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PLAY127 止めるために③

 そうして――私が気絶してからの話が始まった。


 と言っても、ロゼロの攻撃が放たれた時は私も起きていたというか意識があったから、多分そこはみんな分かっていると思っていたんだけど、そうとはいかなかった。


 というか、あの攻撃を受けた瞬間――エドさんは違和感を覚えたらしい。


 エドさんはあの時ロゼロの攻撃を受けてしまった。


 迂闊と言うよりも不意を突かれたかのような衝撃で、エドさん自身抉られるとは思っても見なかったみたい。その時の傷があの時の服の場所だったらしい。


 脇腹抉れることはあまりないけれど、きっと相当痛いに違いない。


 ううん。私も手で痛かったのだから脇なんて柔らかい場所痛くないわけがない。


 そう思っていると、エドさんは抉られた場所を手で撫でて、その時のことを思い出しながらこう言ってきたのだ。


「抉られたりとかはまぁ痛かったよ。HPがかなり下がったし、それにあまりにも高速の攻撃だったから捌くことも限度があった。限度があった。それだけならよかったんだけど、()()()()じゃ()()()()()()()

「それだけじゃないって、()()となんか関係あんのか?」

「多分……、いいや関係ありありだと思うんだ」


 エドさんの意味深に聞こえる発言に、私は首を傾げることしかできなかったけど――アキにぃ達はどうやら知っているみたいで、少しだけ暗い空気が辺りに淀み始める。


 一体何があったんだろうと思いながらみんなのことを見ると――近くにいたシェーラちゃんが私に歩み寄ってポケットからそれを取り出して、私にそれを見せながら「これ――覚えているでしょ?」と少し、ほんの少し顔に影が出るか出ないかの俯き加減で簡単な説明を始めだした。


 ポケットから出したそれは――前にヘルナイトさんから貰ったと言っていた瘴輝石で、瘴輝石の中でも少しだけ珍しい分類に入る回復系の石……。


 確か、マナ・エリクシル――『癒琴(イヤシコト)』と言う名前の瘴輝石だ。


 それを見せてきたシェーラちゃんのことを見ながら「知っているよ――マナ・エリクシル――『癒琴(イヤシコト)』だよね?」と答えると、シェーラちゃんは「そう」と言って……。


「あんたが倒れて、傷の手当てをしようと私がこれを出して回復と傷を治そうとしていたの。あんたと言う生命線が倒れた時の保険としてね。でも……」

「でも?」


 シェーラちゃんは一旦間を置くように口を閉ざす。


 ぎゅっと口を噤んでいるその顔からは、困惑が滲み出ていて……、なんだろう……。まるでまだ信じられないっていう様なそれを出している。


 なんで?


 どうして?


 どうなっているの?


 それが顔に出ているような顔を見て私も黙ってシェーラちゃんの言葉が出るのを待っていたんだけど、ようやくなのか――シェーラちゃんが一旦落ち着こうと浅く深呼吸をして、その後私のことを見て言った。


 言ったと言っても――たった一言。



「――できなかった」



 ……それだけだった。


「?」


 たったそれだけの言葉で、一瞬というか理解が追い付かなかった私の頭。


 何ができなかったのか。何に対してできなかったのか。


 このくらい理解しろと言われてもおかしくないかもしれないけど、気絶して、今まで朦朧していた思考回路の中で理解できるのかわからない。


 正直今も朧気だけど眠いような頭で、頭の回転も疎かに感じる。


 処理が追い付かないと言った方がいいのかもしれないけど、それでもシェーラちゃんは続ける。多分……私の返答なんて聞いても聞かなくても続ける気だったのかもしれないけど、そんなこと考えてもどうにもならない。


 今はシェーラちゃんの話に耳を傾けよう。


 そう自分の頭の中で完結しながら話に耳を傾けると、シェーラちゃんは続きとなる言葉を私に告げる。


「ハンナが気絶している間、回復するために使おうと思っていたの。でも結果は出来なかった。回復スキルが効かなかったのよ。何故かわからないけど、エドの傷だけ治せなかったの。()()ね」

