PLAY60 出会い――そして思わぬ再会④
「おぉいティティッ! 大丈夫だったかっ!?」
先頭を走っていたキョウヤさんが私達がいるであろう砂の山の下を見降ろす。
その声を聞いたティティさんは、うっと唸りながらバツが悪そうな顔をしてキョウヤさんから目を逸らす。
それを見たキョウヤさんは首を傾げながら「あ? どうした?」と、ティティさんに向かって聞く。
私は内心ティティさんの気持ちを一部知っているので、そんなキョウヤさんの言葉に応えることができないティティさんを見上げて、私は控えめに微笑みながらティティさんの手をぽんぽんっと叩く。
心の中で――ティティさんのことを応援しながら……。
その光景を見ているとキョウヤさんの両隣に――
「何してんのよハンナとヘルナイト。あんた達がいなくなったからアキがもう猪の如く走って行ってしまったのよ? 追いつくのに時間がかかっちゃったわ」
「ティティ――大丈夫? 怪我していない?」
ひょっこりと顔を出すシェーラちゃんとティズ君。
ティズ君の顔を見たティティさんはぱぁっと感極まる笑顔で見上げて――ティズ君の名前を呼ぶ。
その言葉を聞いていたクルーザァーさんも、シェーラちゃんの隣でひょっこりと顔を出しながら「――理由は後で聞くとして……、大丈夫そうだな」と呆れ半分と安堵半分のその表情で言って、更にはリンドーさんもティズ君の隣に来て、みんなと同じようにひょっこりを顔を出しながら――
「お三方無事の様ですねー。よかったよかった~」
と、ニコニコとした笑みで言った瞬間、リンドーさんとクルーザァーさん、そしてティズ君ははたっと私達から視線を逸らして、少し遠くにいるセレネさんに視線を向けながら三人は……。
「む」
「「あ。セレネさん」」
クルーザァーさんは『おっ』と言う顔をして驚いて、ティズ君とリンドーさんは声を揃えながらセレネさんの名前を……。
………って、あれ?
私は内心首を傾げながら思った。
今――ティズ君とリンドーさん。セレネさんのことを呼んでいた。
まだセレネさん名前を言っていないのに、それでも二人は……と言うかクルーザァーさんもセレネさんを見て、初めてではない雰囲気――久し振りに会ったような表情を浮かべていた。
私はそれを見て、頭の中の箪笥を漁りながらとあることを思い出した。アクロマのことがあったからかなり久しいようなそれだけど……、それでも私は思い出した。
あの時――ボルドさんは言った。
――僕達は四チームの徒党で、二チームずつに分かれてその二つのパーティーを壊滅……、言い方が悪かったね。『ネルセス・シュローサ』のように、永久監獄に閉じ込めようと思うんだ――
と。
それを思い出し、そして小さな点と点が繋がったかのように、私は合点した。
ティズ君とリンドーさんはセレネさんを知っていた。なぜ知っていた? 理由はたった一つ……。
ボルドさんが言っていた四つの徒党の中の一つが、セレネさんが入っている『レティシアーヌ』だったのだ。
カルバノグ、ワーベンド、あともう一つのチームとレティシアーヌ。
この四組の徒党が手を組んで、『BLACK COMPANY』とバロックワーズを永久監獄に連行しようとしているのだ。
それを知った私は、一人で納得しながら「あぁ」と手を叩いて頷く。
その光景を見ていたヘルナイトさんが、言葉を発しないで手を叩いた私のことを見降ろしながら、首を傾げていたけど、ヘルナイトさんももうすでに察していたのか、小さな声で……「そう言うことか」と呟いていた。
すると、キョウヤさんがそんな私達のことを見て、首を傾げながら「なに勝手に考えて勝手に自己完結してんだ……? あいつら。って、うぎゃぁ! アキどしたっ!?」と、傍に転がっているのだろうか、キョウヤさん達はアキにぃがいる方向を見ながら驚いた顔と声を上げていた。
私はあっと声を漏らしてキョウヤさんの方を見上げると――キョウヤさんたちとアキにぃが何かを話していた。
ところどころアキにぃの突っ込みのような声が聞こえるけど……、それに対して誰も首を突っ込もうとはしない。
