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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第3章 ライラネートでの日常
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第125話 昆虫進化

 ウサギの次は蜂と蜘蛛。

 コイツらは初期からずっと一緒だったもんな。


 まずは殺人ワスプが3匹。

 3匹とも同種進化を希望した。


 ――――

 ビーナイト

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:騎士の心得、槍術、統率、毒変換

 個別スキル:三位一体、万能毒


 女王に選ばれし騎士。

 騎士の名を持つことにより毒を捨てた。

 身体能力だけなら、あらゆる蜂モンスターの中でも最強の存在。

 ――――


「うおおお! かっちょええ!!」

「しゅ、シュート。どうしよう。すごくカッコいいよ!」


 俺とナビ子は大興奮だ。

 生まれたのは3匹とも同じ種族で同じスキル構成。


 合成で進化したビーナイトは、殺人ワスプ時よりも一回り小さいが、今までと姿が全く違った。

 擬人化……とは少し違う。人間のような顔の作りでもないし、手足も肉がついているわけではない。

 だけど、全体的な身体の作りが人型っぽい。

 頭、胸、腹の昆虫の体型をしていないのだ。

 蜂が二足歩行で立てる蜂人間のような感じか?


 まぁこれだけなら気持ち悪い蜂の化け物なのだが、そうじゃない。

 見た目が本当に格好いいのだ。

 その一番の要因は鎧。

 外骨格が鎧を装備しているように見えるのだ。

 そして槍。手がドリル……というか、針になっており、槍を持っているように見える。

 まさに蜂の騎士に相応しい。


 肝心のスキルは、騎士の心得、槍術、統率、毒変換。

 槍術と統率は知っているからいいとして、騎士の心得と毒変換?


「騎士の心得と毒変換ってどんなスキルだ?」


 攻撃の心得って似たようなスキルはホブAが所持している。

 攻撃する際に、身体能力に補正があるスキルのはずだ。

 しかし……騎士?


「騎士の心得は分からないけど、心得系スキルは条件で能力アップするスキルだよ。そうなると、騎士っぽい行動で能力アップだろうね。それから毒変換の方は、身体に有毒なものを無害なものに変えるスキルだね」


 なるほど。

 毒変換は毒無効みたいなものか。

 なら最初から無効化する方が強くね?


「つまり毒無効の劣化ってことか」


「何言ってんのさ。どちらかと言えば完全上位だよ」


 だがそれをナビ子は否定する。


「でも……変換されるとはいえ、一度は食らっちゃうんだろ?」


「食らうと言っても一瞬だし……これは自分だけじゃなくて、対象を選べるはずだよ。しかも変換だから、無効にするんじゃなくて、魔力やエネルギー、身体能力強化に変換できるはず」


「つまり……毒を食らったらパワーアップするって解釈でいい?」


 しかも、自分だけじゃなく誰でもいい。


「そんな感じ。まぁ固有スキルになってるのは、今まで持ってた自分の毒をパワーアップに使うからだろうね」


 そういえば、説明文には毒を捨てたって書いてあったな。

 毒を使うなんて騎士道に反するもんな。

 捨てた毒をパワーアップに使う……って!?


「毒、捨ててないじゃん」


 確かに固有スキルから毒はなくなったけど、個別スキルに思いっきり残ってる。

 しかも、万能毒って……毒もパワーアップしてるし。

 それに三位一体も残ってる。

 騎士の心得――騎士道ってさ、正々堂々1対1で戦うとかそんなんじゃないの?

 思いっきり3匹で戦おうとしてるじゃん。


「なんか……ずいぶんと矛盾した存在だな」


 多分、普通に進化したらこんなことにはならなかっただろう。

 合成のスキル継承で、こんな歪な存在になってしまった。


「そこは逆に考えてみてよ。正々堂々でも、そうじゃなくても、どっちも強いってことだよ」


 ……それで本当にいいのか?

 まぁ今さら言っても仕方がないことではあるか。


 俺は次のモンスターに移ることにした。

 次はサイレントビーだ。

 俺のモンスターの中で一番始めに星3になって以来、ずっと活躍してくれているモンスターだ。

 街でもよく護衛に連れていく。

 姿を隠せるから、護衛にピッタリのモンスターだ。

 サイレントビーが選んだのは同じくサイレントビー。

 単純に上位種進化を狙っているようだ。


 ――――

 シャドービー

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:影移動、隠密、消音、マヒ攻撃

 個別スキル:闇の支配者


 キラービーの特殊個体。

 通称暗殺蜂。

 完全に気配を消して確実に獲物を仕留める。

 影に潜ることができ、影を通じて移動することが可能となる。

 影を移動中は、神眼系スキル以外では見破ることはできない。

 ――――


 説明文から察するに、サイレントビーの進化個体ではなく、あくまでもキラービーの特殊個体らしい。

 今まででも隠密行動に長けてたが、影に隠れることで、さらに隠密行動に拍車がかかる。

 以前は看破で見破られたけど、今回は看破でも見破れそうにない。

 唯一見破られるのが神眼系スキル。

 ……神眼スキルは知らないが、眼ってことは、もしかして鑑識眼とか観察眼とか?

