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PLAY90 ラドガージャの試練①

「? あれ?」


 と、降下しようとした瞬間、その光景を見ていたアキにぃが首を傾げながら声を漏らした。


 その声を聞いていた私やヘルナイトさん、近くで座っていたみんなや隣でエドさんを乗せながら疲れマックスの状態の顔を晒している京平さんも、アキにぃの声を聞いてアキにぃのことを見ると、近くで聞いていたシロナさんがスカートを穿いているのに胡坐をかいた状態で苛立つような音色でこう聞いてきた。


「んだよ今から突入するって時に、なんだ? 忘れもんか?」

「突入って軍隊ゲームじゃねえんだぞ? そんな物騒な言い方をすんな。あと忘れものとか小学生」


 シロナさんの言葉を聞いていたキョウヤさんは呆れるような音色で突っ込みを入れると、その言葉に対してなぜかつーちゃんも頷きながら同意を示している。


 そんな話をしていると、アキにぃの近くでアキにぃの話を聞いていたコウガさんは、なぜがむぃちゃんのことを胡坐をした膝の中に収めるような座り方をさせながら呆れる様な口調でアキにぃに向かってこう言ってきた。


 でも、見た目があれだからなんだか話が頭に入ってこないようなそれを感じるけど、そんな気持ちを無視しながらコウガさんは言ってきた。


「何見たんだよ……。お前のことだから症もないものだと思うけどな」

「何がしょうもないだ。てか人の目の前でそんなことをして恥ずかしくないのかあんたは」

「俺がしたんじゃねえ。この餓鬼が勝手に座ってきたんだ」

「玉座みたいで面白いと思っていたのですが、座り心地なんか最悪です!」

「はよ出ろ」


 コウガさんの言葉を聞いてアキにぃは怒り交じりの突っ込みを入れたけど、コウガさんは違うと言わんばかりに首を振り、むぃちゃんのことを指さしながら困ったように言うと、むぃちゃんはその胡坐の上に座りながら率直な感想を述べる。きっぱりとしな音色で……。


 その言葉を聞いたコウガさんはむぃちゃんのことを見降ろしつつ、ドラグーン王がナヴィちゃんにしたようにむぃちゃんの頭を『がしり』と掴むと、凄んだ音色で出るように促すコウガさん。


 そんな光景を見たとしても、むぃちゃんは「いやですー!」と言いながら拒んでいた。


 私はその光景を恐ろしいものを見たかのような目で見ると、心の中でこう思ってしまった。


 ――小さい子って、怖いもの知らずなんだな……。と。


 そんなことを思っていると、その近くで聞いていた虎次郎さんがアキにぃに「何を見たのだ?」と再度アキにぃに向かって聞くと、それを聞いたアキにぃははっとしてすぐにアキにぃは自分の目の前の真下を指さしながら思い出したような焦りの音色で言ったのだ。


「あ、そう! そうだった! なんか下で何かが動いたような……、光ったような気がして」

「はぁ? どっちよ」


 アキにぃの言葉を聞いた誰もがシェーラちゃんのような言葉を返すかもしれない。事実私もアキにぃの言葉を聞いて首を傾げてしまったし、それを聞いていた誰もが首を傾げていた。


 何を言っているんだ? そんな顔をしながら……。


 そんなみんなの顔を見てか、アキにぃは疑っていると思ったのか、焦りのそれを浮かべながらみんなに向かって張り上げるような声で「いやいやいや! 嘘なんて言っていませんからっ! みんな見てないからそんなこと言うんでしょっ!? ホレよく見て! ほらあそこ!」と言いながらさっき指さしたところを力強く指を指す。


 びしっ! びしっ! と、腕が取れるのではないかと言うくらいの勢いで下に向けて指を指すアキにぃ。


 そんな必死な光景を見た私は、内心困ったように控えめに微笑みながらアキにぃのことを宥めるように……。


「えっと、信じていないんじゃないんだよ? 私達アキにぃが嘘をつかないってことは知っているし、アキにぃだって嘘嫌いなの知っているんだよ?」

「え?」

「は?」

「はい?」

 

 あれ? なんだろう……、今背後からキョウヤさんとシェーラちゃんとつーちゃんの真顔のような音色と言うか……、真剣な疑念の声が聞こえた気がするんだけど、気のせい……、かな?