そんな言葉を聞きながら、私は乾いた笑みを浮かべながら見上げていると……。
「?」
ふと、私は偶然視界の端に入ったセレネさんを見て、私はセレネさんのことをちゃんと見ようと顔をセレネさんに向けた瞬間……。
私は、ぎょっとしながら、目を疑うように目をごしごしご拭いながら、私はセレネさんのことを見た。
セレネさんは赤くてどろどろとしたもしゃもしゃを出して、吊り上がった眉を顰めながら、エメラルドの瞳を黒く染めて――怒りを抑えているようなそんな顔をして、砂の山を見上げていた。
腕を組んで、いかにも『怒っています』オーラを出しながら……、セレネさんはその砂の山の反対側に向かって歩みを進めた。
ずんずんっと歩みを進めていくセレネさん。
その光景を見て、私とヘルナイトさん、そしてティティさんと銃を持った人は、セレネさんが向かって行くその方向について行くように、歩みを進めて後を追う。
追って、急な坂で登れるかわからなかった場所から、なだらかになって登れそうな場所に向かって方向を変えて、そのままセレネさんはずんずんっと、砂をまき散らしながら歩みを進める。アキにぃ達がいるであろうその場所い向かって歩みを進めていた。
私達もその方向に向かって歩みを進めていると……、みんながアキにぃを見てワイワイと話している――ところから少し離れた場所に、一人の赤とオレンジが合わさったかのようなセミロングヘアーで、ガーネットさんとなじ黒いパンツスーツを着ているけど、腰には何か重そうな道具が入っているずっしりとしたウエストポーチを腰につけている。そして左二の腕に真っ赤なハンカチを結んで、赤いハイヒールを履いている耳長の女性が細長い鎖をを持ってふぅっと息を吐いていた。自分の足元を見ながらその人は再度息を吐いて――
「――まったく。ちょっとはよく考えなさい。あなたのその忠誠心に対してとやかく言うつもりはないけど……、さすがにあれはやりすぎよ? もう少しであの坊や――死ぬところだったじゃない。うちの専属医であっても……『蘇生』のスキルは習得していないの。わかる? ガーネット」
ガーネットさんのことを注意しながら、その人は再度アキにぃ達のこと見てため息交じりに言った。鎖を持ちながら、頬に手を添えて……。
その光景を見て、私は三人と一緒にその長身の女性の後姿をセレネさん越しに見ていると……。
「だからぁ! 俺は殺されそうになった側だってっ!」
「殺されそうになったイコールあんたが変なことを言ったからでしょ? あんたはシスコンだからハンナに危害が出るとか勘違いして何もしていない人に対して嘘つき呼ばわりしたからでしょ? 完全完璧に自業自得よ」
「そうだろうな。俺は最近になってと言うか、出会って数日でそれを知り、そしてお前のそのシスコンがもはや病気だということに気が付いた。完全完璧にそれはお前のせいだな」
『うんうん』
「ちょぉいちょぉいちょぉいっ! 全員して俺の所為にしないでっっ! だったら俺のことを攻撃してきた人とか、あとハンナ達に聞けばきっと俺の無実は証明されるっ!」
「あー……、おう……。てか、いつお前の冤罪証明になったんだ……? これ」
「……うーん。人を見た目で決めつけるのはよくないことだけど……、みんなアキ君に対してちょっと冷たいね……。特にシェーラちゃんの言葉がきつい……っ!」
「すまなんだ。しぇーらにはきつく灸をすえておくとする」
アキにぃがなんだかみんなに慌てながら説得していた。
みんなはそんなアキにぃのことを見ながら目を細めてさっき銃を持った人が言っていたその言葉をシェーラちゃんやクルーザァーさんがいい、それを聞いていたキョウヤさんとボルドさん、そして虎次郎さん以外のみんながうんうん頷きながらアキにぃを見て言う。
アキにぃはそれを聞いて、驚愕に顔を染めながら辺りを素早く見渡しながらセレネさんか私達、そして攻撃を繰り出そうとしていたガーネットさんをすぐに探そうと行動に移した。
