three.
夜も更けて、これからのことを思う。もう少し作れてから侵略を開始しようか……1人で行き破壊されるのも不安だが、イヴをもとに作って不具合が見つかるのも困る。
まずは麓の村を襲わせよう。
その状態によって改良が必要かどうかを決めよう。
イヴに麓の村を襲うように指示を出す、ついでに、食料も少なくなってきたから奪ってくるようにとも。
「分かリました、マスター。行ってキます」
そう言って烏のように真っ黒な羽を背中から出し、飛んでいった。うむ、完璧。
イヴの場所が分かって地下室を壊されてはたまらないからな、真上から降りてくれば分からないだろう。
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夕陽で空が赤く染まる。
麓の方からは煙が上がっていた。
最初はひとつだった煙、2つ、3つ…細々としたものも入れると数え切れないほどに。
いつしか黒煙が朦々と吹き荒れている。
「ふふふふふ……はは……はぁーーーははははははははは!!!」
笑いが止まらない。悲鳴が聞こえるようだ。
報告が楽しみだ。
「ただイま戻りましタ、マスター」
玄関で声が聞こえる。
すぐに迎え入れる。
背後から夕陽がイヴを煌々と照らしている。
表情は見えないけれど、イヴの口はにんまりと笑っていた。
左手には人の腕が握りしめられているし、服には所々に赤黒い血。
空いている右手はワンピースをしっかりと握っている。
「マスターごめんなサい。」
怪我でもしたのだろうか。
「服、汚してしまいマした。」
「ああ、なんだそんなことか。いいよ。さあさあ、体を綺麗にしてから報告を聞かせてくれ」
「はい。」
シャワールームへとイヴが向かう。
さて、この大量の荷物、食料庫に運ばなければな。
*
「では報告をきかせてくれ」
「はイ、マスター」
シャワーを終えたイヴが報告を始める。
「まず、逃げられないヨうに村の周りヲ火で囲いましタ。
慌てテ消しに来る人間の首を飛バし、襲ってくるもノ、逃げるモの、懇願すルもの、全てを排除してキました。」
よしよし、計画通りだ。
イヴの形を量産しようではないか。
10体だ。10体あれば征服できる。
徐々に性能をあげていこう。
幾ら少し大きな村だと言っても襲うのに時間がかかっているからな。
「よし、イヴ、手伝っておくれ」
そうして私は2体目を作り始めた。