「エドさんの傷だけ? 一時的……? スキルが効かないって言う事あるの?」

「あったから言っているの」

「あったなー。今でも信じられないけどな」


 シェーラちゃんの言葉を聞いてシロナさんが頷きながら腕を組んで言う。思い出しながら言うその姿と、その隣で聞いていた善さんも頷きながら虎次郎さんと相槌を打っている。


 善さんの話を聞いて、シロナさんの話を聞いていた虎次郎さんも頷きながら「あんなこともあるのだな」と言ってシェーラちゃんの言葉に対して肯定を示していた。


 肯定……じゃないね。


 だって私以外のみんな見ていたんだから事実なんだもんね……。


 でも、回復できないってどういう事なんだろう……。


 そう思っていると、エドさんが「つまりね」と言って、私に向けて再度説明をしてくれる。本当に厄介だ。そんな苦虫を噛み締めた顔と、厄介と面倒混じっているもしゃもしゃ……、その中に含まれる不安と困惑が混じっている顔でエドさんは言う。


「攻撃された場所を治そうとしたんだけど、それができなかったってこと。勿論いろんな方法を試したよ。ポーション使ったりなんだったりして傷を治そうとした。でもできなかった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。拒否反応的なものが出て、拒んでいたような、そんな感覚に近いかな」


 あ、因みにポーションは虎次郎さんの所持品ね。


 そう言ってエドさんは虎次郎さんのことを見て軽く会釈をしながら「すみません。貴重な回復薬を」と言っていたけれど、虎次郎さんはなんのなんのと言わんばかりに手を振って返答をしていた。


 この一瞬の流れの時だけ、穏やかな空気が見えたけど、その穏やかもすぐに消えてしまい、神妙に戻ってしまった空気の中でエドさんは言う。


 破れてしまった衣服を人差し指と親指で抓み、それを見せつけるように軽く引っ張りながら――


「おれは受けたから嫌と言うほどわかる。あれは普通の攻撃とかじゃない。付与されていた魔法の攻撃だった。京平にも聞いたんだけど『回復できない状態異常』なんてMCOにはないみたいで、京平も初めて見たって言っていた」


 と言って京平さんのことを見るエドさん。


 ちらりと見つめると、京平さんは少し遠くで頭をがりがりと掻き、呆れるような、なんだか疲れているような溜息を吐いている。もういい加減にしてくれと言わんばかりの顰めた顔と、京平さんから出ているもしゃもしゃがもう面倒だと訴えかけている。


 エドさんと同じことを考えている。


 エドさんは弱めの気持ちだけど、京平さんは強めにそれが強調されている。


 もうもしゃもしゃの大きさでわかってしまうほどの比較。


 でも気持ちは一緒。


 厄介と面倒だというそれは一致している。


 一致している中でエドさんは言う。


 破れて、傷があった場所を見つめながら……。


「初めてで回復もできない。傷すら治せないという事態は初めての現象で、正直参ったよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、そんな感覚」

「………………」

「へ、変なことを言っているかもしれないけど、本当にそんな感じなんだっ」

「あ、いえ……、疑っているとかそうじゃなくて、それが回復に対して拒絶反応を示していた原因って言う事でいいんですか?」

「そう。そうなんだ。現に数分して感覚がなくなってから試したら回復できたから、きっとあの感覚が原因で拒絶反応が起きていたんだと思う。そしてそれを付与していたのは……、あのロゼロって言う幹部で、あの男の力でそうなっていたとなると……、かなり厄介になるかもしれない。全部の攻撃にあれが付与されているとなると……、やばいからね」


