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PLAY24 幻想の地での喧嘩祭り①

 私達はシェーラちゃんの案内の元、アクアロイアに向かおうとしていたのだけど……。


 シェーラちゃんは『パワースポット』に向かおうと、あの小屋から少し離れたところで道から逸れたところに入って行ってしまった。


 その道は右にできた獣道で、その道をずんずんっと歩きながら、私達の方を振り向いて「こっちよ。すぐだから」と言って、どんどん先に向かって進むシェーラちゃん。


「どこに向かっているんだろう……」

「さぁな……。てかあいつ、女なのにアクティブだな……」

「………………………」

「アキが顔面蒼白。疲れたんだな……。さっきから全然言葉を発しねぇ……っ!」

「……たしか、この先は……」


 シェーラちゃんの後を追って先頭を歩いているのはキョウヤさん、その後ろを私、ヘルナイトさん、そして……、最初こそ先頭を歩いていたのだけど、アキにぃの体力が持たなかった (HPではない。体の体力のこと) ので最後尾を歩いて、敵が来てないかを確認しながらぜぇぜぇっと歩いている。


 ヘルナイトさんはその先を見ながら、頭を抱えて思い出そうとしていた。


 最近だけど、ヘルナイトさんは頭を押さえることが多くなっている気がする……。


 それは記憶を思い出してきているという、いい事なんだけど……、逆にそれが不安に見えてしまう。


 その思い出す時の音色だ……、震えているから……。


 私はヘルナイトさんとアキにぃを心配しながら歩いていると……。


「着いたわっ」とシェーラちゃんが声を上げたのだ。


 草木がぼうぼうと生える場所を通り抜けて、キョウヤさんが出たと同時に、私もすぽんっとその場から出て、その場所を確認した。


 そして、目を奪われた……。


 獣道を抜けた先にあったのは――神秘的な、本当にパワースポットと言う言葉が正しいような、絶景だった。


 その場所は毎度のごとく開けた場所だけど、その中央にあったのは浅くて透明度がある湖。


 底まで丸見えの湖で、下にはキラキラしたものが沈んでいた。


 上を見ると木の葉っぱが太陽の光を遮って、それが相まって幻想的な世界を作り出している。


 その葉っぱから覗く赤や黄色のキラキラしたものが見えたけど……、特にすごかったのは――私達の目の前に生えている大樹。


 巨木……と言った方がいいのかな。


 その気は本当に巨木と言うのに相応しくて、見上げてもその葉っぱが生えているところが見えないくらい大きくて、太い木だった。


 それを見上げて私はそんな幻想的な世界を見て……。


「すごく綺麗……」と、声を漏らしてしまった。


 それを聞いたシェーラちゃんは、ふんっと鼻で笑いながら私を見るために振り返って――


「ね? 女の子の心を奪うには最適な場所よ」


 なぜかキョウヤさんやアキにぃ、特にヘルナイトさんを見て言ったシェーラちゃん。


 私はその光景を見ながら、もこっと帽子の中で動いているあの子に気付いて、私はそっと帽子を取って見せた。


「綺麗だね。ナヴィちゃん」

「きゅきゅっ!」


 そう言って微笑むと、私の頭の上でピョンピョンッと跳ねて嬉しそうに鳴いたナヴィちゃん。


 ナヴィちゃんはあれから私の帽子の中が気に入ったらしく、さっきまで私の帽子の中で寝ていたのだけど、目を覚ましたのかもそもそと出ようとしていたのだろう。


 私はそんなナヴィちゃんを思い描きながら和んでいると、シェーラちゃんはすたすたと湖に近付いて、湖に足をつけて、どんどん中央に向かって行く。


「あぁ。シェーラちゃん……っ! 靴濡れちゃう……」


 私は慌てて止めようとしたけど、シェーラちゃんは手を振りながら「大丈夫よ」とだけ言って、湖に手を突っ込んで何かを探していた。


 その光景を見て、ヘルナイトさんは小さく……。


「そうか……、ここは」


 と零して、そして上を見上げ、更には湖に向かって走って、その湖に手を突っ込んでみる。


