サンタの工場
【陽介】
赤いレンガの積みあがった小さな『工場』。
『工場』は、人の――サンタの手が入ったもので作られるのが習わしだった。
レンガは人の手で作られる。想いのこもりやすい素材だ。
レンガの他には、木でできた工房もあれば、珍しいものだと石積みの工房もある。
作業服のサンタ服で、プレゼントを入れるための箱に、プレゼントを生み出して、届けるための力――キャロルを込める。その作業が何度も続く。
準備の終えたその箱を、総じて『プレゼント』と呼び、準備の終わる前の箱は『空箱』と呼んでいる。
他には、準備を終えたプレゼントの溜まった人が、脇にある倉庫へと移していく。
「陽介さん、まだ悩んでいるの?」
「晶さん……」
分かりますか? とぼくは聞く。
同僚の女のサンタの晶さんは、神妙な顔でこくりと頷いた。
「いつもよりキャロルが安定して籠もっていませんもん」
「えぇ?」
「ほら、これと、これ……あと、それも」
いくつかぼくの準備したプレゼントを掴んで、寄せる。
確かにそれらの箱には、少しキャロルが少なめだった。
「はいっと……一応補充しておいたけど、悩んでも仕方ないよ?」
「うぅ……ありがとうございます」
項垂れて頷くぼくを、仕方ないなぁとばかりに晶さんは笑った。
「ま、わたしたちはクリスマスが一番忙しいからねー。家族と一緒のクリスマスは難しいよ」
「……そうですよね」
分かってはいても、肩を落とさざるを得なかった。
ぼくは娘と約束をしたのだ。
その様子を見て、晶さんがぼくの肩をポンポンと叩いた。