 エドさんは私に説明をしてくれた。


 それは体験談を口頭で説明してくれたそれだけど、その口頭だけでもわかってしまうことがある。


 攻撃を受けて、傷を負うと同時に回復スキルを拒絶する何かが付与されたこと。


 その付与は傷口を覆う様に押さえつけられているような感覚で、見た限りでは何があるのかわからない。


 その付与をしたのは攻撃した本人ロゼロの力かもしれない。


 攻撃全部に付与されているのかわからないけど、それでも受けてしまったら厄介。


 回復できないとなると傷も治せないし、HPも回復できない。


 一言で言うと――厄介極まりないと言う事がひしひしとエドさんの言葉から伝わってきた。


 そして同時にわかったこと。


 倒すことは――困難。


 大勢いた私達を圧倒してしまう。ヘルナイトさんがいない私達を秒で殺してしまいそうな、そんな力を持っている。


 強敵。


 それが正しい言葉。


 今まで戦った強敵が弱く見えてしまいそうな……、あ。ガザドラさんも強かったけど、ロゼロは別の意味で強いっていう意味です。


 それを理解したうえで、私はやっと頭の中がすっきりして、朧気だった内容もしっかり頭に入るようになってきた。


 思考回路が疎かな状態でもしっかりと理解できた。


 というよりも……、それを聞いてやっと目が覚めてきたというべきなのかもしれない。


 エドさんの言う事は気絶して何もわかっていなかった私に衝撃の連続を与えて、そして今まで戦った敵の中でも厄介かもしれない存在のことを教えてくれた。


 今まで戦ってきた中でももしかしたら厄介レベルが高いかもしれない存在。


『六芒星』幹部の中でもきっと強い人なんだろうな……。


「回復ができない。それは理解できましたけど、傷が治っているということは……」

「うん。一時的ってだけで、時間が経ったら回復もできたし傷も治った」


 強い人。そう認識した後で私はエドさんに聞く。


 回復ができないような状態になったのに、エドさんの傷は治っている。


 それを見て私はさっき聞いたシェーラちゃんの言葉を思い出してまた理解した。


 ()()()()()()()()()()()()()()()


 ()()()()()()()()()()()()()


 それを理解して、今度はシェーラちゃんのことを見て、シェーラちゃんの頷きを確認した後――ここでヘルナイトさんがようやく口を開いた。


 今まで黙っていたけれど、ロゼロの攻撃のことしか話していなかった中でヘルナイトさんは「話を割ってすまないが――」と言った後、ヘルナイトさんは私達に対して……、特に私に対して告げた。


「君が気絶している時、ロゼロの側近が言っていたんだ。『ボロボを滅ぼす』と、そう断言していた」


 ヘルナイトさんの言葉を聞いて私は目を見開いた。


 見開いて、本当なのかと聞こうと口を開けたけど、私は止めた。


 ぎゅっと口を噤んで、もう一度声を発しようと口を開いた時――私の口から出た言葉は……。


「……、それは、()()()()()()()

「ああ」


 何故か納得してしまい、何故か驚きもしなかった答えだった。


 冷静過ぎると言ってもおかしくないほど、自分でも驚いてしまうほど落ち着いている声。


 こうなることを予測していた……、ではない。こうなるんだろうと、どこかで思っていたかのような腑に落ちたような答えだった。


 私の言葉を聞いたヘルナイトさんは即答の頷きをして、再度みんなのことを見る。


 みんなは聞いた後で、驚いた後だからそんなに驚いていない。でもオウヒさんは私のことを見て思い出したかのように大きな『あ』と言う声を出した瞬間、みんなが驚いてオウヒさんのことを見る。


 私も驚いた顔をしてオウヒさんのことを見ると、彼女は慌てながら「あのねっ」と言って駆け寄り――私が知らないことを慌てながら、焦りながら告げた。


 もう汗が飛び出そうなほどの焦り様で、少しだけ早口で言葉の整理がついていないような言葉で……。


「私あの時捕まったんだけど、その時ボロボの大臣がいて……! あ、あの家の地下にいたんだけど、私角折られそうになって痛いって言ったのに全然手を離してくれなくて、あ、それでね変な竜人の人が助けてくれてその人とあのおばさんが戦って変な竜人さんが負けて私は逃げて何とかしようとして」

「あ、落ち着いてください……。えっと、その竜人さんって?」


 オウヒさんが言っていること、言いたいことはなんとなくだけど分かる。


 つまり危ない時にその竜人さんが助けてくれたんだけど、ラージェンラに戦いを挑んでやられてしまった。やられてしまって、オウヒさんは隙を突いて逃げようとしてあの時に至った。


