第3話 「振り返ると金髪青年」
辺りは真っ白で何もない…ただ広がる真っ白な空間
俺は頭を摩りながら立ち上がり声を出した。
「ウゥ…ここ何処?」
「今度は何処に転移しちゃったの俺?!」
なんて事を独り言のように呟いても返事はない…
仕方なくトボトボと暫く歩いて行くとゴツンッと
見えない壁のようなものに頭をぶつけた。
「痛ッた… え? 何?? 壁???」
俺はパントマイムの様に何もない壁を触っていると
凹凸の感触を手のひらに感じた。
「これは…ドア?」
とりあえず感触のあった辺りを触っていくと
ドアノブらしき感触を手にする。
「おっ! やった!!」
俺は躊躇なくそのドアノブを回し扉を開けたーーー
すると其処には山の様に積まれた本が所狭しと
並べられており、中に金髪に白いスーツを着た青年が
本棚の整理をセコセコとしていた。
忙しそうにする彼に俺は声をかけてみた…
「あのぉ〜…すみませんちょっとお尋ねしたいのですが」
整理をしていた腕をピタッと止めた彼は振り返って俺に
「其処の本を取ってくれないか?」
と頼み事をしてきたので条件反射でその本を手に取った。
俺は徐ろにその本に目をやると本には…
〝異世界法術〟というタイトルが銘打たれており
俺の目に飛び込んできた。
「これは……」
俺が本を見つめ呟くと白いスーツの青年が
それでしょ?と微笑みながら問いかけてきた…
「君が欲しがっていた物はそれじゃないの?」
とまた微笑みながら問いかけてくる。
「俺が欲しがっていた……もの?」
とまた本に目をやり開いてみると急激に俺の脳へと
情報が流れ込み始めた————。
凄まじい勢いで何かを学習していくのを感じ…
また意識が薄れ始めていった………
ハッ!と目を覚ますと今まさに俺は腰掛けていた
岩から倒れかけていたのだ!
両手を地面へ突き、倒れる身体を支えた俺は脳内で
ひとつの声を聞く……〝取得完了〟!
「……コンプ………リート?」
不思議そうに見つめるソフィを横目に俺はその声に
脳内で話しかけてみた……。
…君は誰?
するとその声は
〝ハイッ!私はファンクション〟
function?つまり日本語で機能か…
君は何故頭の中で俺と話ができるの?
〝ハイッ!マスターは神本の異世界法術を取得した為、神本機能スキルを習得し私の声が聞こえる様になりました…マイマスター!〟
まっマイ…マスター?
〝ハイッ!貴方が私のマスターです〟
ファンクション…呼びづらいから
これから君の事はファンと呼ぶ!
〝ハイッ!認識しましたマスター〟
…とりあえず俺は頭がまだ混乱しているがようだが
なんとか特典を手に入れたようだ!
この特典を駆使してこれからの異世界ライフを
エンジョイしてやるぜッ!!!ーー