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five.


鏡の前に立つ私は68歳になっていた。

老いぼれた肉体、醜く歪んだ顔、抜け落ちた髪、伸びきった爪が歯で噛み千切っている為に歪に切れている。


「これが……私か……」

一心不乱にやってきた。

形振り構わず、とにかく夢を追い求めて研究しこの山に籠り作り続けた。

成功して出来たロボットたちは私を崇拝し、尊敬し、手足のように動いてくれた。

完璧なまでの子供たちだ。


「……醜い……な」

落胆を隠しきれない。

容姿など気にかけたこともないのに、ふとした瞬間鏡にうつる自分を見ると憂鬱になる。

見て見ぬ振りしてきた代償だ。


「マスターはオ美しいデす」

「イヴ、違うよ。かっこイって言うんだよ」

「いいえ、ダンディーの方があってます」

「違うわ、アダム、カイン、味があると言うのです」


子供(ロボット)たちが口々にフォローをする。

彼らたち(ロボット)は自分で学習していく。

そんなこと覚えなくていい、惨めになる。


「お前たち、そんなところで油を売っていていいのか?」


「はいマスター。アズラが代表してお答えします。

残りの3体が完成致しました。」


「アワンが補足致します。

後はマスターが3体の名前を決めて起動させるだけです」


そうか、ついに出来上がったか。


「よし、ついてこい。お前たちの弟妹を起こすぞ」


「はい」


*


我ながらほれぼれするな。


1体目はアズラとアワンが製作したヘブン。

褐色の肌に赤い目、真っ黒な髪の毛。気の強そうな女の子だ。

鉱物に不純物が混ざりすぎてどうやっても白い肌にはならなかったようだ。


2体目は私の作ったヘル。

ヘブンよりも強い褐色の肌。これも鉱物の副作用に近い。

垂れ目がやさしそうに見えるけれど、性格は獰猛。

敵と見なしたものを躊躇なく八つ裂きにするよう設定してある。


3体目は全員で作ったエデン。

彼女だけは大人の形をしている。

深い緑色の髪をした彼女。慈愛に充ち溢れる彼女は征服用というより参謀用に近い。

万が一私に何かあっても、その後うまくしてくれるように私の全てをつぎ込んだ。

知識も野望も全て。






「さあ、始めようか」




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