 でも私はその言葉を聞き流しつつ、一体なんで『え?』何だろうと頭の片隅で思いながら私はアキにぃに向かって続けてこう言う。


「だからアキにぃが言っていることは本当だって信じているの。でも動いたような、光ったようなっていう言葉を聞いて、どっちなのかなーって思っただけで」


 と、何とかワタワタしながらもアキにぃのメンタルのケアをしつつの言葉を掛けながら、アキにぃのことを信じているということを知らせた私だったけど、その言葉の続きを放とうとしたその時……。




 ()()()――()()()()()()()()()()()()()()()()()……。




 ううん。違う。これは違う。通り過ぎたとかそんなものではなかった。


 まるで――私達の目の前で、下から上に向かって跳ね上がったような、そんな気配と、そんな影の動きが、私の視界の端に入った。


 そう……、私達が飛んでいる上空に向かって――飛び跳ねるように……?


「――っ!?」


 そのことを知ると同時に、はっと息を呑みながら私の視界に入った……、私の左目の視界の端に入ったそれを見るために、すぐに左回りに体を動かして、そのまま自分の背後を見るように……、クロゥさんの頭がある方向を見ようと私は慌てながら首を、体を動かす。


 どうやらみんなも何かに気付いたのか、私と同じようにクロゥさんの頭がある方向を見て驚きのそれを浮かべている。みんながみんなその驚きの顔を浮かべて、別行動で飛んでいたエドさんと京平さんも驚きの顔を浮かべながらクロゥさんの頭を……、ではなく、クロゥさんの真正面で跳びはねたような体制で跳んでいるその蜥蜴人のことを見た。


 目の前で、しかもすごい上空で飛んでいるにも関わらず、飛んでいるそれ以上に飛び跳ねたその蜥蜴人を見て、私達は言葉を失った。


 目の前にいる蜥蜴人は一言で言うと、先住民族のような雰囲気を彷彿とさせる姿と雰囲気を見せていた。と言っても、その全容は分からない。太陽を背にしていたので蜥蜴人の姿と、そして腰巻のようなそれをみて私は先入観で先住民族みたいだと思ってしまった。本当はどうなのかはわからない……。


 あ、でも分かることはある。


 手に持っている手作り感満載の槍。その槍の棒と刃の接続部分につけられている赤いふわふわしたものが私の目に入り、その瞬間クロゥさんより跳んでいたその人は、そのまま一瞬の浮遊を終えて、そのまますごいスピードで下に向かって落ちていく。


 重力に従うように、そして――クロゥさんの背中に乗る体制を整えながら、足を曲げ、そして着地に備えて落ちていく。


「げっ!」

「やばいっ! 京平っっ!」

「分かっているべっっ!」


 落ちていくその人を見て、エドさん達ははっと息を呑むと同時にエドさんが京平さんに向かって落ちて来る人に向けて指をさすと、その言葉よりも、ううん。同時と言ったほうがいいのかな? 京平さんはエドさんの声が出ると同時にすごい勢いで落ちて来る人の真下に回り、真下から迎え撃つようにしてエドさんは槍を構えた。


 けど……、落ちてきたその人は何の苦もなく、そのまま槍を持っている手を使う――ことなく、そのまま空中で『くるんっ!』と半時計回りに一回転をする。


 そのまま、空中でスケートの回転を見せる様な回転をして……。


 回転すると同時にそれを見たエドさんは一瞬動きを止めていたけど、落ちてきた人はそのまま回転それを止めることなく……、って、あれ? と、私はその光景を見た瞬間、自分の目がおかしくなってしまったのかと思いながら凝視をしてしまった。


 さっきまで、落ちて来るその人は回転をしていた。スケート選手のように回っていたのだけど、一瞬、何だろうか……、回っているとき縦に見えていたその線が、()()()()()()()()()()()()……。


 そう思った瞬間、私の背後で怒鳴る声が私の耳と心を驚かせた。




「――避けろっっ!」




 その声を放ったと同時に、私は声を荒げたその人のことを見ようと、腰のひねりを使って振り返ってみようとした時、その人はもうその場にいなかった。というか……。


 ()()()()()()()()()()()。ばしぃんっっ! という音が私達の耳を再度震わせた。


 驚きはなかった。私達リヴァイヴはなかったけど、コウガさん達やシロナさん達はその光景を見て驚きながら上空を見上げている。


 その場所にいたその人の衝撃を受けたのか、その箇所だけ微妙にへこんでおり、そしてクロゥさんがその衝撃を受けて「あいたっっ!」という声を上げて痛がっていたけど、それを無視するようにその人はどんどんと落ちて来る人とエドさんの間に入り込むように、空中で曲がるように空気のそれを利用しているのか、空中でぐるんぐるんっと回りながらその方向に向かっている。