その光景を見ていたキョウヤさんは、首を傾げながら今起きているこの状況に、『なぜこうなってしまった?』と言う疑念を顔に出しながら言い、ボルドさんはその光景を見てびくびくとしながら見ていたけど、虎次郎さんが腕を組んで申し訳なさそうに言ったことで、ボルドさんは大慌てになりながら「いや――僕はそう言う意味で言ったわけじゃ……っ!」と、何とか弁解しようと口をもごもごとさせていた。
そんなことが行われていたとき、アキにぃはふと私達と、そして長身の女性の足元にいるガーネットさんを見つけた瞬間、アキにぃは指をさしながら叫んだ。
「あぁ! あいつ! あいつが突然俺に向かって襲い掛かってきたんだっ! あいつの話を聞けば、きっと俺の無実だって証明されるっっ!」
「いやお前の無実とか濡れ衣とか全然興味ねーんだけど……」
そんなアキにぃの言葉を聞いていたキョウヤさんは、目を楕円形の丸いディフォルメの目にして呆れながら突っ込みを入れていたけど、その光景を見て、そしてボルドさんはその人達を見た瞬間……。驚いた目をしてアキにぃに向かって叫んだ。
「あああああアキ君っっっ! 今すぐ謝った方がいい! 土下座しよ! 土下座っ!」
「っ!?」
「ボルドのおっさんアキを裏切った」
ボルドさんの言葉を聞いたアキにぃは、ぎょっとしながらみんなのほうを向いて絶句していた。そしてその光景を見ていたキョウヤさんは、驚き半分困惑半分の顔でボルドさんのことを見ながら混乱しながらの突っ込みを入れる。
その言葉を聞いていたボルドさんは――手でセレネさんのことを指さしながら、大慌ての様子でみんなのことを見ながら――と言うか、アキにぃ、キョウヤさん、シェーラちゃんに虎次郎さんに向かってボルドさんは言った。
「あの人は僕達と一緒に『BLACK COMPANY』と『バロックワーズ』を止めようと協力してくれているチームリーダーさんで、世界の大富豪とも云われているすごい権力を持った人なんだよっ!」
ボルドさんはセレネさんのことを指さしながら (手でそっと差し伸べているので、事実上は指をさしていない) 大慌ての様子で言う。
それを聞いたアキにぃ達の顔が――一瞬のうちにざぁっと青ざめたものになって、驚愕に顔を染めながら、震える瞳孔でセレネさんを見た。
セレネさんは無言でボルドさん達を見た後――ふぅっと息を吐いて、そしてボルドさん達を見た後……。
「……すまない。少々時間をくれないか? こっちで話をしておきたい」
と言って、セレネさんはガーネットさんを拘束している人のことを見上げながら言う。それを聞いていたクルーザァーさんも頷きながら「ああ」と言い……。
「こっちでもちゃんと話しておきたいからな。お互いに時間をかけよう」
と言うと、それを聞いたセレネさんは、また直角九十度の会釈をして凛々しい声で「すまない」と言ってから、セレネさんは長身の女の人に向かって「連れてこい」と言って、そのまま私達から離れるように歩みを進めた。
それを聞いていた長身の女の人は、「分かったわ」とセレネさんのことを見ながら、ガーネットさんを引きずるように歩みを進める。
よくよく見ると――その人は本当にきれいな人で、カッコイイと言う印象も強いけど、それを掛け合わせたかのような顔をしている。耳にはひし形の青い宝石のイヤリングをつけて、口元のほくろも相まってその綺麗さを更に上げていた。
セレネさんが歩むと同時に、銃を持ってついて来ていた男の人もその長身の女性の後を付いて行くように歩みを進めるけど……、ふとその人は、キョウヤさんのことをじっと見た。
「?」
キョウヤさんは首を傾げながらその人を見ていたけど、男の人はそのままキョウヤさんのことを頭のてっぺんから足のつま先までじっと見つめ、それを三回繰り返し、キョウヤさんの体をスキャンする様に見た後、そのまま何事もなかったかのようにセレネさんの後を追う。
キョウヤさんはおろか、私でさえも首を傾げて見てしまっていた。理由としてあげるのなら……、あの人はキョウヤさんのことを見ていた。
まるで――キョウヤさんのことを知っていたかのような目つきで、彼はキョウヤさんのことをじっと見ていた。何かに対して、じっと見ていた。