 モンスターではマヒの魔眼とかあったけど……

 このあたりのスキルは、研究者のアザレアが詳しいかな。

 そしてもうひとつ。


「……闇の支配者ってのが気になるな」


「聞いたことないけど……また上位種への進化スキルじゃない?」


 さっきの威光みたいにか。

 ……その可能性はあるな。

 更に進化もできそうだが、シャドービーはこれ以上進化する気はないようだ。

 進化したら影移動がなくなる可能性があるし、しばらくは現状を楽しみたいってとこだろう。


 残りの古参蜂は、クイーンホーネットにクイーンビー。

 それからスイートアピスだな。


 だが、クイーンビーとスイートアピスは進化を断った。

 クイーンビーは感覚共有という唯一無二のスキルを持っている。

 クイーンホーネットは持ってないことを考えると、進化で無くなってしまう可能性がある。

 だからかもしれないが、進化をする気はないらしい。

 スイートアピスに関しても現状に満足しているらしく、進化する気はないようだ。

 まぁ2匹とも戦闘要員じゃないし、そのままがいいなら俺が何か言うことではない。


 残ったクイーンホーネットは進化するつもりのようだ。

 そしてクイーンホーネットが選んだのは……クイーンアントだった。

 同じクイーン同士の合成か。

 少し勿体ない気もするが、試してみたい気もする。


 ――――

 インセクトクイーン

 レア度:☆☆☆☆☆

 固有スキル:女王の威厳、女王の号令、女王のベール、支配の魔眼、インセクト召喚

 個別スキル:魔の素質


 すべての昆虫を統べる女王。

 女王がスウォームを使えば、跡には何も残らない。

 ――――


 またもや星5。

 しかも、かなりスゴい。

 蜂や蟻だけでなく、全ての昆虫の女王ってことだろ。

 だけど……説明文が少なすぎじゃね?


「スウォームってなんなん?」


 スキルの欄にもないし……どこから出てきた言葉なんだ?


「さぁ?」


 ナビ子にも分からないらしい。

 全く……頼りにならないナビゲーションだな。


「まぁスウォームの意味から、インセクト召喚ってことは予想がつくけどね」


「インセクト召喚……か。昆虫を召喚するんだろうけど、どうなるんだ?」


 試してみて……この地下室が昆虫でいっぱいになるのは嫌だな。

 それに何も残らないってのは怖すぎる。

 このスキルの検証も後日だな。


 さて、蜂は終了だから、続いて蜘蛛。


 まずはデスタラことデスタランチュラ。

 デスタランチュラは3匹いるが……そのうち2匹が互いの合成を望んだ。

 ……もしかして番とかだったのかな?

 というか、そうなるともう1匹が可哀想なんだが。

 そのもう1匹が選んだのは、ゴブリンウィッチだった。


「おまっ……流石にウィッチは駄目だ。俺が許さん」

「きゅきゅっ!!」


 俺とラビットAが同時に否定する。

 いくら互いを尊重するって言ってもな。

 というか、ウィッチが困ってるし。

 了承してないじゃん。

 ったく、少しでも可哀想とか思って損した気分だ。


「……というか、何故ラビットAまで一緒になって怒ってるんだ?」

「きゅっ……きゅっきゅきゅー」


 ラビットAが口笛を吹くような感じで誤魔化す。

 ……まさかコイツもウィッチを狙ってたんじゃなかろうな。


「言っておくが、ラビットAにもウィッチは渡さんぞ」

「きゅぴぇ!?」


 どうやら図星のようだ。

 だが、どんだけ文句を言おうが、ウィッチだけは渡さん。

 今からでも精々新しい相手を探すんだな。

 というか、アイツは何になりたいんだ?


 まぁ今はラビットAよりもデスタランチュラだ。

 ……蜘蛛と人型の女モンスターか。

 ちょっと期待しちゃうじゃないか!


