決意
俺は朝起きて天井を見ながら母親の言葉について考えていた。
[負けて悔しいなら帰ってこられな]
正直どうすればいいのかわからなかった。
喧嘩しても負けなければいいってことなのか?
俺は小さな頭をフル回転させてやっと考えついた。
答えはそんなに難しい事ではなかった。
一人ずつタイマン張ればいいと、、、。
こんなに簡単な事になぜ俺は気づかなかったんだろう。
俺はその日学校に行くのがワクワクしていた。
なぜなら一対一では負ける気がしなかったからだ。
どこからそんな自信が湧いてきたかは分からないが、、。
朝学校に着くと俺はすぐに不良の先輩がいるクラスに行った。
最初は小手調べに弱そうな先輩を選んで呼び出した。
[昨日の仕返しに来たからタイマンはれよ]
[またヤラれにきたんか?]
その瞬間俺は先輩に殴りかかった。
がむしゃらに殴り続けた、気がつくと先輩は倒れていた。
俺は初めて喧嘩に勝った。
勝った事に浸っているとゾロゾロと先生達がやってきた。
俺は職員室に連れて行かれて質問攻めにあった。
なぜ上級生の所に行ったのか、喧嘩をしたのか、色々聞かれた。
俺の学校は同級生以外交流してはいけない決まりがあったのだ。
喧嘩した事や喧嘩に至るまでの経緯を先生は聞いてきた。
俺は終始無言で何も喋らなかった。
今思えば言いたくない事は言わなくてもいいという制度があるが、子供ながら黙秘権を使っていた。この先、黙秘権を使ったりするとは自分自身思ってもいなかった。
やっとの思いで先生たちの説教が終わり解放された。
その日は気持ちが高ぶっていて友達や母親に喧嘩に勝ったと言いたくて仕方が無かった。
そんな気持ちを抑えながら家に帰ると母親がここに座りなさいと声を掛けてきた
学校から母親に連絡が入っているとは思っていた。
早く自慢したくて母親に言おうとした。
[俺喧嘩に、、、]
その瞬間、母親に殴られた、、。
[あんた何したんなら]
俺は正直殴られた意味が分からなかった。
[人に迷惑かけてから何がしたいん?]
悔しいなら勝つまで帰ってこられなって言ったのに、、、。
[中途半端するくらいならトコトンやられぇ]
俺は勉強するのは元々好きじゃなかったし、何をするのも一番にならないと気がすまない性格だったから俺は決めた。
それも母親の一言で。
これから残り六人の先輩とタイマン張っていく事を考えていたら、喧嘩でも一番になりたいと思っていた。
母親に俺は一言だけ言った。
[俺中途半端せずにヤンキーになるけん!]
その言葉を言った瞬間母親は部屋から出て行った。
この日を境に俺はヤンキーになる事を決意した。