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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第2章 冒険者登録
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第104話 ここからはじめよう

「――それで結局どうなったの?」


 ライラネートに帰ってきてから2日後、朝起きるとナビ子が帰ってきていた。

 逃げたことに悪びれもせず平然と帰ってきたので、文句のひとつも言ってやりたかったが、そこをグッとこらえた。

 下手にへそを曲げられて、お土産を貰えなくても困るからな。

 今回は何も依頼してないけど、逃げたことに罪悪感を感じているなら、お土産で誤魔化そうとするはず。

 ……期待していいよね?


 だが、お土産の前にお互いの不在中の報告が先だ。

 俺はギルマスとの会話。

 そしてアザレアと対等の協力者になったことを説明した。


「結局、俺のことをさん付けで呼ぶことで手を打ったよ」


 いきなり呼び捨てとタメ口はハードルが高かったようだ。

 まぁそのうち慣れるだろう。

 そして俺はアザレアと呼び捨てにすることにした。


「またアタイが居ない時に面白いことして……」


「今回はナビ子が怒られたくないって勝手に逃げただけだろうが」


 うん。今回は俺に落ち度はまったくない。

 文句を言うなら逃げるなって話だ。


「あはは~まぁアザレアとも仲良くなったし、何事もなく済んで良かったじゃん」


「まぁな。それでナビ子の方はどうだったんだ?」


「アタイの方は今回のキングの話をしたら喜んでもらえたよ」


 キングのスキルやゴブリンの生態など、いいネタが手に入ったと運営は喜んでいたそうだ。


「この調子で今後もネタ提供よろしくだって」


 そうは言われても、ネタなんてそう簡単に転がってないぞ。


「あっあと、やっと新しい人がこの世界にやってきたみたい」


「本当か!?」


 俺と同じ日本人がついにこの世界にやってきたのか。


「前に言っていた連勝していた人?」


 10週連続トップが条件は、前回の定期報告でも継続中だったので、トップを維持し続けていたら、もうこの世界に来ていてもおかしくない。


「うん。その人と、もうひとり改造の人」


「えっ2人も!?」


 確かゲームを不正に改造した人も条件だったな。

 ……そんな人をこの世界につれてきて大丈夫なのか?


「ちなみにその2人もカード化みたいなスキルを貰っているのか?」


 こっちの世界に来る人は2つのスキルが貰える。

 1つ目が言語翻訳。

 これは全員が貰えるスキルだ。

 そして2つ目が満たした条件にちなんだスキル。

 俺の場合はカード化だったが、他の2人はなんだろう?


「あのね。お互いのスキルに関しては話しちゃ駄目なの」


 じゃないと後から来た人が不利になるからだそうだ。

 有利とか不利とか……別に競争じゃないんだからいいと思うけどな。


「そもそも、2人は別の国でスタートするから、会えない可能性のほうが高いけどね」


 俺がいる国はバルバラート帝国。

 人間だけでなく、エルフやドワーフ、獣人などの亜人も認める多種族国家だ。


 そして連勝の人がスタートした国はストラーン共和国。

 改造の人がスタートした国がミース王国。

 どちらも詳細が不明らしい。


「アタイが担当していたのはこの帝国だからね。それ以外の国のことはよく分からないんだよ」


 そもそもこの国のことだって、そこまで詳しく知っているわけではないしな。


「来月の定期報告の時には、もっと詳しいことが分かってると思うよ」


 詳しいことが分かっても他国じゃなぁ。

 あまり気にしなくてもいいか。


「それからね。アタイも少しだけパワーアップしたんだよ!」


「……これ以上何をパワーアップしたんだ?」


 ナビ子は十分チートキャラだっただろ。


「えへへ。実はね、新しいスキルを手に入れたの」


 新しいスキル……。


「どんなスキルだ?」


「えっとね。代理人ってスキルだよ」


 代理人……なんかヤバそうなスキルだな。


「あのね。許可してくれた人が持っているスキルを、代わりに使うことが出来るの」


「それって例えばカード化スキルを許可したら……」


「アタイもカード化スキルが使えるってことだね。でも、アタイが使っている間、その人はスキルを使えなくなっちゃうの」


「……それって意味があるのか?」


 同時にスキルが使えるなら意味があるだろうが、片方しか使えないならあまり意味はない気がする。


「例えばシュートが寝ている間に、分解スキルを使って作業したり出来るよ」


 あっそれは便利かも。

 こないだのキング戦前に、それができたら集落に到着前にレベルが上ってたかもしれない。

 ……経験値も共有するのかな?