 はたから見ればすごい芸当だけど、それをやってしまうのがその人の特徴で、そして……、その予想は大当たりして、その人はすぐにエドさんと京平さんの前にするりと入り込み……。

 


 ――ばちぃんっっ!



 と、空中でエドさん達のことを撃ち落とそうとしたその堕ちてきた人の尻尾と、間に入り込んできた――キョウヤさんの尻尾が空中内ではじき合うように叩き、そして辺りに響いた。


 お互い互いの顔を見ることができなかったけど、横目でお互いの顔を見て攻撃を繰り出した。まるで――本当の蜥蜴人の戦いをしているかのように……、その衝撃の光景が私達の目に焼き付いた。


 一瞬のその光景を見ていた誰もが驚きの顔をしていた。私も驚いていたし、エドさん達も驚きながら言葉を失っていた。


 きっと、こんな風に来るだなんて思っても見なかったのだろう……。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にここまで跳んで、そのままクロゥさんごと私達を墜落……、ううん、鳥の食料を得るために落とすように繰り出したのだから……、されもが驚かないなんてことはできない。


 そんな芸当見たこともないし、それに、そんなこと亜人でもあるキョウヤさんでもできないことだ。


 でも、今跳んで、そして落ちてきたその人はそれを難なくしようとした。それを見た瞬間誰もが思っただろう……。


 この人は危ない。やばい人だと。


 けど、その奇襲が来たと同時に――ここまで跳んできた人のはっきりとした全容が見えたのも事実だ。今まで太陽の逆光で見えなかったからその全容が見えた瞬間、一体誰がこんなことをしたのか、その犯人を見ることができる。


 そう思ったのか、私とみんなは今現在でも空中で尻尾と尻尾のせめぎ合いをしながらどんどん落ちて来るキョウヤさんと、その人のことを見ようと、その人に視線を向けようとした瞬間……。


「――!」

「っうぉ!?」


 突然、一瞬ともいえる様な瞬間に、落ちてきた人はキョウヤさんのことを渾身の力を使って『ばしぃんっっ!』と弾き飛ばす。


 突然のことでシェーラちゃんも声を荒げながらキョウヤさんの名を呼んでしまう。なにせ――二人はその衝撃を受けたキョウヤさんは驚きの顔こそしたけど、せめぎ合いの末に押し負けてしまったことにショックを受けることなく、そのままキョウヤさんはくるりと空中で前転をするように回ると、そのまま衝撃を緩和させながらクロゥさんの背に乗った。


「っとぉ!」


 少し驚きの声を出しながらキョウヤさんはそのままクロゥさんの背に落ちて柔らかく着地をすると、それを受けたクロゥさんは「おっ」という声を上げながら空中を飛んでいるその高度を少し下げる。


 というか、衝撃に耐えきれずに下がってしまった。の方がいいのかな……。でもすぐに元に戻って、クロゥさんの降下を体験したキョウヤさんは慌てながらクロゥさんに向かって謝ると、クロゥさんはその言葉を聞いて「大丈夫です! 今は私よりも」と言った瞬間、クロゥさんの唸るような衝撃の声がまた響いた。


 その声と同時に、また降下するような浮遊感と恐怖が私達の心を襲うと、また元の位置に浮遊を戻すクロゥさん。その衝撃を受けた私は、クロゥさんの名を呼びながらクロゥさんの背に手を触れようと伸ばそうとした。


 勿論――回復スキルをかけようとしての行動なんだけど……、その瞬間、遠くから聞いたことがないような声が聞こえた。


「あなた方が冒険者の方々ですね。始祖王が課せた試練を受けたという」

「!」


 その声は私達の中の誰のこれでもない。聞いたことがない声だったけど、何だろうか……、まるで冷水のような冷たさを含んでいるような音色でその人は私達に向かって言うと、それ以上の言葉を言うことはなかった。


