PLAY63 BATORAVIA BATTLE LOYAL!Ⅱ(対戦相手)②
「い、たた……っ」
体に残る痛覚が私の体全体に行き渡り、一時気絶していた私に目覚ましをかけて起こしてくれた。
目覚まし……、と言っても、かなり乱暴な目覚ましだったけど……。
私は意識を取り戻し、視界に広がっている状況を見る。
倒れているのか視界が横になっている。世界は正常なのだけど、こうした状態で見る世界は違和感がある。
そう思いながら私はそっと身を起こしてから辺りを見渡すと……、さっきいた場所とは打って変わって、薄暗くて夜のような世界が広がっていた。
夜のような薄暗さと辺りを照らす街頭。これだと當間市と同じような夜の風景に見えてしまうけど……、私はその時間まで気絶していたのだろうか……。
「みんな……」
そしてその場所にいないみんなのことを目だけで探す。
目だけで探して、そのままゆっくりとした動作で立ち上がって薄暗い世界の中を散策する様にみんなのことを探したけど、近くにヘルナイトさんやアキにぃ達はいなかった。
もしゃもしゃも感じられないし……、きっとどこかにいるのだろう……。
そう私は思い、ふと頭の中に浮かび上がったビジョンを見て、「あ」と声を漏らした。
私の脳裏に浮かんだのは――私に向かって必死になって私の手を伸ばして掴もうとするヘルナイトさん。それを思い出した私は、はっとして今いるこの現状をなんとなく理解した。
あの時――私やみんなはDrが出したであろう鎖に括り付けられた拘束具に引っ張られてしまった。
すごい力で引っ張られたので、視界が……、世界が全然見えなかった。
砂嵐のようになっていたので、みんながどうなったのか全然わからない。
そんな中……、ヘルナイトさんは私の手を掴もうと必死になって走って来て、そしてその手を伸ばしてくれた。
私はそれを見て、引きずられながらもヘルナイトさんに向かって手を伸ばした。しっかりと掴むために、私は必死になって伸ばした。ヘルナイトさんも伸ばしたのだけど……。
結局なのか……、敵わないことだったのかもしれない。結果的に言うと、その手を掴むことは叶わなかった。
私はそのまま帝国に向かって引きずり込まれて、ヘルナイトさんの姿が小さくなっていく光景を目にしながら、私のことを叫ぶようにヘルナイトさんの声を聞きながら、私は頭に何かが当たって……、気絶してしまったんだ……。
だからこんなに頭が痛いんだ……。特に後頭部。うぅ……。
そう思いながら私は今いるこの場所が帝国内ということを悟り、そしてすぐにみんなのことを探そうと足を動かそうとした瞬間……。
「――きゅきゃぁ!」
「わっ!」
私の帽子からぴょんこと出てきたナヴィちゃん。私はそんなナヴィちゃんの声に驚きながら肩を震わせて声を上げてしまった。
驚いて、そして目を点にしながら私は、自分の頭の上で私のことを見降ろして「きゅぅ?」と鳴いては首を傾げているナヴィちゃんを見上げる。
「ナヴィちゃん」
私はナヴィちゃんをそっと手の中に納めて、そのまま自分のところに持っていき、私はナヴィちゃんの頭をふわふわと撫でて、控えめに微笑みながらこう聞いた。
今まで心配だったことを顔に出すように……、私は眉を下げながらナヴィちゃんに聞いた。
「もう大丈夫なの……? 体痛くない?」
「きゅぅ!」
私の言葉を理解しているのか、ナヴィちゃんはふんすこっ! と鼻息をふかしながら胸を張って鳴いた。
それを聞いた私は、少しだけ不安だったけど、ナヴィちゃんがそういうのならば大丈夫だろうと自分に言い聞かせて、私はにこりと控えめに微笑みながら「そう……、よかった」と言って、再度ナヴィちゃんの頭を撫でる。
ナヴィちゃんはその頭の撫でを感じながら「きゅきゃぁ~……」とリラックスしているような鳴き声を上げて満面の笑みを浮かべていた。
