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PLAY17 総べる人物⑤

 国王を見た私達は、驚いて見てしまう。


 何せ『不審の疑王』と呼ばれている国王が、一国の王様がダンジョンの奥の、それも今危ないライジンの所に一人で(おもむ)くなんて……、自殺に等しいことをしている国王。


 マティリーナさんとカイル、ロフィーゼさんとコーフィンさんも驚いて国王を見ていた。


 アキにぃとキョウヤさんも驚いていたけど、ヘルナイトさんだけは驚かず、国王に敬意を称して膝をついて頭を下げていた。


 私はヘルナイトさんのように順応ではない。というかこう言った場面に出くわしたら殆どの人がアキにぃ達のように驚くことが当たり前だと思う。


 だから私は……。


「な、なんで……?」


 と、驚いた声で国王に聞いた。


 でも――


「ふむ」


 私の言葉を無視するかのように上を見上げる国王。どことなく落ち着いているようなその顔を見て、私は違和感を覚えた。その違和感に首を傾げていると……。




 ――ウオオオオオオオオオオォォォォォッッ! 体が軽いぞぉおおっっ!――




「「っ!」」


 突然、後ろからドォンッという音と声が聞こえた。


 その音に驚きながら振り返ると……、ライジンがどんどんっと撥を使って太鼓を叩きまくって暴れていた。


 ううん。これは……。


「嬉しさに、はしゃいでいる……?」


 それを見た私は、なんだかライジン……。ううん、ライジンさんを見て親近感を感じた。


 だってあのはしゃぎ方……、しょーちゃんに似ている気がする。


「はしゃいでいるのか……?」

「浄化に失敗したんじゃなくて……?」


 キョウヤさんとアキにぃがそれを見てひくひくと顔を引き攣らせて見ていた。


 すると……。


「あらぁ? なんで倒さないのぉ?」

「「「!」」」


 後ろからロフィーゼさんが近付いて来て、私達を見て聞く。その後ろにはコーフィンさんもいて、コーフィンさんは上を見上げながら「ジャパニーズサンダーゴッド……」と小さく呟いていた……。


 ロフィーゼさんは私を見て聞く。


「ゲームクリアには『終焉の瘴気』を倒すんだからぁ、ちゃんとその配下のこのライジンも倒さないといけないんじゃないかしらぁ?」

「あ、えっと……」


 私はロフィーゼさんとコーフィンさんに話した。


『終焉の瘴気』は未知の何かで……倒すのではなく、浄化することがクリア条件だということを。


 そしてその『終焉の瘴気』の進行を阻止することができる『八神』の浄化もしなければ、『終焉の瘴気』に辿り着くことができないし、守り神でもある彼等を浄化しないといけない。


 その浄化には、私の詠唱『大天使の息吹』と、ヘルナイトさんの詠唱『断罪の晩餐』が必要不可欠と言うことを話した。


 それを聞いたロフィーゼさんとコーフィンさんは、開いた口が塞がらないようなことを聞いて、ロフィーゼさんは一言……。


「なにそれぇっ! それじゃあぁ、あとだしじゃんけんじゃなぁいぃっ!」


 もおぉっと頬を膨らませて怒るロフィーゼさん。


 それを見て、私は首を傾げながら「でも、理事長が言っていることはきっとこれだと」と言った時……。


「おほんっ!」

「「「「「っ!」」」」」


 私達はぎょっとしてえづく声が聞こえた方向を見ると……、そこには、国王が私達を見ていて、その後ろでは、苛立ちながら腕を組んで、指をとんとんっと動かしながら、私達を見ていた……。


 私達は国王の前と言うことを忘れていたということに、罪悪感を覚えて……。


 すぐに膝を立てて頭を下げた。


 それは、従来の国王との面前の時によく勇者がやる行動だ。


「あ、も、申し訳ございませんっ! こ、こここ。国王の眼前ともあろう、えーっと……」


 アキにぃが筆頭に、頭を下げながら慌てて謝った。でも後半は混乱のあまりにしっちゃかめっちゃかの言葉になって、アキにぃ自身目をぐるぐる回して何を言えばいいのかわからなくなっているようだ。


