PLAY18 アストラと言うチーム⑦
そう言って降りてきたトリッキーマジシャン。
それを見てモナ達は驚いて固まってしまった。
しかしトリッキーマジシャンはモナの目を見て、ふむっと頷きながら彼はダンゲルに聞く。
「お久しゅうですね。鉱石族の長よ。この娘はもしやと思いますが……」
「お久し振りでございます『奇才卿』よ。わし……っ! あ、いや! うぅんっ! 私ももしやと思い、今日に向かおうと思っていたのです」
それを聞いていたエレン達は頭に大量の疑問を出し、目を蚊取り線香のようなぐるぐるの形にさせながらエレンはトリッキーマジシャンに聞いた……。
「何でこんなところに……? てか、いつから? そしてなに? どこに向かうの?」
情報がありすぎる中エレンは何とか聞いたが、トリッキーマジシャンはさも平然として言う。
「ここに来たのは昨日です。何やら異様なものを感じたのでね。そしてあなた方の戦いを見ていました」
「げ」
シャイナは唸る。それでもトリッキーマジシャンは続けた。
「もう美しくない戦いだったので、つい手を出してしまいました。全く……。私はこう言った下品な戦いは好みません」
その言葉にモナははっとする。
あの時の詠唱らしきものも、スキルが出なかったのも……、もしかして……。そう思った時、ダンゲルはモナを見て言った。
「モナどの」
「?」
「実を言うとですな……。マースも感じていたようですが、あなただけは他の誰よりも特質な力を持っていると確信していたのだが……、まさかよりもによって、その力だとは」
ダンゲルは首を振って予想外のことに頭を抱える。モナはそれを聞いて、意味が分からないように首を傾げると……彼女はダンゲルに聞いた。
「それって、どういうことですか? 私は人間族で」
「否、それは違いますぞ。まぁ人間の皮を被ったものと言う悪い言葉で言うならそうなりますな」
「??」
ますますわからない。そうモナは思った。
だがダンゲルはモナ達に向かって言った。
提案。の方がいいだろう。
「それで、マースにあなたのことを話してから……、アルテットミアに向かい、モナどののことについて国王に話そうと思っている所存。他にも色々」
「お?」
モナはぎょっと驚いて首を傾げた。それはエレン達も同じで、トリッキーマジシャンは腕を組んでそっぽを向きながら話を聞く。
「それってどういうことだ? 俺達がアルテットミアに? 何を話そうと」
「おいおい話しますぞ。さぁ旅行と思って」
「あ、これ聞いてないな。旅行と思えないぞこれ」
エレンはダンゲルの言葉を聞いて諦めの音色で言うと、ララティラはそれに対して「ま、待ってな!」と言って静止をかける。
「なんで『12鬼士』も必要なん? 必要あらへんやろ!」
その言葉にダンゲルは首を横に振って、ララティラを見ないで言った。
「関係大ありですぞ。此度の件に関してですと、モナどのとトリッキーマジシャンは重要参考人ですぞ」
「なんかダンゲルさんがダンに見えてきたわっ! 重要参考人って逮捕沙汰かいなっ!」
「照れるぜ」
「褒めとらんし! かっこよく言うなっ!」
ダンが間に入って言うと、ララティラはじろっと睨んでダンに向かって怒鳴った。
モナはそれを見て、シャイナを見て……、彼女は申し訳なさそうに……。
「ごめんね?」
と言うと、シャイナはハァッと溜息を吐いて……、こう言った。
「いいよ別に、一人だと行く宛てないし、それにさ……」
と言って、彼女はくすっと微笑んだ……とモナは思ったが、すぐにシャイナはむすっとした表情になって彼女は言った。
「少しの間だけいてあげるって言ってるだけだからさ……。そんな嬉しそうな顔しないでほしい」
「え? してた?」
「すんごくニマニマしている」
その言葉にモナは頬に手を添えてムニムニする。それを見てシャイナはくすっと微笑んで思った。
――友達はもういらないって思っていた。あんな思いはしたくないから。
――でも、今だけなんだかその決意を破ろうと思ってしまった……。あんな思いをしたのに対して……。
――自由気ままな、アストラ。
――もう少しいて、考えてからにしよう。
そうシャイナは思い、モナに手を差し伸べた。
それを見たモナは首を傾げてシャイナを見ると……、彼女は強気な笑みで言った。
「はい。握手」
「それは……」
モナはその手を見て、まさかまさかと思い、嬉しい表情で見ると……、シャイナはにっと笑って――
「友達がいなくなったあんたへの慰め」
「えっ!? ひっどーいっっ!」
「ほれほれ。握手」
「ぬうううううう」
と言いながら、モナはむすくれながらシャイナの手を握った。
シャイナはそれを見て、内心こう思いながら……、心の底からの笑みを浮かべた。
――これからよろしくね。友達。
互いに互いが小さく一歩を進めた時、トリッキーマジシャンはモナの目を再度見て、顎に手を当てる。それを見たモナとシャイナはぎょっとして彼を見た。
「この目は……」
「変、なのかな……?」
モナはあまりに目を見られているので視線を外しながらもじもじと照れていると……、トリッキーマジシャンはそれを見て、すぐに顔を離しながら言う。
「なるほど……。あのヘルナイトの目ではないですね。そして私の一族の目でもない」
「へ? それって……」と、彼女が言おうとした時だった。
「善は急げ。『マナ・イグニッション――『」
ダンゲルは、急いで手に持っていた瘴輝石を握る力を入れて……、言った。
「あれ? ちょっと待って」
エレンが止めようとした時、心の準備もできていない時に……、ダンゲルは急ぎのあまりに何も聞かずにしてしまった。
「拠点瞬間移動』!」
瞬間、ふっとそこにいた誰もが消えてしまった。
それを見たものは誰もいないが……、一人の鉱石族だけはそれを見て、なぜだろうか……、合掌をして小さくこう言った……。
「無事を、祈っています……っ!」と――
エレン達はマースがいるギルドに瞬間移動して驚いたが、すぐに彼を呼び出して、ダンゲルは説明もせずにまた瘴輝石を使った瞬間………………。
誰もがその光景を見たら、誰だってすることがある。
それは――前の空を見たら、次は横の風景を見て、空だと認識したら次は左。これも空だと認識し、後ろを見て空と思ったら今度は上。これも空。しかも綿あめのような雲がある。鳥が近くを飛んでいる……。
みんなはその風景を見て、だんだん青ざめながら体中から出る脂汗を流さず……、そっと下を見た瞬間……。
誰もがこう思った。
プレイヤーは思った。
――はい。お約束と……。
そう、真下は――小さく見える街。
それを見た瞬間、本当にお約束であるかのように……、ふっと足場を失ったかのように、重力に従って……。
落ちる。
誰もが叫んで、ダンやダンゲルが『がははっ』と笑う中……、エレンは落ちながら悟った。
これ絶対に死ぬパターンです! と……。
そんな絶対絶命を救ったのは二つ名の鬼士で、思わぬ再会をここで果たすことになってしまったアストラとモナとシャイナだった……。