 と言う事でいいのかもしれない。


 けど……、私はふと疑問に思ったことがあったのでオウヒさんに聞く。


 オウヒさんの言葉の中に何度か出てきた『竜人さん』のことについて聞こうとすると、その言葉を聞いていたキョウヤさんがオウヒさんの横に立って、オウヒさんの頭を撫でながら「あいつだよ」と言って、後ろを指さしながら告げた。


 みんなの後ろで寝ている人――ではなく、翼が生えたいその人のことを見て、私は驚きの声を上げてしまった。


「ガ、ガザドラさん……っ!?」


 そう、そこにいたのはガザドラさんで、木陰になっている場所で横になった状態で寝ている。規則正しい寝息が耳に入って来るけど、体中ボロボロなのか包帯の痕が痛々しく目に映り込む。


 包帯も少しだけ血がにじんでいて、傷の深さと相当深手を負ったことが目に見えてわかってしまう。


 わかってしまうんだけど、私が驚いているのはもう一つある。


 そのもう一つの理由はまさにガザドラさんがここにいる理由で、なぜ王都にいたはずのガザドラさんがボロボに、しかもこんなところにいるのか? そんな疑問が頭を過ると同時に、その疑問を言葉にしてみんなに伝える。


「どうしてここに……? 王都にいるんじゃ、っとぉ」

「おっと、大丈夫か?」

「あ、ありがとうございます……。まだよろけている……」


 少しヘルナイトさんの腕の中で前のめりになってしまったけど、ヘルナイトさんはそれでさえも予測していたのか前のめりになっている私の体を支えてくれた。


 がっしり……とまではいかないけど、腕だけで受け止める様なそれで私を押さえてくれたヘルナイトさんの感謝の言葉を述べて、再度ガザドラさんのことを見ると、ガザドラさんのことを見てヘルナイトさんが――


「ガザドラ殿は大丈夫だ。桜姫殿が幽閉されていた場所で倒れていたんだ。血まみれの重傷だったが、シェーラが持っていた瘴輝石でなんとか傷は治った。竜人族と蜥蜴人の血を引いているおかげなのか、それとも『六芒星』幹部ゆえなのか、致命傷は避けている状態で倒れていた。命に別状はなく、幸い……ロゼロの攻撃を受けていない。今は寝ている」


 安心しろ。ガザドラ殿はもう大丈夫だ。


 と言ってくれたことで、私は安堵のそれを吐いてガザドラさんのことを見る。


 確かに、ヘルナイトさんの言う通りガザドラさんは規則正しい寝息を立ている。顔も穏やかで顔色もいい (というか人間とは違う種族だからどんな顔色がいいのかはわからないけど、雰囲気でなんとなく穏やかだということは理解できた)のを見て、安堵のそれを吐きながら小さな声で言う。


「ガザドラさん……無事なんだ」

「無事だけど……私のせいで……、私のせい……」


 小さな私の声を聞いたオウヒさんは泣きながら自分の所為だと責めて俯いてしまう。


 俯きながら涙を拭おうと両手を使っているけれど、涙の量が勝っているのか、それともうまくで聞いていないのか拭えていない。


 オウヒさんの姿を見て、ガザドラさんを見て、みんなを見て――そして、あの時のことを思い出しながら私は考えをまとめていく。


 簡単に、でもしっかりと考えながら……、私が行動したことは――手を見ることだった。


 少し考えてまとまった結果この行動に移したんだけど、結局してもしなくても私がやるべきことは一緒。


 変わらないけど、それでも見ておかなければいけなかった。


 自分への――()()として。


 私はようやく自分の手を確かめることを行動に移した。


 こんなこと、最初にすればよかった。


 それが普通なのかもしれないけど、それをしなかったのはきっと――痛みなんてなかったから。


 痛くなかったから私は確認しなかったのかもしれない。


 もし痛みがまだあったのならしたかもしれない。


 痛くなくてもするのが普通なんだけど、残念ながら私の脳味噌は少しだけ変だったのかもしれない……。


 しれないという言葉を何度も使っているけど、もうその言葉はお終い。


 ちゃんと、ロゼロの攻撃で穴が開いてしまった手を見ようと徐に、そっと手を上げる。


 上げて――ようやく私は実感した。


 このゲームの世界の私は手袋を装備している。これはこの装備服と一緒のもので、いうなれば一式みたいなもの。


 その手袋の中央に――掌に大きな穴をあけるようにぽっかりと穴が開いていたのだ。


 エドさんと同じように丸い破れた穴。


 破れた箇所には赤黒いそれがこびりついていて、血が出ていたことをすぐに連想させる。そしてところどころについてしまったそれも相まって――やっぱり穴が開いていたんだなと思ってしまう。


