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PLAY02 二つ名の騎士⑥

「この洞窟に……ねぇ」

「うわっ! 泥跳ねたっ!」

「ティラ。それくらいどーってことねーって、すぐにとれる」

「暗いけど……、光る鉱物のお陰で足元は見える……」

「ハンナ、足元気を付けて」

「うん」


 薄暗い空間で私達はぼそぼそと言葉を零しながら前に向かって進む。


 歩きにくい足場から抗うように、私達は足に力を入れながら歩みを進めていく。


 エレンさんを筆頭に私達は現在泥炭でできた洞窟――『泥炭窟』を歩いている。最初の『八神』……サラマンダーがいるエストゥガに向かって……。


 あれからみんなと合流した私は――リオナさんが言っていた事を言うと、エレンさんはうーんっと考えながら腕を組んで、嫌な予感がしたような顔をし、気まずそうな顔をしながら私達に向かってこう言ってきた……。


「まずいな……、それって、ヤバいモンスターだったら……」


「あ」


 そんなエレンさんの言葉を聞いてか、モナさんははっと言う声を漏らすと同時に思い出したかのように言った。


「あの人! 怒ってすぐに出て行っちゃった! 何も準備もしていないよっ!」


 思い出した瞬間、やばいということが一目瞭然で分かる様な慌てた様子で言うモナさん。それを聞いていたダンさんは――


「忘れたのか?」と首を傾げていた。


 深刻に考えず『ほけーっ』としているような顔で、だ。普通に考えたら………じゃない。こんなこと普通に考えても出ないと思うんだけど、それでもダンさんはそう思ったということは……、もしかしてあまり深刻に考えていないのかな……?


 そんな少し失礼なことを思っていると、ダンさんに向かってアキにぃはそれに対し首を振りながら……。


「いや、怒りで我を忘れていた。あとはスライムだから簡単だと思って、準備を疎かにしたとしか……」


 と言い、腕を組みながらあぐねるアキにぃ。

 その顔には呆れと言うか、失望に近いような顔で溜息を零している。その言葉を聞いた私はふと思い出した。


 スライムは凄く弱いモンスター。


 属性攻撃をしたらすぐに倒せる……。いわゆるポピュラーなモンスター。


 でも、ここはゲームでもリアルに近い世界。何があるかわからない……。この世界はゲームの世界とは全然違う、摩訶不思議に近いような、異世界に近いような世界なのだから。


 そして現在に戻り――私達は急いで泥炭窟に向かって足を進めていた。


 泥炭窟に着いた私達だけど……、その地帯は森林に囲まれた、少しだけべたべたとした泥炭で作られた洞窟みたいなところ……。地図を見ても、辺りは緑なのに、泥炭窟の処だけ黒い細い道になっていた。


 距離はわからない。だけどわかることがある。そんなに長くない。と、エレンさんは言った。


 その洞窟に入って、私達は手を繋ぎながら歩みを進める。


 この洞窟を抜けた先にある……、エストゥガに。そして――ゴーレスさんの安否を、確かめるために……。


「一体……何がいるんだろう……」


 そう言いながら、私は石壁伝いに足を進める。恐る恐ると言う形で、私達は歩みを進める。順番は、エレンさん、ダンさん、ララティラさん、アキにぃにモナさん、そして私と言う順番。


 ぐちゅ、ぐちゃ。ぬちゃ。にちゅ。と、ぬかるんだ足元、泥炭で作られた自然の壁に、所々で淡く光り輝く鉱物。暗いと発光するような石なのかな……?


