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悠紀ちゃん悠紀くんの交換日記  作者: どらっくまん
13/63

危機

「あ、あたしも一緒に入って良い?? こういう服の着方ってこつがあるんだ。教えてあげるよ」


「だ、だめ! 絶対ダメ! 開けちゃダメ!!」


「ぶぅー 残念……。じゃ、三十秒で着替えてね♪ いーち、にーぃ、さーん……」


カウントダウンを始める姫乃。

……なんて無茶を仰る

ウチはリボンの隙間に隠れていたボタンを探り当てて、亜光速で着替えを始める。


「……じゅーご、じゅーろく、にじゅうく、さんじゅう! おまたせー入るね♪」


数字をすっ飛ばしてカウントを終えると、カーテンの合間からニュッと顔が入ってきた。


「!!!」


ウチは、ちょうどキュロットパンツにを下げたところで……


「きゃぁーーーーーー」


悲鳴と共に姫乃が目を覆う。

……いや、指の合間からは、キラキラとした眼差しが輝いたまんまだが……


……見られた!

めっちゃ、まじまじと、見られとる!!


「悠紀ちゃん、それって……それって……!!」


頬を赤くして、うちの下半身を指さして、驚きの表情。

目を輝かせて、視線の先を指さす。


「え……っと、これは……その……」


言い訳に戸惑うウチ。


「それって…… それって…… “ふんどしパンツ” だよね!! すっごい! かわいい!! 」


「……え? そっち?」


「女の子用のふんどしってのが流行ってるって聞いてたけど、本物だぁ! ねね。もっと見せて!」


「いやぁあぁぁぁぁ!!」


腿の辺りまで下げたキュロットパンツのせいで、走って逃げる事も出来ず、ウチは必死で前を隠す。

姫乃に指さされたピンクの下着用ふんどし。ゆったりとした着心地でお気に入りなんだが……

めっちゃ見られとる!!

あかん!!

是が非でも、こっちだけは見られたらいかん!!


「どうなってるの? それって紐が解けたりしないの? 肌触りはどう? 触ってもイイ?。 ねえねえ、見せてー 脱がせてー 被らせてー」


興奮気味の姫乃さんが、とてつもなく変態的発言をして迫ってきます。


「ひ、姫乃ちゃん……お、落ち着いて……」


「だーいじょうぶ、痛くしないから。ほんのちょーっと、一瞬だけだよ……」


ハァハァと荒い息をしながら迫ってくる姫乃(狂)さん。


やられる!

殺されると書いて殺<や>られる。


ドンと背中が鏡にぶつかる。

もう後ろは無い。

逃げ道は完全に塞がれている。

どうする悠紀!


もう、カミングアウトしかないのか!?

諦めるのか!?!?

今までの苦労を全て水に流すのか!?


走馬燈の如く、苦い記憶が蘇ったその時!


バッターン!!


「へぷっ!!」


派手な音を立てて、姫乃は顔面から床に倒れ込む。

更衣室入り口の小さな段差に躓いたようだ。

ナイス五センチの段差!!


「ご、ごめん!」


ウチはいそいそとパンツをはき直して、狂気に触れた姫乃を踏み台にして更衣室から走って離れる。


無事、狂気の現場から逃れることに成功した。


……危なかった……


外で服を脱ぐことは、もうやめよう。

本気でそう思った。


……

……

……


あ。

逃げたとはいえ、家に帰ったわけじゃ無い。

おでこを擦り剥いて、「いったぁーーぃっ!」と泣きじゃくる姫乃を、このまま置いて帰るわけにも行かず、泣き止むまでずっと介抱してた……。


お店の人と一緒に……ね。


めっちゃ迷惑な客だった……。


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