 私は頭を下げながら、国王の言葉を待つ。


 私達は頭を下げたままそのままでいると……、国王は――


「よい。立って楽にしてくれ」と、冷静に、そしてアキにぃの肩を叩いて言った。


 その言葉は初めてであった時のようなヒステリーさはなく、むしろ私達のことを思っているのか、マティリーナさんを見て……。


「マティリーナよ。昨日の無礼を許してくれ」

「え? あ、いいえっ。そんな滅相なことは……」


 昨日のことをについて謝ってきた国王。マティリーナさんは驚きながらも手を振ってそんなことはないという。


 そしてヘルナイトさんを見て「貴公も楽にしてもいい。この国の恩人でもあるのだから」と言うと、ヘルナイトさんはすっと頭を下げて、静かに立ち上がった。


 ん? 恩人?


 その言葉に、私は首を傾げていると、国王はライジンさんを見て……、私達を見てこう言った。


「余はまだ信用はしていない。しかしこの国を救ってくれた恩人。そして長年にわたり『終焉の瘴気』に冒されたライジン様を浄化してくださったのだ。ここで無礼なことをするなど、できっこない」


 そう言って、立ち上がった私達を見ながら……、国王は言う。


 私達に頭を下げながら……。


 驚いて国王の頭を見ている私達のことなど見ないで……。


 国王は、私達に向かって……。


「――感謝する。冒険者の方々よ」と言った。


「え、あ、わわ……、えっと、頭を上げてください……っ!」


 私は慌てて国王に言う。キョウヤさん達はそれを見て、呆然としながら国王を見ていた……。ありゃりゃ。


 国王は頭を上げて、そしてライジンさんを見上げながら、私達を見ないで言う。


「この国がテロにあったと聞いた時、余は頭が真っ白になってしまった。しかしそのテロを鎮圧。そしてライジン様の浄化をしてくれた天族の者と退魔魔王族の者。余を安全なところに匿った者もいる。そしてこのテロが起こる前に、警報を鳴らしていた者もおった」


「…………………それって」


 アキにぃはコーフィンさんを見る。


 コーフィンさんは明後日の方向を見ているだけだったけど……、それでもアキにぃは安心した顔をしていた。国王は言う。


「どれもこれも、こんな不甲斐ない国王が築き上げた国のためにしてくれたことだ。感謝せねばならんだろう」


 そう国王は見上げながら言う。その顔は……どことなく悲しさも混ざっているような笑みだった。


 私はそれを見て、このテロが起こる前に、アキにぃ達と話していたことを思い出すと……。


 ――この我を助けてくれたのは、そこにいる御嬢さんと、退魔魔王族の者か!――


「!」


 ライジンさんの声がしたので、私は振り返る。


 ヘルナイトさんも私の近くに来てライジンさんの声を聞く。


「ねぇ、何してるのぉ? ライジン「うおー」とかぁ「うごー」とかしか言っていないみたいだけどぉ?」

「あ、あれはハンナとヘルナイトにしかわからないというか……」

「理解デキナイ言葉ガアルノカ……? 奥ガ深イ」

「深くはねーけど……、てか、あんたのそのカタコト、どうにかならねぇの?」


 そんなアキにぃ達の会話が聞こえていたけど、私はライジンさんの話を聞く。ライジンさんはじっと前屈みになって私達二人を見る。


 すると私を見たライジンさんは……。


 ――おぉ? 貴殿はサリアフィア様か!?――


 と聞いてきた……。その言葉に、私は一瞬我を忘れそうになった。


 いったい何を言っているんだろう? というのが最初に頭に浮かんだ言葉で……、次に出てきた言葉が……。


 サリアフィア様って、私に似ているの……? であった。


 どくどくとくる不安の心音。なぜ不安の心音が出てくるのかわからないけど……。私はヘルナイトさんを見上げようとした時、ヘルナイトさんはそっと私の頭に手を置いて……、こう言った。


