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PLAY132 嘘であってほしかった③

 さて、話を続けましょう。


 まず私はこの男にいくつかのことを聞きました。情報を収集するためにはまず聞くこと、質問することが最も最適だと思いました。


 まるで面接のように質問していくその様は逆だと思われがちだと思いますが、この男的には都合がよかったのでしょうね。すんなりと回答してくれました。


 なにせあの時の私は攻撃を受けている状況で、相手からすると命を握っている状態。


 下手して何かを言ったり行動を起こせば殺すことだってできた状況、力を持っていたから、きっと優位な状況にいると()()していたのでしょう。


 誤認しているからこそ私は好都合だったのですがね?


 さて話を戻しますと、私はこの男に色々と聞きましたので、口頭で話そうと思います。


 まず――『お前が支援している奴らは誰なんだ?』と言う質問に対しての返答。


『きっと姫君が話しているだろうな。まぁお前には関係ない』と言う返答で終わってしまいましたが、その後『お前の首――悪魔族の首は鬼族の角よりはレアリティは低いが、貴重の分類だ。それ相応の価値はある』と言う関係のない返答が返ってきました。


 正直そんなことはどうでもいいと思いましたけど。


 次に私が質問した内容は――『私を殺すというメリットは何なんだ?』ですが、これに対して簡潔に

『言っただろう? 資金のためだ』と返してきて、こいつの頭は性根が腐っているということを参認識しましたよ。


 なにせ『金』しか頭になかったのですからね。


 しかも騙してまで自分の懐を潤したい奴は、私からするとクズ同然です。


 そんなことを考えながら私は『まさかと思うが……、それは亡命のための資金か?』と聞こうとしたのですが、質問できませんでした。


 途中で遮られてしまい、時間稼ぎをしているとばれてしまいました。


 ばれたと同時に脅しなのか――私の足元を電気で光らせて来て、いつでもお前を殺すことができる。無駄な足掻きをするなと言わんばかりに脅してきたんです。


 電気で身も心も脅す行為はさながら外道。


 そのまんまの外道なんですけど、こいつの心は腐り切っていたらしいですね。


 攻撃で脅し、心身共に私を支配しようとしている。


 この行動はまさに外道の王道光景です。


 外道の見本の姿と言っても過言ではない。


 手や足を拘束し、口だけ開放した状態で爪を剥ぐとか、そう言った物理的なものと同じ……、ではない、じわじわと甚振ってから支配していくという思想がこいつの本当の姿。自分のことしか考えていないことが丸わかりのような輩だったことを理解しました。


 私を支配していると思っているのでしょうね? こいつは明るい声で言ったんですよ。


 自分のことをべらべらとね……。


 確か、こう言っていました。


『儂はな……雷の魔祖を操ることができる。それは英雄と語られている鬼族の女とは違うものだが、それでも痛いと思うぞ? なにせ儂の魔祖に触れた瞬間……周りに迸っている電気に触れた瞬間――体中に雷と同等、またはそれ以上の電流が体を走るんだ』


 これに関して私は即死になるなと返すと、それを聞いたこいつは頷きながら鼻息荒く興奮しながら続けてこう言ったのです。


『そう即死だ! だが儂はそんなあまちゃんじゃないぞ? 長く、長く痛めつけるためにいい塩梅で電気を流して、時間をかけて甚振るんだ。時間をかければかける程――いい声で鳴く。いい具合に痺れ、痙攣して、苦しみながら死ぬ。ただ身体に電流を流して身体強化をするなんぞ甘い奴が考えることだ。もっとも……、一歩歩いただけで全身に激痛が走るんだ。命とりの一歩を行うほど、お前に度胸があるのか?』


 と、私に対して挑発めいたことを言い出したのです。


 本当に拷問目的の力なんだと思いましたね。


 ところで赫破殿、緑薙殿。一応聞きます。あなた方はこいつと仲が良かったのです。だから聞きたいのですが、()()()()()()()()()()()()()()()()


 いえ……、疑っているわけではありません。むしろ聞きたいのです。私が言った通りの内容の他に、こいつはどんな力を使うことができるのかを知りたくて、もし隠しているのであればこいつの口を割らせることもできますのでね……。


 ………ふむ。


 なるほど。これで全部ですか。わかりました。


 もしかしたら隠している可能性もあるかもしれませんが、信頼している仲間だったお二人の言葉です。信じます。


 信じて、話しを続けます。


 こいつの言葉を、力のことを聞いた私は内心罠にかかった獣の様だと思い、それを言葉にしていってしまったのです。


 罠にかかった獣達はこんなにも辛いのかと頭の片隅で思いながら言うと、こいつは鼻の穴を大きくしながら笑って言ったのです。


『いい例えを言うな貴様はっ! 初めて出会った時から思っていたが、気に入ったぞ? 勿論紫刃を殺したあの部下にも一目置いているんだ! もし遺言を残すなら聞いてやってもいいぞ? どうだ? 遺言残すか?』