そんな気がしていた。
「ハンナ――どうした?」
「!」
突然斜め上からヘルナイトさんの声が聞こえた。私はすぐに思考を遮断して現実に戻り、そしてヘルナイトさんのことを見上げながら慌てて「い、いいえ……っ。大丈夫です」と言った。
それを聞いていたヘルナイトさんは、少し私のことを見降ろして考える仕草をしていたけど……、その時遠くからティズ君の「おーい」と言う声が聞こえた。
その声を聞いた私とヘルナイトさんは、その声を聞いて振り向くと、そこにはすでにみんなが集まっていて、いつの間にかティティさんも来ている状況で、ティズ君は私達に手を振りながら「こっちこっち」と、自分達のところに引き寄せるように手招きをしていた。
私とヘルナイトさんは、ティズ君の言葉を聞いてすぐにみんなの元に駆け寄ると、ティズ君はクルーザァーさんに向かって「揃ったよ」と言うと、それを聞いていたクルーザァーさんは、私達リヴァイヴのことを見ながら、一回ゆっくりとした深呼吸をしてからそっと口を開いた。
「お前達に詳しく説明していなかったことは詫びる。そして今からお前達に告げる。よく聞いておけ。お前達が見たあの四人は――俺達と協力しているチームの人達で、事実上彼等は俺達の仲間だ。セレルディーネルナ率いる『レティシアーヌ』と、もう一組の『ローディウィル』。その二チームとこれから合流して、帝国に入り作戦を実行する。これが俺達の最後の賭けとなる。アクロマとそして『バロックワーズ』のリーダーともども永久監獄に投獄させ、そしてガーディアン浄化をする。これが俺達とお前達の最終目標だ。言っておくが、ボルドが言っていたことは本当でな。アキ――お前がもしセレルディーネルナを狙撃したら、もしかしたら……、まずいことになっていたかもな」
私とヘルナイトさんはなんとなく察していたので、内心やっぱりと思いながら相槌を打っていた。
そしてそれを聞いていたシェーラちゃんと虎次郎さんは、目を見開いて、そして今まさにセレネさんがお声を上げながらガーネットさんに対して怒鳴っている声を聞きながら、二人は言う。恐ろしいものを見たかのような顔で、二人は言った。
「………マジ?」
「あの者達がか? と言うか、まだ仲間がいたのだな」
シェーラちゃんは引き攣った笑みを浮かべながら言い、そしてそれを聞いていた虎次郎さんは、初めて聞いたかのような顔をし、そしてまだ仲間がいたことに驚きながら……、って、そういえば虎次郎さん駐屯医療所で仲間になったから、それ以前のことを知らないのは当たり前か……。
私ははっと思い出しながら虎次郎さんを見る。
そしてキョウヤさんは、そのままアキにぃのことを横目で見て、そして青ざめたアキにぃを見ながらキョウヤさんは呆れた目をして――
「お前、正直に言った方がいいぞ。あと大富豪で権力者ってことは……」と、キョウヤさんはアキにぃに向かって言う。それを聞いたアキにぃは、俯き、そして震える声でアキにぃは……。
「あ、あとで謝っておく……っ」と、さすがに怖気付いてしまったのか、アキにぃは青ざめながら言った。それを聞いて、近くにいたメウラヴダーさんはアキにぃの肩を叩きながら困ったような笑みを浮かべて「ドンマイだ」と言って、それを聞いていたクルーザァーさんもうんうん頷きながら、アキにぃのことを見て「その方がいい」と、背中を押した。
その言葉を聞いた私は、近くにいるギンロさんとリンドーさんに向かって――
「もしかして……、あの四人の他にも……」と聞くと、ギンロさんは腰に手を当てながら私のことを見降ろして、にかっと笑いながらこう言った。
「おうよ! あいつ等の他にも仲間がいるぜ。かわいこちゃんとドラゴンとかな!」
「そうそう。色んな個性的な人がいますよ~。特にドラゴンはインパクト大きかったですよ」
「ど、ドラゴン……っ!?」
二人して最後にドラゴンのことを言う。
少し興奮しながら言う二人を見て、私はぎょっとしながらギンロさんとリンドーさんを見る。と言うか、仲間=ドラゴンって……、その人はもしかして、ドラゴン系の魔獣族なのかな……?
