庭園会の終了
リディアたちのやり取りを固唾をのんで見守っているほかの令嬢たちをしり目に陛下も加わり庭園会が始まった。
ジェイクは今にでも倒れそうなあんなに歩み寄ってその細い腰を支えた。
「大丈夫かアンナ?」
その問いかけにアンナはうなずくがそのままジェイクによって椅子に座らされた。
「ジェイク、遅かったのね」
「アンナに何をした?」
「人聞きが悪いですわね。ご挨拶申し上げただけじゃない。アンナ様だけに挨拶していませんでしたからキリという侍女がご挨拶するようにって」
「…キリ、どういうことだ?」
「あの、昨日は夜も更けていましたし何もアンナ様がご挨拶しなくてもと思いまして…」
「くそっ」
その言葉にアンナとキリはビクッと肩を震わせた。
「ああ悪い、いや俺が悪いのか。ちゃんと話していなかったのが」
「それよりジェイクあなたがこの席を準備したとか聞いたのですが、まさかあのような特等席を準備されるとは思いませんでした」
リディアが準備された席を指さすとジェイクもそちらに視線を向けた。
「…末席だと」
そういえばキリにそのようなことを言われたとき酒を飲んでいて笑いながらそこでいいだろうといったような気がした。
「あそこからだと十分に庭園会を楽しむことができそうにもないので、わたくしこれで退席させていただきますわ。本当に面白いわ~こんなに貴族の方もいらっしゃっているのにまさかイシュベルの名を落とされるとは思いませんでしたわ。では皆様ごゆっくり」
優雅な礼とともにメリアを連れて出て行ってしまったリディアたちであったが残された者たちは気まずげですぐにお開きになってしまった。
だがこのままでは終わらなかった。均衡を保っていた令嬢たちの間でアンナの立ち位置が崩れてしまい、また貴族たちからも不平不満までもではじめてしまったのだ。