「あ。何やってんだ?」

「ヘルナイト……?」


 キョウヤさんとアキにぃが首を傾げてその光景を見ている時、ヘルナイトさんは何も返事をせずに『ばちゃばちゃ』と音を立てながら何かを探しているようにも見えた。


 そしてヘルナイトさんは、水の中から手を取り、そして手に持っていたそれを見て――


「やはりな」と言って、私達の方を見てそれを見せた。


 私達はそれに対して目を凝らして見る。


 すると、そのヘルナイトさんの手に収まっているそれを見た瞬間、目を疑った。


 ヘルナイトさんは言った。


「これは――瘴輝石だ。思い出した。ここはアズールの国に三つしかない聖霊族の住処……、『聖霊の()』だ」


 その言葉に、私はもう一度手に収まっているそれを見た。


 確かに、赤い石だけど……、エディレスの瘴輝石よりも小さい。小石よりは少し大きめの石という感じだ。それを見てキョウヤさんもそれをじっと見て……。


「でも、その石小さくねえ?」


 と聞くと、ヘルナイトさんは頷いて――


「この石は人間の姿に成れない石の姿だ。使えるには使える。しかし使用は一、二回が限界だ。言っただろう? 肉体となる憑代を、彼らの生まれる場所で作られ、それを憑代として、彼らは人間の姿をして、人間と共存していると」

「あー。言っていたね」


 アキにぃがそれを思い出しながらうんうん頷いて言っていると、ヘルナイトさんはその上を見上げてこう言った。


「あの上になっている光の雫らしきものが、その憑代となる肉体の元だ」

「え、えぇっ!?」


 キョウヤさんが上を見上げて叫んだ。


 上を見上げてみると、ヘルナイトさんの言った通り、光る何かがフヨフヨと浮いていて、大小異なるけど、その小さな光が木々を照らしていた。


 それを聞いて見た私は、あの光がどういった仕組みで人間の体になるのかな……? と思いながら……、少し疑問と言うか、疑心を抱いていた。


 あの光がのようなものが、肉体を作っているって、どんな原理なんだろう……。


 キョウヤさんはそれを見上げながらヘルナイトさんに向かってこう叫んだ。


「あ、あれっ!? オレもっと女神のような人が神聖な魔法とかで人間の体を作ってそれを授けるとか、そんな感じのを思い浮かべていたっ! つまり人間の体があの光っ!? 本当にどういった仕組みなんだよっ!」

「う、む……。キョウヤが言っていることがあまり理解ができないが……、あれは仮初の体だからな。私自身もいったいどういった原理で人間になっているのかは分からないんだ」

「でた……、自然の神秘……。オレの早とちりだったけど……。本当にどうなって人間になるんだろうな……、あの光」


 がっくりと項垂れて、ショックを受けるキョウヤさん。


 そんなキョウヤさんの背中を撫でながら慰めていると……、アキにぃはその湖に入っている石を見て、ヘルナイトさんに聞いた。


「それで、この石は?」


「………それは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 その言葉を聞いて、私はもう一度上を見上げた。


 確かに、大きな光もあれば、小さな光がいくつも浮かんでいて、それよりももっと小さな光だっていくつもある。


 それは多分、まだ人間の体が形成されていない石だ。それを見て、私は湖に目線を映して……。


「……この石達も、ガーディさんのように歩きたかったんだね……」


 私はゆっくりとした動作で湖に近づいて、そして湖の水面にそっと触れた。


 ――ちゃぷん。


「っ」


 冷たい。


 パワースポットなのに、冷たい……。当り前だけど、聖霊族のその現実を移したかのような冷たさに、私はびくっと体震わせた。


「なにしてんのよー。早く来なさいよ」


 シェーラちゃんが呼んでいるけど、この湖に沈んでいるのは、人間に成れなかった石達。多分シェーラちゃんは何も知らないで、この場所を知って、きっと、瘴輝石を……。


 盗んでいるわけじゃないと思う。でも、ここにいる石達は、それでいいのか?