そう思いながらどんな人なのだろうと首を傾げていると……。
「――そうなのですか! 今初めて知りましたっ!」
と、ティティさんが驚きのあまりに目を点にし、そして口元に手を添えながら大きな声で言った。
それを聞いていた私達は、首を傾げながらティティさんを見るけど、クルーザァーさんたちはそのティティさんの言葉を聞いた瞬間、近くにいたティズ君はティティさんのことを見上げながら――恐る恐ると言った雰囲気で彼はティティさんに聞いた。
ううん。言った……。の方が正しいかな……?
「えっと、ティティ……? この話――多分ティティも知っているはずだよ……? みんな集まった時に話したはずだよ……? 結構前だと思うけど……」
「……………………………」
「ティティ?」
ティティさんはティズ君のことを見降ろしながら、衝撃的なことを聞かされたかのような顔をしてティズ君のことを見降ろしていた。
そんな彼女の顔を見て、ティズ君は少し困ったような顔をしてティティさんを見上げ、私達もそれを見て驚いた目をしてみて、更にはクルーザァーさん達やボルドさん達も、『あれ?』と言う顔をして首を傾げていると、唐突に、紅さんがティティさんに事を見ながら――まさか……、と言う雰囲気を出しながら、彼女は恐る恐る聞いた。
「おい……、まさかティティ……、もしかしてお前……。ギンロのように右耳から入って左耳から抜ける的な原理で、聞いていないとか……。そんなことありえないよな……?」
「さり気に俺のことディスっているな。お前あの時の腹いせか?」
紅さんの言葉を聞いてか、ギンロさんが真剣で怒りを含ませたその音色で聞くけど、紅さんはそれを無視してティティさんに聞く。
すると――ティティさんは少しの間、ポカ……ンと、口を半開きにして茫然としていると、すぐに紅さんたちに向かって、衝撃的な言葉を告げたのだった。
「――いいえ。多分しっかりと覚えていたとは思うのですが、私何分、ティズ以外のことを覚えるときは、最低一週間の記憶量しか保存できないんです。何分ティズのこととは関係のない話でしたので……、正直なところあまり聞いていませんでした」
「潔いのかなっ!? それとも言い訳がましいって突っ込めばいいのかなっ!? どんだけティズ煩悩なんだよっ! 結局のところ聞いていないってことじゃねえかっっ!」
「違いますよキョウヤさん。ちゃんと聞いていたのですが、ティズのことが一番大事な私にとってすれば不要な記憶と情報は消去していかないといけないのですっ。溜め込み過ぎは体に毒ですし」
「お前はもう少し溜めておけ、このおバカッッ!」
ティティさんの衝撃的な発言を聞いて、キョウヤさんは怒り任せの突っ込みを入れながらティティさんと口論をしだした。
それを聞いていた私はティズ君の方を見て、困ったように首を傾げているティズ君を見た後、私はヘルナイトさんのことを見上げて……、困ったように控えめに笑みを浮かべた。
それを見ていたヘルナイトさんは何も言わず、私の頭に手を置いて、アキにぃ達と一緒にその口論が収まるのを待つことにした。
ティティさんの話を聞いていたクルーザァーさん達やボルドさん達は、頭を抱えて溜息を吐きながらその光景を見ることしかできなかった。
――そして、口論すること十五分後……。
□ □
ティティさんとキョウヤさんは、口論のほとぼりが収まると同時に、キョウヤさんはどっと疲れた雰囲気を出しながら深い深い溜息を吐く。その光景を見て、そして思い出したのか、ティティさんはみんなのほうを向いて頭を下げながら――
「すみませんっ! 私が先行し過ぎたせいでこんな大事に……っ!」と言いながら、ティティさんはみんなに向かって謝ってきた。
それを聞いていたボルドさん達は困ったように笑みを浮かべて、ティティさんに頭を上げてほしいと言いながら「いいんだよ」と言うと、ティティさんは頭を少し上げて、そして恥ずかしそうに頬を赤く染めながら、彼女らしくない雰囲気を出しながら、ティティさんは続けてこう言う。