そんなナヴィちゃんを見ながら、私はあの時……『デノス』で起きたことを思い出す。今思い出しても……、嫌な記憶と言う認知が私を襲い、そして後悔へと導いてしまう。
『デノス』でアクロマと対峙して、絶望に淵に立たされた時、アクロマは私に向かって『自分と一緒に来い』と言いだした。
私はそれを聞いて、そしてアクロマの口から次々と告げられる重大なことを聞いて、みんなのことを思いながら、私は髪の毛を引っ張られたりと痛い思いをしたけど、それよりもみんなが傷つくことは本当に嫌だったから、私はアクロマの要件を呑もうとした。
覚悟を決めて――みんなと別れようと思った。
そんな時、私のその決心を壊して、新しい決心を芽生えさせてくれたのが――ナヴィちゃん。
ナヴィちゃんは身を挺して私を守り、そしてアクロマに立ち向かいながら噛み付いた。
本来のドラゴンの姿ならば、きっとアクロマを丸呑みにすることだって可能だったはずなのに、ナヴィちゃんはみんなのことを考えて、その場で大きくならずに小さい状態で立ち向かおうとした。
結果として……、ナヴィちゃんはアクロマの手によって傷つけられてしまった。
固い地面に叩きつけられて、痛々しい鳴き声を上げて、ナヴィちゃんは深い傷を負った。
その光景を見た私は、頭の中で何かが切れて、そしてアクロマに向かってその感情をぶつけた。ぶつけたおかげもあって、紅さんが来てくれて、私達は勝利を収めた。
…………でも、アクロマは仮面の男の手によって連行されてしまったけど……。
そんなこともあって、私はナヴィちゃんをしばらく休ませようと思って、ナヴィちゃんを帽子の中に入れて、『ゆっくり休んでてもいいからね。あとは私達に任せて』と、『デノス』を出る前に私はナヴィちゃんに優しく言った。
ナヴィちゃんは悲しそうに私のことを見上げて見つめていたけど、ナヴィちゃんもひどい怪我を負ったんだ。回復スキルで治したけど、それでもナヴィちゃんには安静にしてもらいたい。そう願いを込めて、私はナヴィちゃんに言ったのだ。
でも、今になると、その傷も調子も回復しているらしく、ナヴィちゃんは私の手からぴょんこと跳んで黒い地面に下りて、そして私のことを見上げながらぴょんぴょんと跳ねて元気アピールをする。
「きゅ! きゅぅ! きゃぁ! きゅぅ!」
と鳴きながら、満面の笑みでナヴィちゃんは鳴いていた。
それを見て、私は内心安堵のそれを心の周りに覆って、そしてナヴィちゃんの元気な姿を見降ろしながら、私はくすりと控えめに微笑んで、元気が有り余っているナヴィちゃんを見ながら言う。
「そっか……。もう、大丈夫なんだね」
そんな私の言葉に、ナヴィちゃんは跳ねながら「きゃぁ!」と鳴いて私のことを見ていたけど、ふと跳びはねながら辺りを見回して、そしてとある方向を見た瞬間首を傾げるナヴィちゃん。
その光景を見た私は、首を傾げてナヴィちゃんが見ている方向に目を向けると……、私は目を見開いて、その光景を目に焼き付けながら震える声で……、「これ……なに?」と言ってしまった。言ってしまう理由なんて明白だ。
何故なら……、私達が今いるこの場所――バトラヴィア帝国の姿を見て驚きを隠せなかったからだ。私の新しい記憶の世界とは全然違う……、ファンタジーのような世界を覆すような世界が視界にいっぱい広がっていた。
暗いから夜なのかなと思っていた空の世界は作られた物で、上を見上げるとプラネタリウムのような、ドームのような黒い何かが私達が今いる世界を覆っている。
夜空も当たらないし、空と言うものが存在しないような、そんな丸みを帯びた黒い天井だ。そんな人工的な世界を彩って照らしていたのは――人工的な光。街頭のような光が所々の道を照らしている。
私たちがいるところは見た限り住宅がのようなそれだけど、家の作りはアルテットミアと同じ煉瓦で造られている。でも……、この空間には活気と言うものが一切感じられなかった。もしゃもしゃもあまり感じられなかった。
