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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第2章 冒険者登録
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第100話 後始末

 ウィッチがゴブリンキングを倒し、集落にいたゴブリンは全滅した。

 残っているのは、集落の外にいた偵察ゴブリンくらいだろう。

 それはギルドの冒険者に任せればいい。


 そんなことよりも、もっと大変な問題に直面していた。


「……これ、全部をカードにするのか?」


 集められたゴブリンの死体の山を見て辟易する。


 今回の戦闘で死んだゴブリンは、ゴブリンシャーマンによって、集落の外で山積みにされていた。

 その数およそ500。

 今も集落からゴブリンの死体が、歩いてここまでやって来ている。

 ゴブリンシャーマンが死体を操作しているだけだけど……その光景はまるでどこかのB級映画のようだ。

 この世界にきてグロにも慣れてきたけど、それでもこの光景には目を背けたくなる。


 1000体と言われていたゴブリンだが、偵察などで出払っていたゴブリンが100、奇襲で吹き飛んで回収できないゴブリンが100。

 戦闘での損傷がひどく、素材が回収できそうにないゴブリンが200。

 その200に関しては、3リスによって魔石だけ回収して、死体の横に置かれている。


 最終的に回収できそうなゴブリンの魔石は700くらいか?

 かなりの成果だが……これを1体ずつカードにするのに、どれほどの時間が必要なのか。


 それに、カードにするのは死体だけではない。

 集落の建物から何かお宝が見つからないか、仲間たちに探させている。

 流石にお宝まではナビ子の気配察知でも探せないからな。

 ゴブリンジェネラルは結構いい装備をしていたし、掘り出し物が見つかるかもしれない。


 う~ん。どう考えても時間がかかる。

 下手したら、ここで一晩過ごすことになるかもしれない。

 冒険者たちはまだ戻ってこないと思うが……こんな所からは早くオサラバしたいものだ。


「なぁナビ子……何かいい考えはないか?」


 ダメ元で聞いてみる。


「そんなの、まとめて1枚のカードにしちゃえばいいよ!」


 思いの外簡単に答えが帰ってきた。


「……そんな事ができるのか?」


「できるよ。ニンジンやビールだってまとめて1つにできたでしょ」


「あれはダンボールに入っていたからだろ。冷蔵庫とかタンスとかと一緒だ。でも、これはむき出しじゃないか」


 この死体の山を箱詰めする?

 いやいや、そっちの方が大変だ。

 そもそもそんな箱はない。


「うん。だからね……蜘蛛を使うの。スパイダー達をありったけ呼び出して」


 俺は言われたとおり、スモールスパイダーとデスタランチュラを呼び出す。


「この蜘蛛の糸を使って……」


 ナビ子の支持に従ってスパイダー達はゴブリンの山に糸を吐く。

 糸はゴブリンを包み込み……巨大な繭のようになった。


「これで不明品ってアイテムになったと思うよ」


 不明品?

 俺は騙されたと持ってカード化を試みる。


 ――――

 包み物【不明】レア度:なし


 包み物。

 中身不明。

 ――――


 確かにできた。


「宝箱や封のしてある段ボール箱とか、中身が分からないようになっているのは、基本的にレア度なしの不明品でカードにされるんだ」


「中身はゴブリンの死体だけど?」


「それはアタイたちの認識で、外から見たら分からないでしょ。タンスの中に銃が入っているのを知っていても、表示されないのと一緒だよ」


「じゃあニンジンは? あれもダンボールに入ってたと思うけど」


「あれはダンボールの封は開いていたでしょ。あれが閉まっていたら、段ボール箱で中身不明とかなってたと思うよ」


 確かにカードになったときのイラストはダンボールが開いていた。

 そして今回は糸に包まれて中身は見えない。


「それにゴブリンの死体だけじゃなく、ホブゴブリンや上位種もいるでしょ。ニンジンのときだって、他の野菜が入っていたら、野菜セットとかになってたと思うよ」


 なるほどな。

 仮に中身が分かったとしても、死体詰め合わせ……嫌なカードだな。


「でも、そんな便利なことが出来るのなら、なんで今まで教えてくれなかったんだ?」


 山での生活の時は死体も1枚1枚別々にカードにしていた。

 けど、それを知っていたらもっと楽だったんじゃあ……


「あの時は分解が使えなかったからね。解放(リリース)する度に死体の山が出てくることになったよ」


 そっか。

 まとめて1枚のカードになっても、解放(リリース)すれば毎回死体の山が出ることになる。


「包み物を分解するとね。ゴブリンの死体が1枚ずつカードになるんだよ」


「死体の分解はしないのか?」


「死体だって、素材と魔石に分解するけど、魔石がスキルに分解することはないでしょ。分解にもちゃんと段階があるんだからね」


 確かに。

 というか、勝手に全部分解されたら困ることも多いだろう。


「それにね。このカードには500以上の死体が入ってるんだよ。このカードを分解するだけで、どれくらい時間がかかると思ってるの?」


 1枚30秒と考えて……1時間で120枚。


「……4時間以上?」


「分解って、結構魔力を使ったり、集中が必要よね? 大変だと思うよ~」


 ……考えたくないな。


「まぁ分解は帰りの馬車の中でゆっくりやればいいと思うよ」


「そうだな」


 もう急ぐ必要はないんだし、ライラネートにはゆっくり帰ることにしよう。



 ****


 結局集落には装備品とかが少しあったが、めぼしいアイテムは存在しなかった。

 まぁまだ何処にも攻めてない集落だとこの程度だろう。


 集落はこのまま残すことにした。

 損傷のひどいゴブリンの死体も残っているが、これだけ損傷がひどいとアンデッドにもなりにくいそうだし、数日経てば魔素に還元されるとのこと。

 それに、冒険者が来た時に、ゴブリンが全滅した証明としても必要だしね。


 そういうことで、俺はユニコーン以外のカードモンスターを全員カードに戻してライラネートに帰ることにした。

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