 どうやら、私達の言葉を待っているみたいな雰囲気を、もしゃもしゃを放っていたので、私やみんなはその人の声がした方向に目をやる。


 ばっと素早く目をやった瞬間、私達のその視線を見て、そしてクロゥさんの背にいる全員のことを目で一通り見た後――その人は……、落ちてきた蜥蜴の人は私達の向かって『なるほど』と声を零すような動作をした。


 実際声は出ていないけど、それでもそんな雰囲気で声を漏らすようなそれを出していた。


 体格はキョウヤさんとさほど変わらないけど痩せているようにも見える。いうなれば痩せマッチョのような蜥蜴人だった。アキにぃよりも少し背が高い黄色と白が混ざったかのような鱗で体を覆い、その体中には赤い線で何か模様みたいなものが彫られている。全身タトゥーのような模様で、その模様と藁と布で作った腰巻を見た瞬間、私は先住民族の様だと思ってしまったのだろう。でも今見ても思う。先住民族の様だなと……。そして二の腕と脹脛のところに巻かれている黒い布。そして白い爬虫類特有の目で私達のことを捉え、そしてその白い体とは正反対の蛇のような舌がちろりと見え隠れする。


 その光景を見て、私は思った。


 この人はきっと強いと、そう思ってしまった。


 そう思うと同時に、白い鱗の蜥蜴人の人は私達のことを見て冷静な音色で――


「質問をしているのですが……、あなた方が始祖王の命令でここまで来た冒険者ですか?」


 と、はっきりとした音色で聞いてきた。


 それを聞いた私達ははっと驚くような声を出すと同時に、白い鱗の蜥蜴人のことを見つめ、そして私達の代表としてキョウヤさんは「ああ。そうだよ。王様の命令でここまで来た」と言った。


 はっきりとした音色で、嘘も偽りもないような音色で言った。それを聞いていた私達もうんうんと頷きながらそうだと言わんばかりの行動をしたのだけど……、白い蜥蜴の人は私達のことをもう一度一通り見た後、その人は私達のことを見て……、流れる様な動作で槍を私達に向けて構えだした。


 まるで――私達が言っていること……、キョウヤさんが言っていることが信用できないようなそれで、その人は私達に刃を向けたのだ。


「あぁ?」

「ん?」

「な、なんで私達にそれを向けるのっ? 私達ちゃんと本当のこと言ったよ?」


 その行動を見ていたシロナさんと善さんが驚きの声を上げながらその構えに対して構えを取って返すと、その光景を見てリカちゃんが慌てながら手をぶんぶんっと上下に振りながら本当のことを言ったことを懸命に話すけど、白い鱗の蜥蜴人はその言葉を聞きながら今でも至極冷静な音色で――




「ええ。聞きました。しかし……、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ですのでそう簡単に信じるなんてことはしません。たとえ……、『12鬼士』と一緒に行動していたとしても、聖霊族と一緒に行動していたとしても……、『ボロボ空中都市憲兵竜騎団第二部隊隊長様の背に乗っているから自分たちは試練を受けに来た者だ』という証明は通じませんからね」




 と、白い蜥蜴人は言った。はっきりとした音色で、そして明らかな敵意を私達に向けていた。


 この場で殺すというもしゃもしゃを出して……。そう――本気でそう思っているというそれを出しながら、その人は私達にその意志を向けていたのだ。


 そのもしゃもしゃを見ていた私は、内心愕然とした。と言うか、何を言っているんだろうという気持ちを出しながら私はその人のことを見てしまう。


 だって私達は本当のことを言っているだけなのに、この人はその言葉でさえも信用していないような雰囲気で、私達の言葉次第で本当の殺すというそれを出しながらその人は私達に敵意を向けている。


 明らかなる殺意……じゃないけど、答え次第で殺す準備が整っているような、そんな冷静な覚悟。


 そんな蜥蜴人の言葉を聞いてか、苛立ちと怒りを剥き出しにして前に出たコウガさんはその蜥蜴人に向かって荒げる様な音色で突っかかった。


 もう試練どころの話ではない……。一触即発のような雰囲気の中、コウガさんはその蜥蜴人に向かってこう言ったのだ。


「あぁ? 俺達が嘘をこいているとか思っているのか……? あそこまで虚仮にされて、弱いと罵られたんだぞ? お前達が慕う王様に! 俺達は来たんだぞ……? ふざけんなよ……っ! なんで嘘をつかなきゃいけねえんだっ!? あぁ?」