 ………………………とね。


 遺言はさすがにねぇ……。


 一応ここで私の話を挟みますけど、私は正直なところ、遺言とかはとことん嫌いなんです。


 料理で言うところの食わず嫌いではなく、しっかりと一口三十回咀嚼した後『まずい』と評価し、その後は絶対に食べない暗い大っ嫌いです。


 もう超超超大嫌いです。


 大嫌いだからこそ私は反応しました。


 反応はまさに嫌悪そのものです。


 声に出して嫌な顔をして私は思いましたよ。


 そんなもん残すかよくそ野郎ってね。


 こんなにも汚い言葉は久しぶりです。そのくらい私は言いたかったのでしょうね。いいえ絶対に言いたい気分です。訂正します。絶対に言ってしまう。


 それをなんとか喉で止めた私は偉いでしょう。


 あの時の自分を褒めたいくらいの頑張りです。本当によく頑張ったと思います。


 こいつの言葉を聞いて、嫌悪が出ると同時に本音を言いたい気持ちを抑えながら私は言いました。


 勿論あの言葉はなしですよ? そんな命とりなことはしません。


 でももう一つだけ言いたいこと蛾ありましたのでそれを言いました。


 魂に誓って言いました。言霊と言うそれを信じながら私は言いました。


 そうならないと思いながら私は否定を込めて――『しないよ。遺言は絶対にしない』と断言しました。


 断言した私に対してこいつは酷く不機嫌になりましたね。なんだか思い通りにいかない。そんな気持ちをひしひしと感じました。


 挙句の果てには『あぁ? しない? もう死ぬかもしれない。何度殺しても生き返る様な力を持っている悪魔族のくせに』とかなんとか言っていましたが、これは長くなると思った私は言葉を遮って言いました。


『あぁ、私は悪魔だ。あくまで悪魔族と言う立場で言うと滑稽に聞こえてしまうかもしれないが、私は本気だよ。遺言なんておいて逝かない。私が死ぬときはまだまだまだまだ先なんだ』


 そう! まさに名言と言わんばかりの発言だよクィンクッ。


 お前は私のことをよく理解している! 理解し過ぎではないKと言うほど理解していてすごく助かるよ! その言葉が欲しかったことも理解してくれて私は嬉しいよっ!


 ………………………。


 こほん。


 さて、話を戻しましょう。


 クィンクの言う通り名言を言い放った私は足を前に出して進もうとしました。


 勿論電流は放たれたまま、床に張り巡らされた状態で私は足を出したんです。


 一歩前に出して、思いっきり地面に足裏を踏みつけてね。


 え? 痛くなかったのかって? 勿論痛かったですよ、痛くて体全体に痛みと言う名の痛みが行き渡っていく。これが雷に出も打たれたような痛みなのだろうかと頭の片隅で思いましたが、そんなこと関係ないです。


 ()()私は悪魔族の体です。


 悪魔族の体だから歩めただけで、普通でしたらダメですからね。


 悪魔族の体に助かった。悪魔族の体だから歩むことができた。出来たからこそ、私は歩んで、体中の激痛に耐えながら足を踏んだんです。


 それを見て驚くこいつは私に向けて馬鹿だと言い放っていました。言い放っていましたが驚きで顔を染めていることは目に見えています。


 あぁ……でも……、今にして思うと私は馬鹿な行動をしたのでしょうね。


 足がもう焼けすぎて溶けてしまい、一種のスプラッターでした。多分私が閉じ込められていた『ざしきろう』は血まみれで事件性感じる空間になっているでしょう。


 そこの清掃費はこちらで払いますのでご了承を。


 さて、話を戻しますと、私の行動を見ていたこいつは私に向けて『馬鹿』と罵りました。『本物の馬鹿』だと言われましたが、私は答えませんでした。


 いいえ――答える気がなかった。電流が走っているがそんなの無視して、私は悪魔族の呪いなのか、力なのかわからないような回復力のまま歩んで言ったのです。


 これは私の本音です。


 しかと聞いていただけると嬉しいです。


『馬鹿でもいいさ。それでもいいさ。私は死にたくないのだから、こんなことをするのは当たり前だろうが』


『私はこんなところで死ねないんだよ。死んでしまうことは、私にとってしてはいけないことなんだ。まだまだやるべきことがあるんだ。()()()()()()()()()()()()()()()。こんなところで死ねるか。大バカ者が』


 私は正直――死にたくないです。


 こんなところで志半ばで死ぬなんて、馬鹿のすることですからね。


 死ぬことは大罪。そんな座右の銘めいた言葉を掲げている私が言うのです。死ぬなんて正真正銘の馬鹿野郎です。なので私は死にません。


 死なない。


 死ぬなんて絶対にしない。


 そう思いながら聞こうと思った時、ちょうどこいつの脳天に手刀が降りたんですよ。そう! チョップのように降りてきたそれを見た私は驚きながら倒れていく光景を見て、いつの間にか背後で手刀を構えた状態で立っていた私の従僕のお陰で、私は『ざしきろう』から出ることができた。


 これが大まかなあらましです。


 さて――お分かりいただけたと思いますが、ここで伸びて気絶しているこいつこそが鬼姫様を危険に晒した張本人であり、鬼の郷を売ろうとした曲者です。


 皆さま、どうぞどうぞ――尋問なり拷問なり、好きにして構いません。


 私はもう私の従僕が手を出してめたんこにしましたので、ストレスなくすっきりしましたので。

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