 それを街灯代わりにして足を進めていくと……。


「ん? 開けた場所だ……」


 エレンさんは足を止めて、そして――言葉を発しなかった。


「? どした?」

「? エレ……、え? えぇっ!?」


 前にいた三人がそれを見て、驚いた声や言葉を失ったかのように言う。


 私達三人も、それを見ようと、身体を斜めにして――覗き込むように見る。


 目にして、言葉を失った。


 開けた場所は――大体体育館位の広さがあり……、その場所には……。


 色んな武器や防具が落ちていた。


 何もついていないそれも、何かがついているもの。ジェルのようなものがついたもの。そして――暗くてよくわからないけど……、黒い何かがついているものもあった。


 黒い何か――もしかしたら……。と思った時……。




「「っ! 上だっっっ!」」




 突然……エレンさんとアキにぃが叫んだ。上を見上げて――驚愕と焦りを含んだそれで……、私達はすぐに上を見上げた。そして、その上にいたそれを見て……。


 また、絶句。それから……、この言葉が出てきた。


 ――逃げないと。と……。


 その開けた場所の、上には――そこに張り付くように、その天井を覆い尽くすような大きな体。身体……それは、虫のような体。節足の脚が何本もあり……、そして赤い目が何個もあり、その虫の身体には――髑髏(どくろ)のような模様が出ている……。



 そう、それは――蜘蛛。



 大きな、ううん。可愛らしい表現ではだめ。


 それは――巨大な、特撮よりも少し小さい、巨大な蜘蛛がいた。




髑髏(スカルド)……、蜘蛛(スパーダ)……」




 エレンさんの小さい、小さい声は、私達には聞こえなかった。


 今の、私達には……。





「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!」





 蜘蛛は叫んだ。蜘蛛とは思えないような叫びだった。



「逃げろっ! 足の攻撃が来るぞっ!」



 エレンさんは叫ぶ。


 叫んだと同時に、ふっと大きな蜘蛛は、天井から足を離したかのように、大きな巨体をそのまま、地面に向かって落ちていく。空中でグリンッと回転し、着地に備えている。その最中、がりがりと辺りを削る。その壁が硬かったのか、がらがらと崩れていく。壁に大きな切り傷が残った。


「――っ!」


 私は無意識に、即座に手を出して、掌を開いて――


(シェル)ッ!」


 ゲームのスキルを叫んだ。と同時だった。


 ふわりと、私達を覆うように出た、半透明の半円球体。


 で、出来た……。なんとなく手をかざして、『盾』を思い浮かべたら、出来た……。


 MCOでは、戦闘態勢になったとき、頭の中でスキル選択をして、それからスキルを使うという、頭がコントローラーの役割を果たしている。


 電脳と言うか、ゲームの世界なので……。選択ボタンなどはない。最初は驚いたけど……。


 アキにぃ達は驚いて声が出ないようだ。私はそのまま上を見上げる。蜘蛛はその大きく、鋭く尖った足を踏みつけるように、その落ちる速度と自分の重さを武器にしつつ、重力を使っての自然強化の如く……。


 ズンッと言う地面に着地した音と、ガキィンっという音を立てた。辺りの地面がめしゃりと、重みになえれなかったのか、蜘蛛が着地したところだけ凹んでいる。私達はその盛り上がりに巻き込まれながらも、何とか体制を整える。私は転びそうになったけど……、モナさんが支えてくれた。


 そして、ガキィンという……、最後の音は――私が出したメディックスキル『盾』に、足が当たった音。ひび割れて、もう少しで壊れそうになっている。


「ハンナちゃん……すごい……」


 モナさんは驚きながら私を見ていた。でも……。蜘蛛はその足の踏みつける力を、さらに強めていた。ぎりぎりと音が鳴ったと同時に――びきびきと壊れていく『盾』。


 蜘蛛はもう一度、足を上げて――奇声ともいえるその鳴き声で叫びながら――そのまま一気に振り下ろす!