「え~っと、ゴブリナの中で、ウィッチになった後で、デスタラと合成してもいいって奴はいるか?」


 俺は何体かのゴブリナを召喚して聞いてみた。

 すると、いくつか手が上がる。

 意外と需要があるんだな。

 デスタランチュラが新しい候補を探している間に、リア充の方の合成を行う。


 ――――

 土蜘蛛

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:地の極意、硬質化、万能糸

 個別スキル:恐怖の魔眼、気配察知


 蜘蛛系上級モンスター。

 巨大な大蜘蛛。

 その巨体は大地を揺るがし、長く強靱な脚はすべてを貫く。

 ――――


「デカっ!? 土蜘蛛でっか!?」

「うわぁ……おっきいね」


 いや、マジでデカい。

 胴体だけでも乗用車くらいの大きさがある。

 それに長い脚。

 下手すれば俺なんか一呑みにされそうだ。


 というか、今度は土蜘蛛か。

 日本妖怪だよな?

 本当、バラエティーに富んでるな。


 と、デスタランチュラがゴブリナを連れて戻ってくる。

 そのゴブリナと魔法を合成させて、新たなウィッチを。

 そのウィッチとデスタランチュラを合成。


 ――――

 アラクネ

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:魅了の魔眼、万能糸、器用

 個別スキル:待ち伏せ


 上半身が女性、下半身が蜘蛛の魔族。

 妖艶な姿で男を誘惑し、罠の張り巡らされた巣へと誘導する。

 捕らえた後は、精を吸い尽くされ、食糧として保管される。

 ――――


「見ちゃだめー!!」


 召喚した瞬間、ナビ子が俺の顔に体当たりをぶちかます。


「ちょっ!? 何するんだよ」

「アラクネが裸なの! 誰か早く……ウィッチ! 何でもいいから着る物用意して!」


 裸……って。流石に女性の姿でも、下半身が蜘蛛の姿なら欲情しないっての。

 まぁ確かに男に見られたら嫌だろうから、しばらくは大人しくするけど。

 ……息苦しい。


「……もういいよ」


 ナビ子が俺の顔から離れる。

 そしてアラクネを見る。


「うおっめっちゃ美人やん」


 色白でウェーブのかかった美しい銀髪。

 上着はどうやら俺のシャツを着せたようだが、スタイルもかなり良さそうだ。

 う~ん。これなら裸を見たかったかも。


「シュートさいてー」


 どうやら俺が考えている気配を察知したようで、ナビ子の冷たい視線を感じる。


「男ってそんなんだから、食べられちゃうんだよ」


 アラクネの説明文をもう一度確認する。

 男を誘惑して捕まえた後に精を搾り取られ、最後に喰われる。

 いろんな意味で、肉食なモンスターだ。

 ……俺も気をつけた方がいいのかな?


 とりあえず、カードモンスターは飢えることもないし、エネルギー補充もカードでできるから、男を襲うのは禁止ってことで厳命した。


「よ、よし。次にいこう」


 あまり長いことアラクネに構っているとナビ子が煩そうだから、次へいく。


 蜘蛛の最後はデスシックル。

 だが、デスシックルは辞退した。

 どうやら合成相手として、仲間じゃなく武器の方を探していたが、いいのが見つからなかったようだ。

 武器と合成したいってのは新しいよな。


「この子は手がカマキリみたいだから、鎌系の武器が欲しかったんじゃない?」


 なるほど。確かに鎌の武器は用意していない。

 今度とっておきの武器を用意してやろうかな。


 順番的にいうと次は蝶だけど……妖精は目玉だし、先に蟻を終わらせようかな。


 クイーンアントはインセクトクイーンになってしまったから、残るはストーン・アントとアシッド・アントか。


 こちらは2匹とも同種合成を選んだ。


 ――――

 アイアン・アント

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:鉄化、状態異常無効、斬撃耐性、射突耐性

 個別スキル:身体能力強化


 蟻系上級モンスター。

 自身の身体を鉄のように硬くすることができる。

 最低限鉄よりも強力な武器でなければ傷ひとつ付けることは出来ない。

 また、ストーン・アントと違い、鉄化状態では燃やすことすら不可能だ。

 アイアン・アントを倒すには、鉄よりも硬いハンマー等で砕くのが一番だろう。

 ――――


 ――――

 イビル・アント

 レア度:☆☆☆☆


 固有スキル:呪いの魔眼、闇の覚醒、頑丈アゴ、状態異常攻撃

 個別スキル:幸運


 蟻系上級モンスター。

 身体全体が呪われており、触れるだけで、ありとあらゆる毒やマヒ、呪いなどありとあらゆる状態異常に苛まれる。

 アシッド・アントのように、遠距離から攻撃しようとしても、魔眼を所持しているため、決して目を合わせてはいけない。

 ――――


 アイアン・アントとイビル・アントか。

 相変わらず他のモンスターに比べると、図鑑説明文はかなり詳細に書かれている。

 これを書いた人物は蟻に何か思い入れでもあるのか?


 ともあれ、この2匹もめちゃくちゃ強そうだ。

 倒すのは至難の技じゃなかろうか。

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