「違います。この子は――サリアフィア様ではありません」

「あ…………」


 なんだろう……。


 安心しているのに、なぜだが、心が軋んでいるような、そんな感触を覚えた……。痛い……。そう、思った。


「ですが」とヘルナイトさんは続けて、凛とした声で言った。


「あのお方と同じくらい、守るべき存在であると言えます」


 ………驚きで言葉を失った。


 突然の言葉に、私は驚いて見上げたまま固まってしまう。それを聞いたライジンさんは……。


 ――ほほぅ! となると、そう言うことなのか!? しかし我が正気を失っている間に、アズールがひどいありさまだ! ぬぬっ! サラマンダーの奴、正気を取り戻しているのか! なるほどな!――


 顎に手を当てて唸っているようにも見えるそれで、私達を見降ろして言う。


 アキにぃ達には聞こえていないみたいだけど……、ライジンさんはアキにぃ達を見て、そして私達を見降ろして、こう言う。


 ――ならば! 我も急いでやらねばな! 後の『八神』たちの浄化も頼んだ! っと……その前に……――


 と言いながらライジンさんは耳についているイヤリングのようなものをとって、それを私のところにずいっと、大きな指に挟めたそれを近付ける。


 私はそれを見て、手を出すと、ライジンさんは指には冷めたそれを落とした。


 それは……大きなわっかについている黄色い瘴輝石。


 それを見て、私はライジンさんを見上げて「これは……」と聞くと、ライジンさんは太い指を私に向けて――


 ――それは雷の盾が出せる瘴輝石。『マナ・イグニッション――『雷轟雨盾』である。大事に使え。そして……次の浄化はリヴァイアサンの方がいい。我はそこを勧める――


 と言った。


「……リヴァイアサン……?」


 そう私が言うと、マティリーナさんが驚愕の表情に顔を染めたなんて、私は知らなかったし、アキにぃも知らなかった。見ていないので当たり前だけど……。アキにぃは私を見て「そうライジンが言っているの?」と聞いてきた。