「っ!」


 その間。本当に一瞬だった。


 ララティラさんが杖を取りだして、その杖の先を、無数の赤い目がついている蜘蛛の目に向けて……。



「――目塞いでっ! 『(ライ)』ッ!」



 私達に向けて大声で叫んだ。私達はすぐに目を閉じて――瞼の奥が赤白くなっていく。


 その最中……、蜘蛛の叫び声が大きくなって、そしてあたりから轟音が聞こえた。


 ドカァン。バカァンッと……特撮のような。そんな音が……。


 目を開ける私。すると目の前は……。


 ぎゃあぎゃあっと鳴いては暴れて、所々の壁を壊して、明かりとなっている鉱物を壊している蜘蛛。


「……なるほど……、目くらましか」


 エレンさんの言葉に、ララティラさんはにっと無理に笑みを作り、こう言った。


「暗いと特に――ね?」


「でかしたぁ!」


 ダンさんが血気盛んな表情で前に躍り出て、そして拳に力を入れて……、腰にひねりを入れてから……。拳に炎を纏った。そのおかげで、辺りが明るくなる。でもそれは一瞬。



「『拳法術――(ほむら)』っ!」



 そう叫んで、ダンさんはぐんっと腰のひねりを使った、力任せの拳の撲りを、暴れている蜘蛛の身体の小さい部位に――撃ちこんだ。


 めごっと、鈍い音を立てて……。そして、すぐにぼわっと燃え出す蜘蛛の身体。



「キュィイイイイイイイイイイイイイイイッ!?」



 もだえ苦しむ蜘蛛。暴れながら、その炎を消そうとしている。


 その一瞬、私は見てしまった。黒い液体がついたそれを……。当たり前な話……。ここで何があったのかは、良くは知らない。でも……その液体がここの現状を物語っていた……。


 それは――血だった。


 よく見ると、辺りにぱたぱたと零れているようだ。


「っ」


 私はその最悪のケースを想像してしまい……、ぐっと口元を抑えてしまった。


「っ! 大丈夫っ!?」


 モナさんが私の肩を掴んで、そっと座らせる。


「此処は私が!」

「助かる!」


 アキにぃは懐から鉄の筒――ライフル銃を取り出した(どこから出したんだろう……)。アキにぃは地面に膝をつくようにしゃがみ、そして銃の先を暴れている蜘蛛に向けて……。


「炎が苦手なら……、これだ。『フィアショット』ッ!」


 パァンッと撃たれる銃弾。その銃弾には炎が弾丸を包むように飛んでいる。その弾は、今も絵に燃えている部位に、的確に撃ちこまれる。


 だぁんっと言う撃ちこまれた音と、何かが爆ぜる音。


 炎と炎の所為で、より強くなる炎。


「あっつ……っ!」


 モナさんがあまりの熱さに驚きながら、頬を拭う。


「…………………熱い……」


 私は、それを聞いて――感じて……。再度知らしめられる。


 ここがゲームの世界。なのに……、熱い。


 何が変なのか?


 それは簡単。


 私達がやっていたMCOでは、そんな感触がなかった。


 痛覚と感触、あとは味覚がない。


 ゲームであるが故の利点だった。でも、それがリアルのこの世界になると……、熱い。それは感触がある事……。さっきのぬかるんだ感触もそう。


 私達の今の身体は……、現実の身体と限りなく近い。


 だから……。だから……。


 ここでは、人間と同じように、簡単に、死んでしまう……っ!


「イテェ!」

「っ!」


 ダンさんの痛がる声が聞こえた。


 目の前を見ると、どうやらダンさんは腕を蜘蛛の脚によって切られてしまったようだ。幸い傷は浅い。でも、私は見るに堪えなかった。痛い姿を見ると……、胸の奥がずくずくと痛むのだ。どうしてなのかは、解らない。