いうなれば――人の気配がしない。そう言った方がわかりやすいと思う。
そして私が見て驚いたまま固まってしまったその風景は……、この空間内の中央にある大きくて山のようにそびえたっているそれを見た私は唖然とした顔でその光景を見ていた。
山のようになっているそれは四つの断層に分かれており、上に行くにつれてその活気があふれるもしゃもしゃが大きくなっていた。ナヴィちゃんも白い丸い目をして口をあんぐりと開けながらその光景を見ている。
初めて見る光景だから……、仕方がないかもしれないな……、うむむ。
山のてっぺんにある煌びやかなそれはたぶん……帝王が住んでいるお城。だと思うけど、白すべてが金ぴかで、こんな薄暗い世界だから目がおかしくなりそうな色をしている。そう私は思い、そのまま視線を下に向けて煌びやかなそれから視線を逸らした。
帝国のお城の下の断層は普通の風景と言うか……、帝国のお城の周りはキラキラとしてて目が痛くなりそうなそれだったのに対し、帝国のお城の下の断層になった瞬間、その煌びやかがなくなって、質素の中に含まれる裕福そうな雰囲気を漂わせながらその場所に佇んでいた。
よくある裕福層のような雰囲気と思えばわかりやすいと思う……。
そしてその裕福層の下の断層に行くと、更に質素になって私達が住んでいるかのような雰囲気が漂う。懐かしいようなそれを見て、私は最後の断層……、つまりは私達が今いる場所を見ると、上の断層とは打って変わっての激変だ。
明らかにここだけ違う雰囲気を漂わせている。ここだけ別世界のような、露骨な風景が広がっている。というか……。
「?」
私は足元を見降ろしながら、私の下から湯気の様に漏れ出しているもしゃもしゃを感じながら、私は不審感を抱いた。
自分ことを抱きしめながら、私は足元――下……、ううん。もっともっと、地下深くの下を見降ろしながら、感じながらこう思ってしまった。
――この下に、誰かがいる……?
そう思いながら私はぶるりと震えながら舌を見降ろしていると、ナヴィちゃんは私の肩にすとんっと乗っかりながら、ナヴィちゃんはある方向をに向かって「きゃきゃ!」と鳴いた。
その声を聞いた私は、はっと現実に返りながらナヴィちゃんを見る。ナヴィちゃんは「きゃぁ! きゃ!」と鳴きながらとある方向を見て、小さくぴょんぴょんと跳ねながらナヴィちゃんは、私に何かを知らせていた。
私はそれを聞いて、そしてある方向を見る。ナヴィちゃんが見ていた方向はとある家の窓。中が薄暗くて一瞬中の様子が見えなかったけど、幸いなのか、それとも忘れているのか――カーテンがされてない。
それを見てか、ナヴィちゃんは私の肩からぴょんっと跳んで降りて、そのままぴょんこぴょんこと跳ねながらそのカーテンがされていないところに向かって行き、そしてそのカーテンがされていないところを見て、私のことを見てを繰り返しながらナヴィちゃんは鳴く。
「きゅぅ! きゅぅ!」
「………もしかして」
私はそんなナヴィちゃんを見ながら、なんとなくだけど察してしまった。ナヴィちゃんがしてほしいこと、私にしてほしいこと……。それはたぶん……。
このカーテンがされていない家に入って、帝国の住人に話をしながら情報を集める。ということなのだろう……。
確かに、しょーちゃん達がよくやっているゲームでは家に入って住人に話しかけながら情報を探るということがあったような気がするけど、正直それはしたくない。そう私は思ってしまった。
理由は簡単なことで、家に突然知らない人が入ろうとすれば、誰だった警戒して入れてくれないだろう……。そう言った当たり前の常識を考えた私は、うーんっと唸りながら腕を組む。
確かに……、何の情報もなしに引きずられてしまったし、ガーディアンがどこにいるのかすらも分からない。且つ私一人だと無理だろう。戦いにおいて、メディックは無力……。