 たぶん、いやだと思っていると思う。


 私はそれを思いながら、指をその水面から離した。そして――


「ねぇ、シェーラちゃん」

「なに?」


 私は、シェーラちゃんに聞いた。


「この湖の石を、どうするの? 使うの?」


 その言葉を言った瞬間、シェーラちゃんはきょとんっとして私を見た。キョウヤサンやアキにぃがその言葉を聞いて、シェーラちゃんの言葉を待っていると……、シェーラちゃんはこう言った。


「使わないわよ。ただこの石をあの大樹の近くに置くだけ。そんなことしないわよ」


 目の前の巨木を指さして、彼女は少し苛立ったような口調でそう言った。


 それを聞いて、私は内心ほっとした。


 アキにぃはじとっとシェーラちゃんを見ていたけど、キョウヤさんがアキにぃの肩を叩いて「いや、そこで疑うのか」と若干引き攣りながら笑みを作って言うと、シェーラちゃんは私達に向かってこう叫んだ。


「今日はこれだけ。あとはあの大きな木にっと。ほら、あんた達も来なさい」

「いやいや! お前はリーダーかっ!」


 そうキョウヤさんが突っ込んで、私達はシェーラちゃんの後を追って着いて行った。そして着いた場所には、こんもりと溜まっている瘴輝石達。


 シェーラちゃんはそれを、一個一個丁寧に水分を拭き取りながら、その貯まっている石に積み上げて置いて行く。


 その最中、シェーラちゃんは言った。


「実はね。この石が聖霊族っていう種族の魂ってことを聞いた時……、正直信じられなかった」

「………だろうなー。オレだってネクロマンサーと死闘を繰り広げたけど、いまだに信じられねーもん……」


 キョウヤさんは思い出しながらうんうん頷いていると、シェーラちゃんは続けてこう言った。


「変なくさい服装を来たジジィから聞いたの」

「おいそいつ、オレ達絶対に知っている奴だ……っ!」

「なんだか社畜とか何とか言っている奴が教えてくれたの」

「やっぱり知っている人だったー……っ!」


 あ、シェーラちゃんもガーディさんに会っていたんだ。


 キョウヤさんは頭を抱えながら唸っていると、アキにぃはその話を聞いて、シェーラちゃんに聞いた。


「それを聞いて、ここを知って、独り占めしようと思ったの?」

「はぁ? まさか。そんな冒涜行為はしないわ」

「冒涜って……」


 シェーラちゃんの苛立ったようなはっきりとした言葉を聞いて、アキにぃはぎょっと驚きながら引きつった笑みを浮かべていると、シェーラちゃんは石達に目を移して、そしてこう言った。