「っ! 『小治癒(キュアラ)』ッ!」


 私はすぐに手をかざして、ダンさんの腕にスキルをかける。


 ダンさんの手を覆うように、水色の光が灯る。そして、傷は独りでに、その傷を塞いでいき、ダンさんの手の傷は、きれいさっぱりと無くなっていた。


「おう! サンキュな!」と、ダンさんはにっと笑みを作って、すぐに蜘蛛と対峙する。


 エレンさんは持っていた武器――弓矢を使って二本の矢を弓に装填して……それをきりりっとしならせ……。


「ティラ――光系で目くらましっ! アキくんは俺と一緒に炎系を!」

「あいよ!」

「OKです!」

「俺はっ!?」

「待機!」

「おぅ! ………………おうっ?」


 エレンさんは弓をしならせながらララティラさん(ティラさんって呼んでいるんだ……、仲がいいのかな?)とアキにぃに言う。ダンさんにも言ったけど、ダンさんは元気よく返事をし、そして少し考えて、あれ? と首を傾げた。


 でも、蜘蛛も負けじと! と言う感じで、蜘蛛ならではの、糸が出る部位の処から白い糸の束を吐き出す。


 それは束だったけど、二つの束になっていて……、一つは辺りに転がっていた大岩に絡みつく。そしてその部位をぐんっと上にあげた。一束は私達の背後に。


 粘着性のある糸に絡みついた大岩は、ぐんっと同じように上に上がり、蜘蛛はぐいんっと身体――私から見て左回りに回転させたのだ。


 その所為なのか……。


「っ!」


 背後を見たモナさん。私も背後を見ると、既に目の前にあった、白い糸に絡みついた大岩。


「っ! しまった!」


 アキにぃの叫び。私はすぐに『(シェル)』を出そうとした。その時――


「――()()()()()()()()()()っ」


 モナさんは息を吸って……。そして、だんっと地面がメシャリとめり込むくらい、踏みつける。次の瞬間、私は目を疑うことになる。




「――こんのぉおおおおおおおおおっっっ! 不意打ちなんて、卑怯なこと……、してんじゃ、ねえええええええええっっっっっ!」




 あらんかぎり叫びながら、モナさんは怒り任せの如く、ううん、怒っていた。凄く……。力一杯の拳で、その岩を――殴り、砕いた。


 ばかぁんっと、それは、漫画のように……。


「あ、大丈夫だった?」

「……はい」


 私を見たモナさんは笑顔のモナさんで、正直怖いとは言えなかった……。驚きながら、安否を言う事しか、できない……。


 すると――もう一つの方を見ると……、どうやらダンさんが両手いっぱいに受け止めて、耐えていた。


「うんぬおおおおおおおっ! っはははは! スゲーなこいつっ! でも、俺よりは弱えーぜぇっ!」


 ダンさんは大声を上げながら耐えている。けど……、何故だろう……。笑っているような……?