 私は頷く。


「リヴァイアサン……アクアロイアのあのリヴァイアサンか……」


 ヘルナイトさんは思い出すように、頭を抱えながら言うと、ライジンさんはふっと上に向かって浮いていく。


「あ! 浮いた」


 キョウヤさんが驚いて見上げる。みんな見上げる。


 ライジンさんはどんどんっと足元の太鼓を叩きながら、私達を見降ろしてこう言った。


 ――我々は貴殿等の浄化の旅を、天空の世界から応援しているぞ! 貴殿らの旅路に幸あらんことを! さぁ! わが雷の力……、受けてみろぉ! 『終焉の瘴気』ぃぃぃ!――


「ウオオオオオオオオオオオオォォォッッッ!!」


 ライジンはそう言って、叫びながら、いつの間にか開いていたのだろうか……、ダンジョンの天井からそのまま上に向かって出て行ってしまう。


 その姿を見て、私は……、ライジンさんの言葉を胸に、ヘルナイトさんを見上げる。


 ヘルナイトさんは私を見降ろして……。凛とした音色でこう言った。


「これで、サラマンダーとライジンの浄化ができた。残りは……」

「あと……六体……」


 そう言って、そのダンジョンの天井から差し込む光を感じて、再度上を見上げる。


 すでに外は朝になっていて、黒い煙もすでになかった……。


「あらぁ、もう朝なのぉ?」ロフィーゼさんは頬に手を当てて驚いたように言うと、国王は私達のことを呼んでこう言った。


「冒険者の者達よ。話したいことがある。早急に、城へ向かおう」



 □     □



 国王の言われるがまま、私達は城に来ていた。


 ロフィーゼさんとコーフィンさんは、かなり怪我がひどかったので、一旦お城の医療室に休ませることにした。


 事の首謀者でもあるカイルと、共犯のシュレディンガーと言う人はお城の地下牢獄に閉じ込められた。


 そして私達は……、今現在檻の中ではない……完全なる謁見の間で、国王に頭を下げながら膝をついていた。


 今ここにいるのは、私達冒険者とマティリーナさん。ヘルナイトさん。そして国王と何人かの兵士。


 国王は椅子に座って、私達を見降ろしながら言った。


「此度のアムスノームの危機を救った。そしてライジンの浄化をしてくれた冒険者達よ。改めて感謝をする」


 そう言われて、私は「はい」と言いながら頭を上げずにいた。


 キョウヤさんもアキにぃも、マティリーナさんもヘルナイトさんも、同じようにして返事をする。


 すると、国王は私達に向かって……。


「しかし、感謝だけではどうもつり合いが悪い気がする」そういいながら、国王は私達に「面を上げよ」と言った。私達は顔を上げる。すると国王は顎に手を当てて頬杖をしながら言う。


「何か欲しいものはあるか? できる限りのことはしよう」


 その言葉に、私はアキにぃとキョウヤさんを見る。


 二人は頷いていた。聞いてもいいという合図だ。


 それを見て、私は国王を見て――「一つだけ、聞いてもいいですか?」と聞いた。


 その言葉に、国王はすっと目を細めて「なんだ?」と聞く。


 私は意を決して、国王に聞いた……。


「――前国王は……()()()()()()()()()()()()()()()?」


 その言葉に、マティリーナさんは立ち上がりながら「なっ! 何を聞いて」と声を荒げて、感情を爆発させるように私達に聞こうとした。しかしキョウヤさんはそれを宥めるようにどうどうと手でジェスチャーをする。


 マティリーナさんはぐっとそれを見て、動きを止めてしまう。


 その言葉には、近くにいた兵士達もざわつき、互いの顔を見ながらどうするか話し合っているようだ。私はそれを見て、国王を見る。


 国王は、冷静になりながら、すっと目を細めて……。こう言った。


「一日たりとも、忘れたことがない」


 苦しそうな音色で、頭を抱えながら、国王は言う。それをじっと聞く私達。


 マティリーナさんや兵士たちはそれをじっと見て、言葉を待つ。たらりと、汗を流しながら。


 国王は……震える口で、こう言った。



「あれは、砂の国の者が、アムスノームの兵士に化けて、前国王を……、兄上を……っ! ()()した……っ!」



 それを聞いて、私は思った。あぁやっぱりだと。


 やっぱり違和感があると思ってしまった。


 普通に聞けば普通に聞き流せるけど、でもやっぱり違和感があった。何の違和感なのか……。それは簡単な話だ。


「あの……、重ねて申し訳ございません。いくつか聞いてもいいですか?」

「うん? なんだ? もうしてみよ」


 国王様は頷いて私の要求を呑む。それを聞いた私は胸に手を当てて、そして一旦ゆっくりと深呼吸をしながらまとまった考えを整理し、私は面と向かって王様のことを見て言った。


 アキにぃもキョウヤさんも知らないと思うことを、私は口頭で言った。抜けている頭で何度も何度も考えた結果の推理を――王様に向けて伝えた。


「王様は確かに前国王は暗殺されたと言いました。それはマティリーナさんもガーディさんもガーディさんに話した人もそう言っていました。絵本でもそのように書かれていたと聞いています」

