第7話 「廃寺に眠る」
俺は元野党の新弟子ホイポイと元皇女様キョンシーの
ソフィと共に都に向かう道中雨宿りの為、廃寺に居た。
外は雷鳴が轟き強雨が降りつける…とてもじゃないが
これ以上は歩けなかったので廃寺があって助かった。
廃寺の中はボロボロだ、天井は所々破れており
埃や蜘蛛の巣だらけ…鼠や虫も多く目に付く……
中でも不気味なのが棺だった
蜘蛛の巣や埃まみれの棺が二つ並んでそこにある…
まさにキョンシー映画に出てくるような棺だ。
薄暗く気持ち悪い感じの二つの棺を前に
俺達は体を休めて眠りに落ちる————。
夜も更けた時俺はパチリと目覚め、用を足しに廃寺の
裏手にトボトボと歩いて行った。外はまだ雨風が強く
一時は止む気配がない事を確認しながらジョボジョボッ…
用を足し終わり戻っていくと
〝ギシィィィッ〟と鈍い音が聞こえる…
俺は良く映画の中でこの音を耳にしていた。
「あぁやっぱり棺か…中はキョンシーか…」
と呟くとドンッと棺の蓋が弾け飛び…中から男の
キョンシーが両手を前に出し、ゆっくり起き上がる。
しかし俺は意外な程落ち着いて分析をしていた…
こちらの世界でのキョンシーが着ている服は
俺の知るキョンシーと同じく、だぶだぶの青や黒の
着物に個性的な黒い帽子を被っている。
これは中国の清の時代の服装に近いが、こちらの世界では
亡くなるとこの服を着させているのだろうか?
あっ!マズイッ ピョンッ…ピョンッ…ピョンッと
ホイポイの方に復活したキョンシーが飛び跳ねていった。
俺は何か無いか?とキョロキョロ探すと棺の前に
埃まみれの小さな祭壇を発見ッ!
近づき見ると何も書かれていない色褪せたお札と
桃枝で造られた桃木剣が置かれていた…
お札を手に取り法術スキルの符呪力でお札に念を込め
指先で文字を書くと文字が金色に光り符呪された。
すかさず札をキョンシーの額に貼り付け
動きを止め、俺はホイポイを呼び起こす。
「おいっ起きろ…ホイポイ起きるんだ!」
「ん?あぁお師匠様…おはようございます」
「まだ朝ではないが ひとまず起きろ」
「どうされまし… ウワァアァッ!!」
「安心しろお札で動きを停めてある」
「さっ…さすがお師匠…様」
俺はホイポイとキョンシーを棺に寝かせ蓋をした…
「キョ〜ウ うるさいなぁ〜 静かにしてぇ〜」
ソフィはというと、もうひとつの空の棺に横になっていた…意外に寝心地が良く、落ち着くそうだ。
「あぁ悪い 分かったよ…」
キョンシーに気を遣っている…なんだかアベコベ…
しかし何故ひとつが空なのか……気になるところだ。
辺りを見回すも別のキョンシーの姿は無く
俺達はもうひと眠りする事にした————。
キョンシーには古来階級があるとされ階級が上がる程強く強力な術を使えるようになる。最終的には仏が乗る霊獣 望天吼にまでなるものもいるらしい。 ここに居たはずのキョンシーが何処かで強力なキョンシーになっていなければいいのだが…
そして夜な夜な降りしきる雨は上がり朝が来たーー