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東屋にて


「なあなあ、何簡単に引き下がってんだ!陛下のことはいいのかよ?」


リディアとゲイルは部屋に戻る気にはならなくて、中庭の東屋に来ていた。

さっきのやり取りにゲイルはなぜか焦燥感を抱いていた。


「別にいいも悪いのよ、ゲイル…あなたわかっているの、わたくしの気持ち?」


もうリディアから笑みは失われており、静かにゲイルを見ていた。


「なっ!」


「もともとこの勝算の低い戦いに来たのは、何も王妃の座のためだけじゃないわ。一番はあなたよ、そんなに私の気持ちは重いのかしら?」


「ちょっと待て!何言ってんだよ」


「私のためにイシュベルを継いでください」


リディアはゲイルの正面に立つと背の高いゲイルを見上げた。

「…無理だ。一介の傭兵だった俺には何もできない。お前の大事なイシュベルに傷がつくぞ。お前らは身分だの血統など大好きじゃねえか」


近づいたリディアに対してゲイルは後ずさりかけるがその前にリディアに抱きしめられた。


「あなたは違うわ。できる、わたくしがいる。誰にも文句を言わせはしない」


リディアはゆっくりと言い聞かせるようにゲイルに告げる。

それでも逃れようとゲイルはリディアの肩に両手を置くと引きはがそうとするが、リディアも回した腕に力を込めた。


「錯覚だ。俺は何も守れないし、お前のようにはなれない。身代わりになりたいわけではない。あきらめてくれよ」


「あなたもわたくしのそばにはいてくれないの…離れていくの?」


ゲイルの胸に顔を押し付けいつもらしくない弱い声にゲイルは何も言えなくなった。


「……」




「これはなんなんでしょうかね?あいびきですか、修羅場ですかね」


そんな中三人仲良くしゃがみこんでの聞き耳たて中である。

三人で中庭に来たのはよかったが、声のする方に行ってみればこの状態…出ていくにも出ていけない場面だった。


ジェイクは無表情のままその様子を見てたいたが静かに「…戻るぞ」と告げると立ち上がった。


「何でですか、こんな楽しいことないじゃないですか」


いつものルークらしくもなく満面の笑みだ。


「なら、お前はそこにいろ」


ジェイクは気が付かれないように足音を忍ばせ去っていく。

アンナはそんなジェイクを追いながらもジェイクの心がわからなくなっていった。


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