そうなると……、やっぱりみんなの情報を手に入れて、みんなといち早く合流した方がいいかもしれない。
それに……、もうDrが言っていた『バトラヴィア・バトルロイワイヤル』も始まっているのかもしれない。だったら急いで行動して、みんなと合流しないと……。
そう思った私は、すぐにナヴィちゃんのことを手に乗せて、そのまま肩に乗せてから私は「ありがとう」とお礼を述べて指でナヴィちゃんの顔を一撫でする。それを受けたナヴィちゃんは、嬉しそうに微笑みながら「きゅきゅ~」と頬を桃色に染めて和むように鳴く。
その顔を見て私は一瞬和んだ後、すぐにその近くにある家のドアに向かって走って、そしてドアの前に立る。木で作られたドアで、少し腐りかけているような雰囲気もあったけど、私は胸に手を当てて深く、深く深呼吸をしたあと――意を決してそのドアに向かって握りこぶしを向ける。
向けてから私は、そのドアに向かって……。
――コンコンッ。
ノックをする。二回ノックして、私は中から声がするのをじっと待つ。待たないで開けるのはマナーとしてはよくないので……。ノックをした後でじっと待った。
「きゅぅ?」
でも……、待てど待てど中から声がしない。物音ひとつしない。
それを感じた私は、もう一度ノックを二回する。今度は少し強めに。寝ているかもしれないので起こすように、私は二回ほど扉を叩いた。けど……誰も出てこない。
――留守なのかな……? と思いながら、私はここには誰もいないことを確信して、少し遠いけどまだ何喧嘩家があるので、その家を回って話を聞いて見ようと足を動かそうとした時……。
違和感が急速な勢いで襲い掛かってきた。突然来た悪寒と同じくらいのそれだ。
「きゅ? きゅぅ?」
ナヴィちゃんの心配そうな声を聞いた私だけど、私はその声に対して返事をする余裕が――心の余裕がなかった。
私はその家の前に来た時、ノックを何回もした。強めのノックをした。
けれど……、誰も出なかった。
物音ひとつしなかった。そして何より、足元から上に向かって湯気の様に漏れ出しているもしゃもしゃは感じられるのに、家から出るもしゃもしゃ――起こされた怒りとか、面倒くさいというもしゃもしゃが――
一切感じられなかった。
「――っ!」
急激に来た悪寒が嫌な予感に変わり、私の感覚が、勘が突然囁いてきた。
それもダイレクトに、耳に直接響かせるようにその声は――私と同じ声は私に向かって囁いてきた。
驚いてわたわたしているナヴィちゃんを無視して、その声が私にこう言ってきた。
――早く誰かと会って――
それを聞いた私はすぐに家の人に聞くことをやめて、みんなのことを自分で探しに行こうと足を急かしなく動かそうとしたその時……。
『レディースアーンドジェントルメーンッッッ!』
「っ!」
「きゅきゃっ!」
突然、大きな声が……、と言うか、よく体育祭とかで流れるスピーチのような声が私達の周り……、ううん。帝国内に響き渡って、私達の耳を、鼓膜を破壊しに来た。
私は耳を塞ぎながらびりびりとくるその反響音に耐え、ナヴィちゃんはぶわわっと毛を逆立たせながら驚いてしまっている。
私はそれを見て、すぐにナヴィちゃんを抱えようとするけど、今まさに両手がふさがっているので、そうすることができない……っ。ご、ごめん……。あぅぅ……。
びりびりと、耳を塞いでいても鼓膜に響く大音量のスピーカー音。
その声を聞きながら私は大音量の声に耐えながら目を開けて、そして不思議と明るい箇所を見上げると……、私はそれを見て……。
「は?」と声を漏らしてしまった。
漏らして、そして言葉を失いながら、煌びやかに光り輝く帝国のお城の背景にでかでかと浮かび上がる液晶画面――ううん、これはきっと……、秘器を使った映像だ。それに映し出されている人を見る。