 聞いてみたが、それはナビ子にも分からないとのこと。

 使ってみなくちゃってことなんだろうな。


「他にもラビットAの魔の素質スキルで魔法が使えるようになったり出来るんだ。これでアタイも戦えるよ!」


 えへへっとナビ子は嬉しそうに笑う。

 魔力切れになった仲間のスキルを代理人スキルで使えば、ナビ子も魔法が使えて敵と戦える。

 そして特筆すべき点は、対象がカード状態でも発動すること。

 怪我の治療などで回復中の仲間の代わりができるようになる。

 だが魔法は代理人スキルでは継承しないので、魔法だけはナビ子が覚えるしかないそうだが。

 魔法だけはいくらでも覚えられるので問題ない。


 ナビ子も戦う……か。

 今までもナビ子は裏方で十分活躍してくれたけど、戦闘能力だけは皆無だった。

 もしかしたら気にしていたのかもしれない。


「あとね! これが今回のお土産カード!」


 おっ、待ってました。

 今回は何かなぁ。


「まずはいつもどおりビールとニンジン」


「良かった。これでまた1ヶ月過ごせる」


 バランの村でビールを配ったりしていたから、在庫が心もとなかったんだ。

 言われなくても定番どころを押さえるのは流石だ。


「……あれ? ニンジンが前回よりも多くない?」


 前回はカード1枚だったが、今回は2枚ある。

 確かにラビットAは頑張ったけど、流石にこれはやり過ぎじゃないか?


「1枚はラビットAで、もう1枚はユニコのだよ!」


 ユニコーンも行きと帰り、そして戦場とすごく頑張ってくれたもんな。

 だけどユニコーンってニンジンを食べるのか?

 ……まぁ一応馬だからニンジンが好きかもしれない。


「んで、残りのカードがこれ!」


 残りのカードを確認してみる。

 ニンジン以外の野菜に果物に調味料に料理本。

 あれっ? もしかしてこれ全部食べ物関係じゃね?


「何が欲しいか分からなかったから、今回は全部食べ物で統一したよ! 食べ物ならハズレはないしね」


 いや、確かに希望は出してないし、食べ物だったら図鑑の肥やしになることもないだろうけどさ。

 でも、なんかもっと他にあるだろう?


「ほら、今回の料理本はお菓子系中心にしたから、甘味系も食べられるよ。それに今度パーティーもするんでしょ?」


 そういえばサフランとアザレアの3人でお祝いする話になっていた。

 そう考えると料理関係で良かったかもしれない。


「何か必要なものがあったら、来月に頼んでよ」


 そうだな。

 特に今すぐ欲しいものはないし、何か欲しいのがあればリストアップしておこう。


「それで、色々と解決したけど、シュートはこれからどうするの?」


「そりゃあ決まってるだろ」


 念願の冒険者になった。

 ゴブリンを倒して大量のカードを手に入れた。

 カードの上限も解放されて戦力もアップできそうだ。

 そして頼りになる協力者と、相棒もいる。


「本腰を入れてカードを集めるんだよ」


 俺の図鑑コンプリートの旅はここから始まるんだ!

ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。

今回で一旦の区切りとさせていただきます。

もちろんここで完結ではありませんので、この後も続きます。


ですが、次回から少しだけ本編は休みで閑話となります。

本編をお待ちの方は少しだけお待ち頂ければと思います。

詳しくは活動報告に書かせていただきますので、そちらをご覧頂ければと思います。


最後になりましたが、ブクマや評価、感想などいつもありがとうございます。

大変励みになっております。


誤字報告もありがとうございます。

沢山報告を頂いておりまして……細部までしっかり読まれて嬉しい反面、誤字の多さに恥ずかしさでいっぱいです。


もしよろしければ、これからもお付き合い頂けますと幸いです。

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