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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第3章 ライラネートでの日常
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第109話 お金の使い道

 結局ミランダばあさんに金貨300で15セットを売ることにした。

 ただし、この金額は初回限定ってことで、次回からは金貨300で5セットとすることにした。

 まぁそれでも相場より大分お得なんだが。

 それと、俺が売った素材でミランダばあさんが調合した薬をひとつ無料で貰うことにした。


「あたしの薬をタダで貰うなんて、金貨300以上の価値があるよ」


 このばあさん……薬ひとつで仕入れ値を取り返す気かよ。

 メチャクチャ黒字じゃんか。

 しかし、魔力回復ポーション・極とか、俺には絶対に作れないアイテムが貰えるのなら、俺も異論はない。

 そもそも俺だってタダで仕入れられるしね。


「少年。他にも珍しいものがあれば買い取るよ」


 他に珍しいものか。

 スイートアピスのハチミツは高値で売れそうだな。

 後はモンスターの素材。

 ゴブリンの角と睾丸やキラービーの針なんかは薬の材料になりそうだ。

 あと、蜘蛛の糸とか、蝶の燐粉、蟻の蟻酸のような消費しない物も売れそうだが……。


「もう少し勉強してからにします」


 今回で懲りたからな。

 せめて価値を知ってから売ることにしよう。


 来月には今回の素材で調合した薬もできているそうなので、また来月に来ることを約束して店をでた。


「とってもいいおばあちゃんだったね!」


 店をでてすぐナビ子が言う。


「ボッタクられたけどな」


 きっとミランダばあさんは今頃笑いが止まらないだろう。


「それはシュートの自業自得でしょ。それよりも、素敵な出会いに感謝しないと!」


 確かに。

 金貨300よりも、ミランダばあさんのような優秀な薬師と出会えたことが、一番の収穫だったかもしれない。


「それにお土産だって貰えたしね」


 ここを紹介してくれたサフランにハーブを買ってお返ししようと思ったんだが、これくらいならとタダで譲ってくれた。

 帰ったらサフランにプレゼントすることにしよう。


「これでもう大丈夫だね」


 無一文から脱出できたから、宿を追い出されずに済む。

 というか、宿代は1ヶ月金貨15枚。

 来月以降もミランダばあさんから金貨300貰える。

 それに、まだ金額は不明だが、ギルドからポーションの金額も入ってくる予定だ。

 生活には困らなくなった。


「いや、これじゃあ今回の目標には全然到達しないと思う」


「今回の目標? 家賃を払えるお金を稼ぐことじゃないの?」


 それは最低条件。目標とは違う。


「確かにそうだけど……そもそも家賃を払う行為が勿体ないと思わないか?」


「えっ? それってもしかして、宿を出ていくってこと?」


 ライラネートに辿り着く前にもナビ子と話したから、ナビ子もすぐにピンときたのだろう。


「ああ。せっかく一軒家があるんだから、宿に泊まり続けるのは勿体ないだろ?」


 家は既にあるんだ。

 必要なのは土地だけ。


「でも……サフランとも仲良くなったのに……」


 確かにサフランもいい子だし、あの宿屋に不満があるわけでもない。

 でも、やはり周りの目を気にする必要があるので、合成の実験やモンスターを召喚するのは躊躇われる。


「ラビットAや仲間たちも定期的に召喚してあげないと可哀想だろ」


 先日、フェアリーとピクシーだけはナビ子が召喚したようだが。

 でも宿では妖精の2人以外は召喚できない。

 カード化スキルを自由に使うためにも、土地を買うしかない。


「それに宿を出たって同じ街に住んでるんだから、サフランにはいつでも会いに行けるだろ」


 むしろ客と従業員という立場よりも、ちゃんとした友だちになれるかもしれない。

 そう説明すると、ナビ子も納得してくれたようだ。


「そうだね! でも、土地を買うのは金貨300じゃ足らなくない?」


「だから目標金額はまだまだ先だって言っただろ」


 この金貨300を元手に次のお金稼ぎをする。


「じゃあ今からどうするの?」


「まずは市場調査と……仕入れだ」



 ****


 次の目的地は武具屋と鍛冶屋。

 まずは武具屋で武器と防具の相場を確認する。


 ミランダばあさんの店とは違い、店内が広く明るい。

 そうだな……あっちが駄菓子屋で、こっちはコンビニって感じかな。

 そんなことを考えながら店内を見渡す。


 店内には数人の客がおり、それぞれ武器を物色している。

 奥にカウンターがあり、2人の店員が客を観察している。

 もちろん店に入ってきた俺とも目が合う。


「いらっしゃい。何かお探しで?」


 1人がカウンターから出てきて俺に話しかける。


「あっ、少し見させてもらってもいいですか?」


「どうぞご自由に。鑑定しても構いませんよ」


 それだけ言うと店員はカウンターへと戻っていった。

 どうやら俺が怪しいとかナビ子がいたからってわけじゃなく、人が入ってきたら必ず話しかけるだけのようだ。

 まさにマニュアル通りの接客って感じだな。

 まぁ下手に色々言われるより楽でいいか。


 俺はあらためて店内を見渡す。

 どうやら1階は武器コーナーで、2階が防具コーナーのようだ。

 店内はいくつかの島に分かれており、それぞれの島で扱っている武器の種類が違うようだ。

 壁には高そうな剣が飾ってある。

 おそらくこの店で一番高価な武器だろう。


 一番手前の島は剣のスペース。

 片手剣やナイフ等が並んでいる。

 ミランダばあさんの店と違い、名前と金額が明記されているから鑑定の必要はない。

 でも、鑑定していいのなら、遠慮なく登録(アナライズ)で確認させてもらう。


 ロングソードにスティールソード。

 ブロンズナイフにショートダガー、マン・ゴーシュ。


 青銅に鉄、鋼鉄などの金属が中心となった武器ばかり。

 ゲーム的に言えば、序盤から中盤で出てきそうなありふれた武器って感じだ。

 金額は金貨3~5枚が相場っぽい。

 それからワンコインコーナーとして金貨1枚で買えるロングソードよりも一回り小さい鉄の剣もあった。


 残りの武器コーナーは槍や斧、弓と杖があったが、そちらも似たようにありふれた武器ばかりだった。


 ……流石にこれだけじゃないよね?

 でもこのフロアにはこれ以上武器は見当たらない。


 もしかして、ミランダばあさんのように一定のレベル以上は別の場所で販売しているのか?

 考えてみたらこんな風に置かれていたら、防犯面が怖くて仕方がない。

 最悪盗まれて良いようなものしか置いてないんだろう。

 もしかしたら、2階の防具コーナーに高価な武器も置いてあるのか……もしかしたら、3階があるのかもしれない。


 そういえば……と。

 壁に飾ってある剣は何だろう?

 登録(アナライズ)で確認してみる。


 ――――

 フリーズブレード

 金属製武器×レア度2以上の氷魔法

 ……

 ――――


 鉄の剣とアイスニードルならすでにある。

 今すぐに合成で作れそうな剣だった。

 ちなみに値段は金貨100枚。

 ……ヤバい。ボロ儲けの予感がしてきた。

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