「本当に申し訳ございません……っ。私……、あと少しであの屑虫王を倒せると思って……、やっと屠れると思っていましたらその……、興奮してしまいまして……」
なんだろう……。今ティティさん、すごくおぞましいことを言っていたような気がする……。
『屑虫王』と言うところを大きな声で強調したりして自分の感情を一時的に爆発させて言うと、それを聞いていたダディエルさんがおぞましいものを見たような目と顔色をさせて、彼はティティさんに向かって――
「お前欲望の思うが儘に動いていたんだな……。単純だな。お前の思考回路」と、呆れたように言った。
そんな話をして、ティティさんは再度頭を垂らしながら私たち二人とみんなに向かって「しかし今回は少し猪突猛進になってしまいました……。すみませんでした」と謝る。
その言葉を聞いて、ガルーラさんが豪快に笑いながら「いいっていいって。気にすんな」と言いながらティティさんの肩をバンバン叩いて、それを聞いていた誰もが『気にしていない』と言って、ティティさんも安堵の息を吐きながら胸を撫で下ろし、そのままティズ君に背後から抱き着きながら「よかったですぅ~……」と、心底安心した音色で言った。
それを見ていたギンロさんは呆れた目をして――
「それさえなければもっと反省しているように見えるぜ……?」と、少し躊躇いがちになりながら言う。
すると――
「あら――そっちのお話はもう終わったかしら?」
ガーネットさんを引きずっていた女の人が、私達に近付きながらセレネさんと一緒に歩み寄ってきた。彼女の背後には――むすっと私達のことを睨みつけてるガーネットさんもいて、銃の人もにこっと私達のことを見て微笑みながら歩み寄ってくる。
その光景を見た私は「あ」と声を上げながらセレネさんを見ると――
「っ!」
アキにぃはすぐにセレネさんのことを見てからすぐセレネさんに歩み寄りながら驚いて見ている四人を無視して、アキにぃはセレネさんの前で勢いをつけた謝罪の会釈をして、アキにぃは驚いているセレネさんに向かって――「すみませんっ!」と謝ってきた。
私達はそんなアキにぃを見て驚いていたけど……後ろからギンロさんの声が聞こえてきて、「誰でもあんなことを聞いたらああなるよな……、俺もそうだったし……」と言う言葉が聞こえたけど、そこはあえて深く追求はしなかった……。
それを見ていたセレネさん達三人は驚いてその光景を見て、ガーネットさんは小さな声で何かを言っていたみたいだけど、私には聞こえなかったので深くは言わないことにする。
アキにぃはセレネさんに頭を下げて、頭を上げながらさっきの非礼のことについて謝罪をしたのだ。
「あなた方がその……、ボルドさん達の仲間だったことを知らずに、俺は妹を守ろうとした気持ちが先行し過ぎてあんなことをしてしまって……、本当に申し訳ないですっ!」
アキにぃは本当に申し訳ない気持ちでセレネさんに向かって頭を下げながら謝る。
それを聞いていたセレネさんは、ふぅっと溜息を吐いた後アキにぃに「頭を上げてくれ」と言って、アキにぃはその言葉に従うように頭を上げた後――セレネさんは申し訳なさそうな顔をしてアキにぃや私たちに向かってこう言った。
「いいや――あれは完全なる私の監督能力不足だ。こうなってしまったのは私の責任でもある。ゆえに顔を上げ、そしてそれ以上の謝罪はよしてくれ。こっちの非であるのだ……。あなた方は何も悪くない」
セレネさんは凛々しくも、少し申し訳なさが含まれた音色でアキにぃに対して申し訳なさそうに言う。それを聞いたアキにぃは、驚いた目でぱちくりとさせながら「は……、え……? はぁ……」と言いながら、茫然とした状態でセレネさんのことを見ていた。
その光景を見ていた私は――やっぱりセレネさんは真面目な人なんだな……。と思いながら、控えめに微笑みながら首をコテリと傾げてしまう。困ったように微笑みながら……。
シェーラちゃん達はそれを見てぽかん……。としながらセレネさんとアキにぃを見て、クルーザァーさん達はそれを見てうんうん頷きながらみんな一斉に (ティティさん以外)――
