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悠紀ちゃん悠紀くんの交換日記  作者: どらっくまん
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小学生の日記かよ!

ウチは、ウチの書いた翌日の日付から読み始める。

ウチが眠ってる間の出来事を知るために……。


「・月・日。晴れ時々くもり。今日は学校で体育がありました。ウチは走るのが苦手です。かけっこではビリになっちゃいました。クラスの子が『手加減してるんじゃねーよ!』って怒ってました。悠紀君が運動が得意なのは知ってますが、ウチの番の時に困るので、もうちょっと手加減してくれないかなーと、思います」


「……小学生の日記かよ!」


あぁ。

しまった。

ウチら実際“小学生”だったわ……


「・月・日。雨。雨の日は憂鬱です。スカートの裾が濡れちゃうと、歩いてるときやイスに座るとき、ヒヤっと冷たいからです。今日も学校で……」


「……小学生の日記かよ!」


あぁ。しまった……。

また同じ事言ってまったわ……


「・月・日。くもり。今日はお友達と買い物に行く約束を……」


「……小学生のっ……!」


途中で読むのを止めた。

特に何も無い3日間だったようだ……。


振り返って、寝息を立てている少女を睨む。

何の悩みも無いかのごとく、クークーと静かに眠っている。


ウチらは二人で一つの人生を共にしている。

ウチが寝ているとき、この子がウチの代りに目覚めて、ウチと同じ学校生活をする。

この子が寝ているときに、ウチが目覚めて学校へと登校する。

どんだけ揺すっても叩いても、ウチとこの子とが同時に目を覚ます事は無い。


どうしてこんな不可思議な現象が起きているのかさっぱりわからないが、とにかく起きていることは起きているのだから仕方ない。

最初は首をかしげた家族も、今やこの状況に慣れ親しんでいる。

かくいう自分も、それなりに慣れ親しんできた。

まったくもって、楽しくはない状況だが……慣れってのは怖い。


こんな特殊な体を持っているおかげで、困る事は沢山ある。


困る事の一つ。


それは水分。


さすがに、寝てる間にご飯は食べられない。

が、汗はかくので体の水分は減っていく。

水分補充させないと、脱水症状で大変なことになる。

頭痛いわ、気持ち悪いわ、唇ただれるわと、なったことのある奴にしかわからない大変さ。

それを防ぐために、寝ている間に、観葉植物に水を差すかの如く、“らくのみ”で水をあげるのだ。


そして、上から水を入れたら、やっぱ下から出ることもあるわけで……

おねしょパンツは必須アイテムのひとつになってる……。


まぁ、入れ替わった当日は大丈夫だろうが……これが何日も寝たままとなると……確実に出てくる。

三日間も寝てたら、おねしょくらいするよな。普通だよな。うん。


布団の上に寝かせた少女を見つめる。

くまさんパンツ履いてるってことは、着替えさせないといけないわけか……

……おねしょパンツに……


思春期前の健全な男子だ。

同世代の女の子のパンツの中のパラノイアを、どうとも思ったりしない。

安心しやがれド畜生のロリコン共!!


……逆に言えば、ウチもやられとるって事だしな……


自分の股間にそっと手を当てる。


……やっぱし、じっくり見られとるんだろうか……


ぶるっと背中に寒いものが降りてきた……


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