映し出されている人は異質で――細身の体に黒いタキシードを着て、白い手袋を嵌めているけど、顔だけは金色のマイクのような甲冑を被って陽気な音色で金色のマイク (型の秘器)を手に持ちながら、その人は画面越しに私達を見ているようなしぐさでこう言った。
上の方で大きな歓声を浴びながら、その人はこう言ったのだ。
『さぁ此度はバトラヴィア帝国の一世一代の催しをご覧になるため、帝宮内にお集まりいただいた数多の貴族様方! そして市民の方々! 誠にありがとうございます! 皆さまはワタクシのことはもうご存知かと思いますが、きっと知らない方も多いこと! ということで改めまして自己紹介をしましょう! ワタシクは帝国の侍女頭にして神でもある帝王の傍にお仕えしております執事頭! ネテロデディア・ミートゥド・クイッセルドです! 以後、よろしくお見知りおきを!』
マイクの男――ネテロデディアは深く深く頭を下げながら自己紹介をした。それを聞いてか、上の方から『ワァアアアアアッ』や、口笛の音が聞こえてきた。
それを聞いてか、ネテロデディアはすっと手を下げながら『ドウドウ』と言う仕草をすると、観客の声が一気に静まり返った。
私もやっと静かになったおかげで、やっと耳から手を離すことができ、そしてナヴィちゃんと一緒にネテロデディアを見つめる。
ネテロデディアは『それでは――』と言いながら、彼は前のめりになり、そして画面に顔を近づけながら私達……を見ているのかは定かではないけど、それでもネテロデディアは言った。
陽気な音色と真剣な音色が合わさっているかのような音色で、彼はこう言ってきた。
『これよりバトラヴィア帝国一世一代の初にして大掛かりな催し――この国に迫りし脅威を打ち倒す騎士団と我々に協力する冒険者一味……『バロックワーズ』の雄姿を歴史に刻む戦い……。『バトラヴィア・バトルロイワイヤル』を……、開! 催! いたしまあああああああああああああああすっっっ!!』
――ワアアアアアアアアァァァァァーッッッ!――
その声を聞きながら私は表情を強張らせながらその光景を見て、そしてこれから始まる……、私達の一掃の全容を耳に入れて記憶に刻む。
ネテロデディアは言った。陽気な音色で、背景に映し出された赤い点々と青い点々を出しながら、彼は黒板の前に立つ教師のように指差しで説明を始めた。
『まずは今回、我が帝国に仇名す集団は『バロックワーズ』と同じ冒険者の一味! 帝国を滅ぼそうと目論んでいる輩で、それを一掃すれば帝国の勝ちと言うシンプルな勝敗! でもまぁ、我々帝国が負けることなどありえない! そう思うでしょう観客の皆さああああんっっ!?』
――オオオオオオォォォォォォォォォォッッッッ!――
ネテロデディアの言葉に同意するように、観客は大きな声を上げている。どこにいるのかはわからないけど、その声は私がいるその場所からでもよく聞こえていた。
その声を聞いて、ネテロデディアはうんうんっと腕を組んで、大袈裟なジェスチャーをしながら頷いてから、彼はすっと中央から避けて、画面を私達や観客に見せるようにしながら、彼は説明を続行する。
『さて――戦闘の始め方……つまりはルールですが、いたってシンプル!『出会いがしらの者たちと戦う』! つまりは出会ってすぐに戦闘ということになります! 不意打ち罠張りもオーケーと言うものです! そしてそれが終われば加勢や不意打ちをしても大丈夫! 要は勝てばいい! それだけが全てです! なお――最初は青チームは二人一組となって我が帝国の幹部やバロックワーズの幹部の一人に戦いを挑むことが最重要事項なので、そこのところはご了承を! それに彼等は帝国を守りし七団団長! そうそう負けることはないので、これはハンデと言うべきでしょうかねっ! そして勝敗は……、死ぬか再起不能になったほうが負け! これらどちらかをすれば勝利となります! 万が一、帝国が負けて相手チームが勝った場合は二対一のコンビを解消し、お互い別々のところに行くことができます! つまりは一番最初だけは必ず二対一で戦うこと、これは絶対条件です! 棄権なし何でもありのバトルロワイヤル! 試合放棄もなしですのでご理解の方を!』