「このままじゃ……だめ」


 小さく呟く。


 みんなに聞かれないように、意図して私は呟く。


 言葉通り、このままではだめだ。このままだとみんな死んでしまう。


 どころか私が死んだらダメなんだ。


 弱音なんて吐いては駄目。


 このままじゃダメ。


 だめなんだ――


 そう思うと同時に私は次に思ったのは――()()


 相手が強いから無理かもしれない。それは当然だし、今までだって強い敵に出会った。精神的に追い詰めて来る敵だっていた。今回はその中でも物理的に強くて厄介だと思った人だから、今回ばかりは流れが違う。


 私達じゃ敵わなかった。じゃなくて……、()()()()()()()()()()。初見だから何もできなかった。


 誰だってそうだ。


 初めて見たものに対して無傷で避けるなんてことはできない。きっとそう言った力があったら、余地みたいなものがあったらできるかもしれないけど、私達は常人。


 スキルと言う力があるだけの常人なんだ。


 綺麗に最初から躱すなんてできない。


 そう――()()()()


 夢じゃなかった。なんて言わない。


 夢じゃないし現実なんだけど……、あの攻撃を受けてしまっただけで私は瀕死になりかけた。事実瀕死になって気絶してしまい、みんなに迷惑をかけてしまった。


 今度は、迷惑かけない。


 ううん。戦うんだ。私も――


 みんなと一緒に……。次こそは勝たないといけないんだ。


「………エドさん、正直に聞きます」

「ん? 何?」


 私はエドさんに聞いた。静かな音色で私ははっきりとした言葉で聞いた。


 エドさんは耳を傾ける。みんなも私とエドさんの言葉に耳を傾ける。


 みんなが私の言葉を待っている。静寂である分余計に私の声が響いているような、そんな緊張感もあって、恥ずかしさもあったけど、そんなの関係ない。


 そんなの――どうでもいい。


 今は聞かないといけないんだ。


 確認と言う名の返答を、同意を聞かないといけない。


 そう思った私はエドさんに聞いた。


()()……、()()()()()()?」


 次。


 その言葉が放たれると同時に風が私達を靡かせようとする。


 髪の毛が揺れ、衣服が靡いて、視界に草木と言う風に乗る景色を映し出す。


 私の言葉を聞いて演出でもしているのかな? と思ってしまいそうなほど絶妙なタイミングで吹く風を受けて、エドさんは一幕呼吸をするように間を置くと、風が止んで、音や流れが一時的になくなると――エドさんは言う。


 みんなの顔に俯きと言う不安なんてない。


 むしろ決意改めの様な顔つきで私達のことを見ているけれど、私だって同じだ。


 みんな同じなんだ。


 みんな――こんな形の負けを認めていない。


 あんな形で負けてしまったことが悔しいに決まっている。


 それにボロボが滅ぼされるなんてとんでもない。


 絶対に何とかしたい。そうもしゃもしゃが教えてくれる。


 勝ちたい。そうもしゃもしゃが教えてくれる。


 みんな思っている。


 みんな――同じ。


「――勝つよ」


 はっきりと言うエドさんの発言に、みんなが笑みを浮かべて武器を手にして頷く。


 私も一緒に頷いて、ヘルナイトさんのことを見上げると――ヘルナイトさんも頷いてくれた。ナヴィちゃんもその近くで頷いて鼻息を立てている。


 その光景を見て、私は心に誓う。




 ボロボを守って――絶対に『六芒星』の野望を打ち砕く。




 やらねばじゃなく、やるんだ。

 

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