「うむ。確かにそうだな。教訓を交えての絵本は余も読んだことがある。少し複雑な心境ではあるがな」

「はい受付の人からも聞きました。けど……、国王はあの事件のことについて、詳しいことを知っているのですか?」

「…………詳しい? 何を言う。余はあの時いなかった。それにあの時聞いたのだぞ? 暗殺されたと」

「誰にですか?」

「あの時いた兵士にだ」

「それでは、前国王は誰かに恨まれるようなことをしていましたか?」

「ありえないな。なにせあのような性格の王だ。そんな恨まれるようなことは」

「でしたら、辻褄が合いません」


 私がその言葉を言った瞬間、周りが騒めき始めた。


 アキにぃもキョウヤさんもそれを聞いて驚きの声を上げながら顔を上げていると思う。


 けど私はしっかりとアムスノーム国王のことを見ながら、繋がったこの出来事についてこう推理した。


 きっと穴だらけだけど、それでも私は国王のことを見ながら自分が考えた推理を口にした。


「暗殺と言うものは、誰かに見られないように殺すことです……。つまりは誰かに見られた時点でもうその暗殺は暗殺ではなくなってしまう。暗闇の中で殺すのだから、誰かに見られてしまえばそれは()()()()()()()()()()()()()()()

「……………ううむ……。理解ができんぞ。あの時の兄は確かに暗殺、敵軍の兵士によって」

「それだったら、もっといい方法で暗殺をしていたはずです。寝ているところに薬を盛るとかありますけど、今回は正面から殺しに向かって、そして兵士が王を守ろうとした。暗殺はよく見る映画とかでもそうですけど、気付いていない間に殺されるんです。一瞬の間に、不意打ちのように」

「……………………」

「つまり、真正面からの攻撃、そして兵士に見られた時点で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「そ、そんな考えようによって変わる様な付け焼刃……っ」


 と突然慌てだした国王が言った瞬間、私は畳み掛けるように (無礼なことは承知です) 、国王のことを見ながらこう言った。


「確かに付け焼刃かもしれません。確かに変かもしれませんけど、ある人が言ったんです。その時の光景を見た人が、当事者が言っていました。あの時の事件のことをこと細やかに、そして私達のことを誘うように、その事件には『裏』があると言ってくれたおじいさんがいます」

「っ!」


 おじいさん。


 その言葉を言った瞬間、国王ははっと息を呑んで私のことを見て、そして兵士やマティリーナさんが騒めいて国王を見ている。


 アキにぃやキョウヤさんも私の話を聞いて「確かに……」と言う表情を浮かべながら納得して頷いている。ヘルナイトさんはずっと静かにその光景を見ている。それを見て、私は再度国王のことを見ながら――聞く。


「そもそも……、おじいさんは何で見ず知らずの私達にあんなことを言ったのか、多分ですけど、おじいさんはきっと仕掛けていたんですよね? 全部……。おじいさんがまいた餌に、私達はつられて、そしてここまで来た。もともとここに来るつもりではいましたけど……、それでもいち早く浄化をしてもらいたかった。これ以上の被害が出る前に、きっとライジンを浄化を早くしてほしくて、このようなことをした。国民やみんなを騙し、三十年間ずっと待っていた。餌をばらまいてその時が来るのをずっと待っていた。私達のような浄化の力を持つものをずっと待っていた。『裏がある』とほのめかして、何かがあると踏んでくるであろうその人達が来るのをじっと待っていた。浄化の力を持ってて、勝つ力がある冒険者が来るのをずっと待っていた。国王兄弟(あなたがた)は……、そのためにずっと全員を欺いてきた。この時が来るのをずっと待ちながら……」


 私の言葉を聞いていた誰もが言葉を失いながら耳を傾けている。


 私はじっと国王のことを見ながら国王の言葉を待った。イエスか、ノーか……。その言葉をずっと待っていた。


 もしかしたら違うかもしれない。けれどこれしか方法が思いつかなかった。だから私はその推理を国王に向けて言い放った。


 我ながら穴だらけのそれだけど、そうでもしないと辻褄が合わない。


 そう思いながら私は国王の言葉から出る真実を待っていた。


 すると――


 私達の後ろからドアが開く音が聞こえた。

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