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謎の高価なゲーム『欠落オラクル』は、欧米風ファンタジー世界を舞台にした、わりとよくある雰囲気のVRMMOゲームだった。
ゲームの特徴としてはプレイ開始時に【神への代償】として自アバの身体や能力を一部欠落させる必要がある事。
ゲーム世界では『欠損』を補おうとする適応力をレベルに換算するシステムだとかで、ゲーム内では身体欠損者=冒険者、として認識されてるっぽい。
レベルは強力な力で、例え『両足』を捧げ、歩けなくなったキャラクターでも、レベルさえ上げたら空を自在に飛べるようになったり、超能力じみた力で義足をあやつれるようになったりするらしい。
欠損という欠点をどう生かし、発展させるかがゲームのキモでもある。
そして暗黙の了解とされている秘匿システム【体感加速】。現実世界での24時間が、ゲーム・プレイ中には25時間になっている事だ。
だいたいの計算になるが、現実世界の60秒がゲーム世界では62秒くらいに感じるシステムなのだ
1時間は1時間2分。 2時間は2時間4分と加算され、ゲーム内では、現実世界よりちょっとだけ長く時間を使える。
しかもゲーム購入時についてくるスキャナーや接続プラグを使えば現実世界のデータを持ち込む事も可能。
ゲーム内で勉強したり、読書したり、パソコン等の雑務処理。録画したテレビ鑑賞を時短できちゃったりするわけだ。
ゲーム本位の時間配分だと、生活リズムが狂ってしまいそうだが、現実主体ならちょっと余裕が出る。
テスト勉強期間(一週間)に毎日3時間ほど試験勉強をするシチュだと42分くらい多めに、あるいは減らせる。
みずから身体欠損にする不謹慎さ、 体感加速システム(現実世界のデータ持ち込み可能)これが、このゲームを秘密にする理由なのだろう。
主人公はそう思い込むことにより、様々な違和感を見過ごしてゆく。
欠落オラクルの持つ、“本当の機能”がプレイヤーの日常を破壊するその日まで。