「俺達はお嘘なんてつきませーんっっ!」

「てかなんでそんなに信じられないんですか? 証拠の『冒険者免許』でも見せましょうか?」


 コウガさんの言葉に強く同意と賛成を見せつけるしょーちゃん (しょーちゃんはあの時干からびていたので、その後でつーちゃんから事情を聞いて理解してくれました。長かったけど……)は頭に怒りマークを浮かべながら右拳を上げた。


 まるで小さな子供が反論をするように上げるしょーちゃんだけど、つーちゃんは自分たちのことを証明するためにもっと的確な物――『冒険者免許』 (長い間使っていなかったから、忘れていた……)を出そうと手を動かそうとした瞬間……。


「動かないでください」

「っ!」


 白い蜥蜴人はつーちゃんの行動を見てか、一瞬低い音色を出すと同時に、その槍をつーちゃんに狙いを定めるような体制に変える。


 そのまま、(もり)で魚を刺すように、つーちゃんの喉元にそれが当たるような体制になった瞬間……、ううん。その氷以上に怖くて冷たい視線を感じると同時に、なんだろうか……。その眼付きだけで殺されてしまいそうな殺気を放ちながら、その蜥蜴人はつーちゃんに向けてその視線を投げていた。


 つーちゃんはその目を見て、動かそうとしていたその手を止めてしまい、かすかだけど……、手や体を震わせながらつーちゃんは固まってしまった。


「つーちゃんっ!」

「ツグミさんっ!」

「てめぇ! ツグミに何しやがったっっ!」


 つーちゃんのその光景を見た私は声を荒げながらつーちゃんの名を呼ぶと、むぃちゃんも焦りのそれを浮かべながら叫び、しょーちゃんもその光景を見て荒げと怒りが混ざった顔で白い蜥蜴人のことを睨みつけると、白い蜥蜴人はそんなしょーちゃん達のことを見て……、呆れるような溜息を吐くと、彼は続けて冷静な音色で、つーちゃんに向けているその敵意を下げることなく、そのままの態勢で話し出した。


「至極真っ当なことをしたまでです。それに、まだ私は信用をしたという承認をしていません。どころかまだ私は疑っています。あなた方が本当に王の命令でここに来た冒険者なのかという事実は、簡単に塗り替えることだってできるんです。事実を証明するものを持っている? それであなた方の証明ができる? それでこそ嘘で固められたものかもしれませんからね……」


 クィーバのならず者が。


「クィーバ……?」


 白い蜥蜴人の口から出てきた聞いたことがない言葉。それを聞いた私は首を傾げながらその名をまるでオウムのように返すと、それを聞いていたヘルナイトさんはうっと唸る様な声を出した。


 それを聞いた私ははっとして、ヘルナイトさんのことを見上げると、ヘルナイトさんは頭を抱えて、白い蜥蜴人のことを見ながらふらりと……、体をよろめかせた。


「あ、ヘルナイトさん……っ!」


 その光景を見た私は驚きの声を上げながらヘルナイトさんのことを支えようと、ヘルナイトさんの胴体に手を添えて、そのまま倒れることを阻止する。


「っ! う、うう……。うにぇっ」


 支えた。けど……、大の大人……、と言うか、大の大人+大剣+鎧を着ている人を支えるほど私は力がなく、そのままヘルナイトさんは膝をつけると同時に、私は変な声を上げてとてんっと尻餅をついてしまった。


 本当に、変な声を上げて……。だ。


 その声を聞いてなのか。ヘルナイトさんは頭を抱えたまま私のことを見て、申し訳なさそうな、力がない音色で「す、すまない……、思い出した後の頭痛がひどくてな……」と言ってきた。


 それを聞いた私は焦りを浮かべながら首を横に振り、そして慌てるような音色で「い、いいえ……っ! 大丈夫です!」と言って、内心あの声聞いていないみたい……。良かった……。と思いながら言うと、私は首を振ることをやめて、未だに頭を抱えているヘルナイトさんのことを見る。


 ヘルナイトさんと同じように、頭……、はないけど、首のところを掴んで唸っているデュランさんも何かを思い出したのか、痛みに耐えるような声を上げて前足をばたつかせている。