『やっぱりこうなるよな。あの人の性格なら』と言った。
私はそれを聞いて、内心――やっぱりって……、まさか前にもこんなことがあったのかな……? と思いながらクルーザァーさんたちを見ていると……。
「確かに――今回もこっちの監視不足のせいでこうなってしまったのだから、坊やが悔やむことではないわね。そんなに気にしなくてもいいわよ」
長身の女性がアキにぃに事を見ながらくすりと気品に溢れた笑みを浮かべてほほ笑む。
それを見たアキにぃは、驚いた目をして、その人のことを見ながら「あ、はぁ……」と、呆けた声を出しながら呆気に取られてしまっていた。
長身の女の人はアキにぃのことを見て微笑んでから、近くにいたシェーラちゃんのことを見降ろすと、その人はくすっと、色気を含んだ笑みを浮かべてシェーラちゃんのことを見降ろす。
シェーラちゃんはぎょっと顔を引き攣らせながらその人のことを見上げ、そして警戒する様に彼女は「な……何ですか?」と聞くと、女の人はシェーラちゃんのことを見ながら、「うふっ」と微笑んで――
「いえね……。お人形さんみたいな顔でキュートだなぁーって思っちゃっただけよ。うふふっ」と言った。
「うぎゅぎゅ」
「うわっ! スンゲーくしゃり顔……っ」
その人に言われた言葉が相当いやだったのか……、シェーラちゃんは顔をこれでもかっ! と言うくらいくしゃくしゃに歪ませて、変な声を上げながらその人から距離をとる。それを見ていたキョウヤさんは驚きながらシェーラちゃんのことを見ていると……。
「あらら。お気に触っちゃったかしら? ごめんなさいね――つい。うふふっ。そう言えば私の自己紹介がまだだったわね」と言いながら、女の人は自分のことを指さしながらクスリと微笑んで、私達のことを見ながら彼女は言った。
「セレネのことはもう聞いたのでしょ? ならばここにいる三人の自己紹介は私からしてあげる。最初に私はルビィ。『レティシアーヌ』のアルテミストでエルフ。好きなものは――カワイイコと機械のメンテナンス。嫌いなものはワルイコよ。うふふ。よろしくね――皆々様」
女の人――ルビィさんはにこっと気品溢れる微笑みを浮かべながら言う。それを聞いていたキョウヤさんは頭に手を抱えながら「どもっす」と言い、虎次郎さんも腕を組んで「ほほぅ」と言いながら――
「機械のめんてなすか。女子でありながら感心関心」と言うと、それを聞いていたセレネさんが困ったように笑みを浮かべながら頭を抱え、ルビィさんは虎次郎さんの言葉を聞いて「あははっ!」と、口元に手を当てながら笑いだした。
その笑いを聞いていたみんな――私達リヴァイヴ以外のみんなは、引きつった笑みを浮かべながら私達を見てるようだけど、どうしたのだろう……。そう思いながらも、虎次郎さんはルビィさんのこと見ながら首を傾げると……。
「むむ? 何か変なことでも言ってしまったか?」と、虎次郎さんの言葉を聞いていたルビィさんがくすくすと笑いを堪えながら「ごめんなさい」と謝って、そして私達に事を見ながら彼女は言う。
「おじいさん、さっきの言葉――メンテナスじゃなくてメンテナンスよ……。ふふっ! と言うか、そうだったわ。そう言えばあなた達には話していなかったわね。やっぱり私って女に見えるのかしら……。違うのに」
「「「「「………………………………………」」」」」
「違う……。となると――どういうことなんだ?」
ヘルナイトさんは顎に手を添えながら真剣な音色で聞く。
でも、私達はそれを聞いて気付いてしまう。ルビィさんが言ったその言葉の意味を――私達リヴァイヴはそれを聞いて目を点にしながらルビィさんを見ると、ルビィさんはようやく笑いが収まったのか、一回深呼吸をしてからルビィさんは、私達のことを見て、そして自分の胸元に手を当てながら、衝撃的なことをウィンクをしながら彼女は言った。
「私――こう見えてもオトコなの。騙す気はさらさらなかったのだけど、ごめんなさいね」
「「「……………………………えぇ……?」」」
