まったらモンスターが生まれる。

 まさにゲームのリポップのようなシステムになっている。

 狩りつくして、山の生態系が崩れるとか考える必要がない。


「シュートも変わったねぇ」


 ナビ子がしみじみと呟く。

 俺は変わったか?

 ……う~ん。よく分からんな。


「んで? 皆を働かせている間、シュートは何するの?」


「俺はここで待機してるよ」


「はぁ? 仲間が戦ってるのにひとりサボり? 普通率先して狩るべきじゃない?」


「いいんだよ。それに元々俺は戦闘向きじゃない」


「でもさでもさ。今も毎日増強剤は飲んでるし、日課の銃の訓練もしてるでしょ。多分、今のシュートは自分が思っているよりも、すごく強くなってるよ」


 確かに増強剤は飲んでるし、銃の訓練はしているけど……増強剤は元の状態から1%の増量だろ?

 元が元だからはたかがしれている。

 それに、銃の訓練だって日課だからしているけど、銃の威力じゃモンスターは倒せないしなぁ。

 俺もそろそろ新しい武器を手にするときがきたのかもしれない。


「まぁ俺が強くなったか分からないけど、別にサボるわけじゃなく、万が一に備えて待機しているんだ」


 この万が一は、別に仲間の心配をしているわけではない。

 ウチの子が問題を起こした時にすぐに対処できるようにだ。


 もしウチの子が、もし他の人間に見つかったら……まぁこんな辺鄙な山にいるのは冒険者くらいだろうが。

 だがその冒険者に見つかったら大事だ。

 なにせ、ウチの子達は普通には出会えないようなレアな種族ばかりだ。

 絶対に襲われるに決まっている。


 ただ問題は襲われることではない。

 ウチの子が返り討ちにできる実力を持っていることが問題なんだ。


 一応、全員に人間を襲わないことは厳命した。

 冒険者に遭遇したらすぐに逃げろと。


「ってことで、俺まで動いたら大変なんだよ」


「屁理屈ばっかり。冒険者なんて、こんな場所になんか来ないよ」


 まぁそうなんだけどさ。

 でも……のんびり行こうよ。



 ****


「きゅート! きゅだいまっ!」


 出発して1時間も経たないうちに、ラビットAが戻ってきた。


「早いな……もう帰ってきたのか」


「きゅい! これっ!」


 ラビットAが魔石を服のポケットから魔石を取り出す。


「……魔石だけ? 死体や他の素材は?」


「きゅもつ運びがほしーの!」


 きゅもつ運び……ああ、荷物運びか。

 確かにそれは失念してたな。


「じゃあアルミラージ達も召喚するか」


 ついでに台車も用意してやろう。


「それでその魔石は何の魔石だ?」

「きゅふぅ」


 ドヤ顔のラビットAから魔石を受け取る。

 自信たっぷりの様子から、どうやら大物の魔石のモンスターのようだ。

 ……小さいのが気になるけど。

 俺は早速この魔石をカードにする。


 ――――

 ワイルドバットの魔石【素材】レア度:☆


 ワイルドバットの魔石。

 ――――


「なんでコウモリなんだよ!?」


 しかもワイルドバットって、コウモリがモンスター化しただけの存在じゃないか!

 そもそもコウモリって鳥なのか?


「きゅぅぅ……」


 ラビットAの耳が萎れる。

 さっきのドヤ顔といい、褒められると思ってたんだろうなぁ。

 ……ちょっと悪い気がしてきた。


「え~っと、別に駄目じゃないから、この調子で頼むな」

「きゅい!」


 俺が頭を撫でながら言うと、機嫌を直したラビットAがアルミラージ達を引き連れて戻っていった。


 ふぅ。本当に世話の焼ける。


「ねぇシュート。コウモリって、普段洞窟とか、暗いところにしかいないよね? ラビットAってどこでコウモリの魔石を見つけてきたんだろ?」


 そう言われれば確かにそうだ。

 この山では普通の鳥モンスターよりも、ワイルドバットを探すほうが難しそうだ。

 ……本当に何しているんだ?

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