 その光景を見た私は再度ヘルナイトさんのことを見て――おずおずとしながら聞いた。


「なにを……、思い出したんですか?」

「クィーバ……」

「え?」


 ヘルナイトさんは言う。あの時、白い蜥蜴人の言葉を繰り返すように、ヘルナイトさんは言った。


 苦しい音色で、そして……、まずいというような音色で言うと、それを聞いた私は首を傾げながらヘルナイトさんの近くまで駆け寄り、そして座ってヘルナイトさんの顔を見上げるように見ると……、ヘルナイトさんは私の頭に抱えているその手とは別の――反対の手で私の頭にそっと手を置くと……、ヘルナイトさんは苦しそうな音色で続けてこう言った。


「クィーバは……、アズールのどこかにあるという異常な街の名だ……。人はその街のことを……、『罪を犯した者達の楽園・又は荒稼ぎ達のオアシス――『クィーバ』』と言っているんだ。色んな悪事を働いている悪者の巣窟。それがクィーバ……。きっと、この蜥蜴人は私達のことを……、いいや。ハンナ達のことをクィーバと勘違いをしているんだろう……っ」

「どうして……?」

「昔、冒険者に成りすまして村を荒らしたというクィーバの輩がいたことを聞いたことがある。ちゃんと『冒険者免許』を作り、そして悪行を隠しながらその者達は悪行を裏で働いていたという。表では善意を、裏では悪行を働き、色んなところを犠牲にしてきた。きっと、この村もその犠牲の一つなんだ……」

「……だから、私達のことを……?」

「ああ、疑っている。きっと始祖王の目を欺いていると勘違いも相まって……、言葉次第では、殺すことも厭わないだろう……っ!」

「っ!」


 その言葉を聞いた瞬間、私ははっと息を呑みつつ、今もなおつーちゃんのその槍を向けている姿勢を壊さず、そして私達に敵意を向けていたその蜥蜴人は、今でも冷徹なそれを出しながら、私達に向かって再度、怖い質問をした。


「さぁ――答えてください。あなた方は、この国を浄化し、救う冒険者ですか? それとも、クィーバの残党ですか? 質問の答え次第では、その質問に対する抗議次第では……、この手を赤く染めることも厭いません」


 さぁ――答えてください。


 どっちが――本当なんですか?


 そう聞いて来る白い蜥蜴人。その言葉を聞いた瞬間、誰もが証拠となる『冒険者免許』を出せば証明できるかもしれないけど、それもできない。と言うかそれを発たれてしまった瞬間、証拠となるものを持っていない。


 何を出せば信じてくれるのだろう……。そんな言葉が頭の中をよぎっている。私もその一人で、みんなと一緒に困惑と恐怖のもしゃもしゃを出しながら固まってしまっている。


 シリウスさんは何か出せる物がないかと自分で持っているものを手当たり次第探している。デュランさんは頭を抱えたまま動けない状態。それはヘルナイトさんも同じで、何かを証明する言葉も、物も出せない中……、白い蜥蜴人の人は現在進行形で私達のことを疑っている……。


 どうしよう……。


 どうすれば私達のことを本当の冒険者として、始祖王の試練を受けに来た……、ドラグーン王の命令でここまで来た私達のことを味方として見てくれるのだろう……。


 そう思いながら、私はなけなしの脳味噌をフルに稼働させ、そして最善のそれを思いつこうと酷使をした。


 どうすればいいんだろう……、どうしたら認めてくれるの? 私達はクィーバの人じゃない。私達はこの国を……。


 この……、国を……、浄化………………。


 と思った時、私ははっと気付いた。と言うか……、考えることなのかと思ってしまいそうなくらい簡単な答えを導きだしてしまった。本当に、至極簡単なことを思い出し、なんでこんなことを思いつけなかったのだろうと自分ながらおかしいと思ってしまった。


 でも、こんな緊迫した状況だ。考えるという思考も疎かになってしまっていたのかもしれないけど、それでもこの考えに思い至った結果……、不思議と頭の中がクリアになった。そして続けて思った。


 これしかない。この人の疑心を解消するためには、これしかない。


 この人は言った。この国を浄化する冒険者って……。


 なら、そのことを証明するために、あとは行動するだけ。


 その考えを思い浮かべた私は、そっとその場で立ち上がり、ヘルナイトさんの驚きの声を無視して、そのまま立ち上がると、私は白い蜥蜴人の人に向かって……、すぅーっと思いっきり肺に空気を入れると、その灰に入ったその空気を一気に吐き出すように、私は叫んだ。