「売ることもしないし、一番いい方法がこれしか思い浮かばなかった。ここで生まれたのなら、ここにいた方がいいのかなって」


 そう言いながら、シェーラちゃんは少し悲しそうに目を細めて言った。


 それを見て、私は鎖帷子につけられているエディレスの瘴輝石に触れる。もしかしたら、この人もきっと……。自分が生まれた場所に置いておけばよかったのかもしれない……。


 最初はそんなことを思うことはなかった。でも、シェーラちゃんのその言葉を聞いて、私は居た堪れない気持ちにさいなまれた。


 もしかしたら私はその命を……。


 ヘルナイトさんはその言葉を聞いて、甲冑越しで少し複雑そうな顔をしているだなんて、私はおろか、アキにぃ達は知らなかった。


 そして、私がそんなことを思っていた時だった。



「――ここで何をしていますの?」



「「「「っ!」」」」


 その言葉に、私達は背後から聞こえた女性の声に驚きはした、でもすぐに背後を振り返ってその人物を見た瞬間、言葉を失った。


 そこにいたのは――見たことがない女性だった。


 茶髪の髪を二つにして、ツインテールにしていた。その髪留めは灰色の石で止められてて、左目には瘴輝石がついた眼帯をしている。服装はまるで武士のような服装で、袖がない着物。柄は彼岸花で、赤くてきれいだったけど悲しい雰囲気を漂わせる着物だった。体つきはララティラさんと同格のスタイルで、腰には刀。背中には宝石が埋め込まれた身の丈の大剣。そして……。


 ()()()()()……。


「――ネクロマンサーッ!」

「あ! アキッ!」


 アキにぃがライフル銃を構えて撃とうとしていた。キョウヤさんはそれを見て止めようとした時……。




 ――()()()




「あ」

「は?」

「「「?」」」


 アキにぃのライフル銃から変な音が聞こえた。


 それを聞いたキョウヤさんは「え?」と言う顔をして驚いていたけど、私達はそれを聞いてどうしたんだろうと思っていると……。


 その女の人は、アキにぃ達の前に現れていた。音もなく、アキにぃの目の前に。


 アキにぃは言葉を失って、銃口をその人に向けていて、キョウヤさんは槍をすぐに持って構えた。


 でも、その女の人はアキにぃが持っているライフル銃の銃口に手を添えながら静かに、綺麗な音色でこう言った。


「この銃はあなたのですか? だいぶ傷んでいますわ。ちゃんと整備はしているのでしょうか?」


 と、その人はアキにぃのライフル銃を見て言った。


 キョウヤさんはそれを聞いて槍を構えようとして、シェーラちゃんもそれを見て腰に差している武器を引き抜こうとしていたけど、私はその人を見て……。


「――待って!」

「「「っ!」」」

「!」


 アキにぃとキョウヤさん、シェーラちゃんが驚いて私を見て、ヘルナイトさんは私を見降ろしていた。


 私はみんなを見て、今アキにぃの銃を見ている人に向かって言った。



「この人には、()()()()()()()()()()()()()()()



 その言葉を聞いて、ヘルナイトさんは甲冑越しで私を見降ろして微笑んでいたなんて、知らなかったけど、シェーラちゃんは私を見て「はぁ?」と怒りと驚きを含んだ音色で――


「あんた馬鹿なの? そこまで日和とは思わなかったわ」と、私を睨んで言ったけど、私はそれを見ても首を振って――


「あのね……、その人から敵意があるもしゃもしゃを感じなかったの」

「「「もしゃもしゃ?」」」


 アキにぃ達がそれを聞いて、頭に疑問符を浮かべながらそう私を見て言った。


 あ、そう言えば、この話したことがない……。


 そのことを思い出した私は、何とかアキにぃたちにその人に敵意がないことを言おうとして、「えっと、うーんと」と言って、どう説明した方がいいのだろうと思いながら考える。