キョウヤさん、シェーラちゃん、アキにぃはそれを聞いて……、ディフォルメの白目をむきながら茫然とし。
「ほほぉっ!? 男とな! それは失礼した!」
虎次郎さんは驚きながらも女と言ってしまったことに非礼を詫びて即座に頭を下げ。
「そう、には、見えなかったな」
ヘルナイトさんは未だに信じられないような目でルビィさんを見ながら言うと……。
「ひゃぁ~……」
私はそれを聞いて、目を点にしながらルビィさんを――彼を見る。
彼――ルビィさんは困ったように微笑みながら「ごめんね」と言って私達に謝っていた時、後ろにいたティズ君達はそんな私達のことを見ながら乾いた笑みを浮かべていたことは誰も知らない……。
そしてルビィさんは気を取り直すように手を叩いてから彼は銃を持っている人のことを見て続けて自己紹介をした。
「そしてか……、うぅんっ! この子はノゥマ。『ローディウィル』のハイエルフスナイパーよ」
ルビィさんは少し咳込みながら銃を持っている男の人――ノゥマさんのことを手でさしながら言う。それを聞いていたノゥマさんは、銃に寄りかかりながら「よろしく」と、どことなくマイペースな雰囲気を出しながら言うと、私達はそのまま頭を垂らしながら挨拶をする。
そしてルビィさんは最後にガーネットさんの頭に手を置きながら、彼女は最後の自己紹介をした。
「そして、最後にこの子はガーネット。エルフと魔物――『コボルウォリアー』の魔人族で、『レティシアーヌ』のキラー。セレネに対してすごい忠誠を誓っているうちの一人だから、彼女の前でセレネの悪口は死に直結する呪文なの。気を付けてね」
「まさか俺この人の前で呪文を口走ってしまったから殺しにかかってきたってことっ!? こわっっ!」
「いやほとんど自業自得だろうが……」
ルビィさんの言葉を聞いたアキにぃは顔を真っ青に染めて己を抱きしめながら震えて言うと、それを聞いていたダディエルさんが真顔で至極真っ当な突っ込みをアキにぃにいれた。
すると――ガーネットさんは私達のことを見て、もじもじとしながら何か言いたそうにしている。
それを見ていた私は、ガーネットさんのことを心配そうに見ながら「どうしたんですか……?」と聞くと、ルビィさんはそんなガーネットさんを見て困ったように微笑みながら彼女の背中を押して――
「ほら――ちゃんと謝ってきなさい」と言う。
その言葉を聞いてか、ガーネットさんは私達から目を逸らし、そしてもじもじとしながら口元をもにょもにょと動かしていたけど……、すぐに私達の顔を見て――
「………ごめんなざい」と、黒くて影を濃くしたような怒りの眼で私達のことを見ながら、ガラガラ声で謝るガーネットさん。
まるで私達が悪いことをしたかのような顔で見てきたので、それを見て驚いたキョウヤさんが、ぎょっとした顔でガーネットさんのことを見ながら「顔と心と声が噛み合ってねぇっっ!」と突っ込みを入れた。
そんな光景を見て、セレネさんは頭を抱えて深い深い溜息を吐く。
ノゥマさんも困ったように笑みを浮かべ、ルビィさんも困ったように微笑んで、頬を指先でポリポリと掻く。
そしてルビィさんは「さて――自己紹介も一部終わったけど……、ここに来たってことは」と言いながら、ルビィさんはクルーザァーさんとボルドさんを見る。
それを聞いたクルーザァーさんはただ頷いて「ああ」と言ってから――
「カードキーは手に入れた。これで最終関門は突破だ」と言った。
その言葉を言った瞬間――セレネさん達の表情に緊張が走った。
私ももしゃもしゃをも見なくてもわかるほどの空気の張り詰めを感じて、ぎゅっと自分のことを抱きしめながらセレネさん達のことを見る。
それを聞いたセレネさんとルビィさんは互いの顔を見て頷き合い、私達の事を見てから凛々しい表情でセレネさんは言う。私達に向かって――いずれ共に戦うであろう私達に向かって彼女は言った。
「なら――話は早い。早急だが一緒に来てほしい。そこに残りの仲間も一緒なのだ。すぐに話し合って作戦を決めよう。『バロックワーズ』のリーダー……Drの拘束とガーディアン浄化作戦を」