「証明できるもの――持っています!」



 その言葉を放った瞬間、今まで周りに漂っていた黒くて重苦しいもしゃもしゃが、軽くなったような気がした。


 本当に、気持ち的にも軽くなったような感じがしたので、みんな驚きながら私のことを見て、ぽかんっとして私のことを見ていた。


 しょーちゃんに至っては目を点にしていたけど、対照的に白い蜥蜴人の人は私のことを睨んだ状態のまま、その銛を構える体制を今度は私に向けて――冷静な音色で……。


「ほぉ。そうですか……、なら、いますぐその証拠を出してください。出せなかったら――このまま刺し殺します」

「おいこのや」

「っ!」


 と言うと、それを聞いていたアキにぃが激昂したような面持ちで銃を構えようとしたけど、それを見て焦りのそれを見せたシェーラちゃんがアキにぃの背にのしかかるようにしてその行動を阻止する。


 どすんっ! という音が聞こえたけど、その人はアキにぃ達のことを見ず、私のことを唯見つめながら――もう一度口を開く。


 その光景を見ながら……、私はすぅーっと息を吸って、そして()()()()()()


「さぁ――その証拠を」

「此の世を統べし八百万の神々よ――我はこの世の厄災を浄化せし天の使い也」

「っ? !」


 その白い蜥蜴の人が言い終わる前に、遮るように――私は唱えた。


 一瞬首を傾げた白い蜥蜴人のことを無視して唱えた瞬間、私の周りで白い円の靄が浮かび、その靄がどんどん私のことを覆うように広がり、そして大きくなっていくと、私は続けて唱える。


 クロゥさんの背でやってしまったこと、あとで謝ろう。そう思いながら……、私は証拠を見せる。


 この国を浄化するその証明を――


「我思うは癒しの光。我願うはこの世の平和と光。この世を滅ぼさんとする黒き厄災の息吹を、天の伊吹を以て――浄化せん」


 そう言った瞬間、私は上空に向けて顔を上げ、その上空を見上げたまま顎の辺りに手をかざし、そして再度息をすぅーっと吸うと……、私は最後の言葉を唱える。


 本当なら……、こんな状況で使うなんてしたくなかったんだけど、みんなの命がかかっていた。皆が怖がっていた。ならこの力を使って、みんなを安心させたい。


 安心させることができるのなら、これを使って証明できるなら……、この力を使う。


 きっと、この詠唱を持っていたサリアフィア様がここにいたら……、許してくれるよね……? 


 ううん。許してほしい。浄化がない場所で、みんなの命を守りたいという身勝手な判断で使ってしまったことを……許してほしい。


 そう願いながら私は唱える。




「――『大天使の息吹』」



 

 そう唱えた瞬間、私はその息を空に向けて放つと……、私の息がどんどんと形を変え、まるで聖女の姿に変わり、そのまま天空に向かって飛び立ってく。


 くるり……、くるり……。と、雲を巻き込み、回りながら息吹の聖女はそのままどこかへと行って、消えていく。


 誰もがその光景を見て再度見た人もその光景を見ながら言葉を失っていたけど、初めて見たクロゥさんと白い蜥蜴人の人はその光景を見て口をあんぐりと開けたまま固まっていた。


 私自身、最初見た時は驚きで言葉を失っていたけど、今は違う。


 私は驚いて固まっている蜥蜴人に向かって――自分の胸に手を当てながらはっきりとした音色でこう言った。


「これが――証明です。私が、私達が王様の命令でここまで来た冒険者だという……、確固たる証拠です。信じて……、くれますよね?」


 私の声を聞いて白い蜥蜴人は驚きのそれを浮かべていたけど、すぐに元の冷たく、疑心にまみれているような目つきを向けるけどもしゃもしゃは困惑のそれを見せながら、私のことを見て言葉を詰まらせていた。


 本当だったのか……。そんな気持ちを剥き出しにしたそれを、もしゃもしゃを私に見せながら……。

 

 すると――そんな私達の緊迫なそれが、突然音を立ててぶち壊れた。


 とある一人の人物の声によって――

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