 蜘蛛もぐぐぐっと力一杯糸を引っ張っている。でも、すぐに蜘蛛の背後から――


「――『閃光(ライラ)』ッ!」


 ぱぁっと、先ほどよりも強い光を放ったララティラさん。私達は目を覆い隠した。眩しくて直視できなかったけど……、蜘蛛の叫びと、そして――


「――『フィアアロー』ッ!」

「――『フィアショット』ッ!」


 二人の声が重なったように聞こえ、『パシュッ』と言う音と、『パァン』という音が出て、強い熱気が辺りを包んだ。


 そして――蜘蛛の叫びが段々小さくなっていく。熱気も感じられなくなったので、私はそっと目を守っていた腕をどかす……。


 目の前を見た時には……、既に勝負は決していた。


 蜘蛛の身体は真っ黒一色……。それは焦げているそれではない。だんだん黒く変色していき……、ぼぉんっと、黒い煙と小さな塵を残し、消えてしまった……。


「……死んだの……?」


 小さくつぶやいた私に対し、モナさんは言った。はっきりとした音色で……。


「多分。ゲームと同じ、消滅の姿だった」


 そうだよね……。何を聞いているんだろう……。


 そう私は、自嘲気味に思った。


 モンスターを倒した時、倒れたモンスターは黒く体を変色させて、そして消滅する。


 それは、MCOの時と一緒。


 なのに……。怖かった。


 本当に、死ぬのかもしれない。と思った。あの時は、無我夢中だった。


 それが、これからも、何回も続く……。


 決意した意志が、折れそうになる……。そう思いながら、私はそっと立ち上がった。


「――大丈夫?」


 モナさんがそっと私の肩に手を添えた。私は控えめに微笑んで……。


「あ、はい……、なんとか」と返した。


「そう……? でも顔色……、っは! まさか……っ! 私のあのブチ切れを見て……っ!?」

「あ、いえ……違いますから大丈夫ですよ」

「本当?」

「はい、本当です」


 それもあるけど……。うん。モナさんを傷つけないために私は咄嗟に嘘をついてしまった。


 けど、私の言葉を聞いて安堵の息を吐いているモナさんを見て、私も心の中で安堵したのは言うまでもない。


「あ! なんかドロップしと………っ! てるわっ!」

「「?」」


 ララティラさんの声を聞いて、私達は蜘蛛が倒れたところに向かう。すると――そこにはたしかに、何かをドロップしていた。


 蜘蛛の鋭い脚。白い糸に……、二つの黒い糸にくくられた、紙筒。これは……、ギルド長が見せてくれた……。


「あ……えいしょうけつごうしょ」

「「「「「はぁ? えいしょうけつごうしょ?」」」」」


 私の言葉に、五人が素っ頓狂な声を上げて聞いてきた。ララティラさんがその二つを拾い上げて……、「これが?」と聞いてきた。


「あ、はい……、それは」と言った瞬間だった。


 ずしんっと落ちてきた何か。


 それを見て驚きの顔となっているエレンさん達。


 私は良くない予感を抱きつつ、そっと背後を見る。


 そこには――さっきよりは数倍小さいけど、直立したら私よりはでかい蜘蛛が、私を何本もの足で、拘束しようとしている。


 私はそれを見て……、ぎゅっと目をつぶった。



 ――ガチンッ!



 ………………………?


 目を瞑っている私。でも、痛みは来ない。衝撃も……ううん。何かはあった。


 冷たい何かに、押しつけられている。


 それを確認するために、そっと目を開けた。そして――視界に拡がったのは……。


 傷がついた、鉄。


 頭には……優しい温もり……。


 ――あ。


 と、私は妙に、それを懐かしいと感じた。


 懐かしい理由は、よくわからない。


 私は今この行為をしている人物が誰なのか確認しようと、アキにぃ達の方を向く。そして、目を疑った。


 アキにぃ達は驚いているだけ。動けずに、その光景を見て驚いているようだった。


 私は段々混乱する中……、そっとその人物を見るために、顔を上げた。


 傷だらけの白銀の鎧。ボロボロになってる紫のマント。腰には丈が短い黒い刀身の剣。短剣、なのかな……。そして背中には黒い刀身の大剣――バスターソードを背負って、私の背後にいた蜘蛛の脚を、片手で器用に受け止めていたのだ。


 キィキィ鳴く蜘蛛を見て……、そして私を見下ろす騎士――


「――大丈夫か?」


 騎士は聞いた。


 でも返事ができなかった。


 私の目の前で、私を助けてくれたのは――人でも魔物でもない。


 人ならざる者……。


 ENPCだったから。


 その人を見て色んな人達は言った。



『地獄の武神』だと。



 でも私達の間ではこう呼ばれていた……。



 最強の……鬼神。



 彼は言う。蜘蛛を見て――


「……こんな辺鄙(へんぴ)な土地に、髑髏蜘蛛か……。悪いがこの先に用がある」


 と言って――重ねて。




「通してもらうぞ」




『12鬼士』最強の存在――ヘルナイトは、静かに、凛とした声で言った。

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世界観がめっちゃカッコイイʕ•ᴥ•ʔ
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