 私がいつも言っているもしゃもしゃ。


 それは簡単に言うと感情なのだけど、心の感情と言った方がいいだろう。


 例えば、心の底から面白い、楽しいとかやる気満々はオレンジ。


 喜んでいるのは黄色で、緑が怖い。青は悲しいで、赤が怒り。ピンクは大好き。他にも色々な色があるけど……、最もいやな色が黒。


 それは負の感情の集合体で、憎しみだから……。


 そしてこの人から感じたもしゃもしゃはすごく独特な色で……。


 心配の水色に、興味津々の薄黄色。


 それが混ざったような色だった。それを見て、私はそのもしゃもしゃの中に赤や黒いと言った敵意が感じられる色を感じなかったので、大丈夫と言ったのだ。


「えっと……、雰囲気……、です。たぶん」

「今たぶんって聞こえたぞ。てか、それって女の勘ってやつか?」

「っ! そう、そうです……っ!」


 そうキョウヤさんが首を傾げて聞くと、私はそれに対してうんうんっと頷いて答える。あ、なるほど……、女の勘なのかな……? これは、うーん。


 そう思って首をひねって考えていると……。


「……天族特有の感情感知……でしょうか?」

「?」


 唐突に、その女性はすっと立ち上がって、私を見て言った。私をそれを聞いて、首を更に捻らせながらその人の言葉を待った。


 だけどその女性は、じっと私を一瞥して、そしてアキにぃ達を一瞥し、更にはヘルナイトさんを見ていた。


 あ、そう言えば、ヘルナイトさん……、この女性がネクロマンサーなのに、全然攻撃してこない。しかも、()()()()()()()()()


 それを見たキョウヤさんは「あ」と声を漏らしながら、ヘルナイトさんを見てこう聞いた。


「ヘルナイト! そいつ」

「ああ、しかし……」


 ヘルナイトさんは私を見降ろして、頭に手を置こうとしたけど、ナヴィちゃんがいるからできないと思ったのだろう……。肩に手を置いてヘルナイトさんは言った。


「ハンナの言うとおり……、この女からは、敵意を感じない」


 その言葉に、私はなんだか無性に、心が高鳴った。温かくなって、高鳴ったのだ。


 無性に、嬉しいと、ヘルナイトさんの言葉を聞いて、嬉しいと思ってしまったのだ。


 ナヴィちゃんは帽子から顔をだして、私とヘルナイトさんを行動に見ていたけど、私はそれにも対応ができないくらい、とくとくと、心がざわついた。


「ヘルナイトが言うんだったらなー」

「まぁ……ね」

「ちょっとお二人さんっ! ハンナの言うことが信用できないのかっ!? ひかえぃっ!」

「「お前は/あんたはいったいなんなんだ?」」


 ………………まぁ。そうなると思う。


 キョウヤさんとシェーラちゃんはヘルナイトさんの言葉を聞いて、やっと信じたというか、くぐってきた修羅場の数が違うヘルナイトさんの言葉の方が、信憑性があると思って納得していた。


 アキにぃは二人が私の言葉に対して信用していないのかと激怒していたけど、それに対して二人は冷静に突っ込んでいた。


 でも事実……、私が言っているもしゃもしゃは、前まではあんまり感じられなかったものだ。しかしこのアップデートのせいなのかわからないけど……。それが敏感になっているのだ。


 一般論として、キョウヤさんとシェーラちゃんの反応が正しい。


 少し変わっているなーっと自分でも思っているし、きっと、もしゃもしゃの説明をしたところで、誰も信じてくれないだろう。


 女の勘として片付けられる。


 それで私はいいと思っている。でも、いつからだろう……。このもしゃもしゃを感じるようになったのは……。そう思っていると、女の人はヘルナイトさんやアキにぃ達の言葉を聞いて――


「そうですわね。そんな風に敵意を見せるということは、きっとどこかで同胞と出会って戦ったのでしょう。しかし――」


 わたくしは違いと言った方がいいでしょうね。


 そう女の人はすっと後ろを向いて、そのまま湖に向かって歩みを進めながらその人は言う。


「申し遅れましたわ。わたくしは……、いいえわたくし達ははぐれ者死霊族」


 そう言った後、その人はくるんっと振り返って、私達に向かって凛々しさがある真剣な顔でこう言った。


 名乗った……。の方がいいかな……? その人は言った。


「わたくしははぐれ死霊族――『ありとあらゆる(ルミリオン)武器を(ウェポン・アンチ)使う(ネクロユード)』元特攻隊隊長のベガ。以後、よろしくお見知りおきを」


 その人――ネクロマンサーのベガさんはすっと流れるように綺麗に頭を下げて、私達に向かって自己紹介をした。


 敵意がない――その自己紹介を初対面の私達にしたのだ。

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