私はそれを聞きながら、今説明されたことを頭の中でまとめる。そしてまとめたものを頭の中で復唱しながら頭に刻み込む。
まず――最初の戦いは出会いがしらで、会ってすぐに戦闘になる。
勝利条件は殺すか……、再起不能……、きっと四肢部位破壊だと思う。それらのどれかをすれば……、勝利か……。私は絶対にしたくないな。そんな痛いこと……。
そしてその後、勝ったら味方チームの加勢に行ったり、罠を張ってもいい。
危険もできない。試合放棄もできない二対一の……………、って。
と、ルールを頭に叩き込みながら私は辺りを見回して、そしてルール説明にはあったのに、私にはないことを思い出す。ナヴィちゃんはそんな私を見て首を傾げていたけど、私は困惑する面持ちで辺りを見回しながらこう思った。
というか、気付いてしまった……。
私達のチームは二人一組で帝国の人と戦わなければいけない。けれど、私は……、たったの一人。ナヴィちゃんもカウントされている……、わけないか。
でも私は今現在一人……、こう言った場合は、どうすればいいのだろうか……。
そう思っていると、突然ネテロデディアは『あー! そう言えば忘れていました! 失敬失敬!』と、頭を叩きながらうっかりさん演出をする。
それを見ていた人達はどっと笑いを上げていたけど、私はそれを聞いて顔を上げながらネテロデディアを見ると、ネテロデディアは『ピッ』とピースサインを出しながら、真正面を見て陽気な音色に淡々としたそれを混ぜ合わせたような音色で、彼はこう言ってきた。
『相手チームは二人一組で行動しろと言っていましたけどね……。えっと……、ハンナさんとヘルナイトさん』
ネテロデディアは用紙を見ながら説明をはじめ、そして私は自分の名を聞いた瞬間、心臓に来る嫌な音を聞いて、突然来た不安に驚いて困惑しながらも、私はネテロデディアの言葉を聞く。耳に入れよとした瞬間……。
ネテロデディア画面に顔を近付け、狂喜の笑みを浮かべているような雰囲気を出しながら、彼は言った。低い音色で、こう言った。
『この二人だけは最初から一人で戦っていただきます』
その言葉を聞いた瞬間、私は全身の血の気が引いた。一気に体から流れ出てしまったかのように寒気を感じた。背中の汗も尋常ではない……。
何故そんなことを……? そう思っていた私だけど、すぐに理解できた。
Drと帝国は、もしかしたら最初からこうするつもりで私達をバトルロワイヤルに参加させたかったのかもしれない。そうすれば、楽にこの仮初を守ることができるから……。
簡単な話だ。
私とヘルナイトさんはガーディアンを浄化する力を持っている。
つまりは私とヘルナイトさん、どちらかが欠ければ浄化なんてできない。今の仮初を守ることができる。
つまりは――私を一人にしてこのまま倒せば……、帝国の勝利は確定。という完璧なシナリオが完成するのだ。
それを理解してしまった私をしり目に、ネテロデディアは陽気な音色で子供番組にでよくやる手を振る仕草をしながら彼はこう言った。
『これでルール説明は終了ですっ! なおこのネテロデディア……、バトラヴィア・バトルロイワイヤルの実況もしますので、楽しんでいただけると幸いっ! そして皆さんで帝国の勝利を願いましょう! それでは……バトラヴィア・バトルロイワイヤル……開始のゴングを鳴らすぞぉおおおおっっっ!』
ネテロデディアは手を大きく手を広げて、背後にいる大きな銅鑼と、その銅鑼の撥を持っている女性を指さしながら高らかに叫んだ。
混乱して、これからどうするかと試行錯誤をしている私をしり目に事態は刻々と進んでいく。大胆な展開のまま進んでいく……。
そして――




