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漂流者  作者: 熊さん
第一章:珍しい渡来人
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この縄文の暮らし

この縄文の暮らし



集落には大きな小屋が3つある。


太い柱が7本、しっかり立っている。

風が吹いても倒れなかった。

床は土を掘り、固く締めてあり、両脇は木の枝や草をかぶせてある。


真ん中に石が組まれた炉が作られ、木の枝などに火をつけて煮炊きが出来るようになっていた。


冬場に草の皮を撚って作る服は、結構、暖かい。


食べ物は豊かだった。


丸木舟が基本で、網を使った漁。

森は迫っているので、小動物を罠にかけたり、弓矢で狩る。

森には木の実が豊かに実り、冬の蓄えも充分に出来た。


だが、俺は、漁師だった。


「船には、底板を引いて広くした方が安定するぞ」


安定が悪い丸木舟に中板を引くことを提案して、それまでの丸木舟より広く大きくした。


網は、かなり頑丈だ。

草を編む技術は高いと思った。


海の魚も豊富だった。


塩も作り方は同じだ。

塩は物の保存にも有効だ。かなり使える。


俺が驚いたのは小動物向きの罠だった。

器用に木を組み合わせたり、穴に落としたり、様々なものがあった。


動物の皮のなめしは、俺が教えた。

俺には鉄でできたナイフがあり、首筋をきり裂き血抜きをして、皮をはぐ作業はお手の物だった。


俺も姉貴も仲間も、暮らしに慣れてきていた。


いまは、護岸がコンクリートで固められている。

僕には、海辺の砂浜や遠くの森が見えた。

田園の広がりの下に、縄文の暮らしの豊かさを感じた。


秋が深まると、小屋に移動するグループが来た。

彼らは南から北へと日本海沿いを分かり歩くグループだった。


「お前は、言葉が話せるんだな」


俺は顔つきが違うので目立つのだ。


「話は大丈夫だ。何処から来たんだ」


彼らは敦賀という場所に拠点があり、南の方から渡来人が来ていることを教えてくれた。


俺は、争いのない、この世界のその姿勢に感心した。

海から来たものへの寛容さがあり、俺たちも向かい入れてくれたんだろうと考えた。


年を超えると、春過ぎに、別の移動するグループも来た。


彼らは、八ヶ岳や浅間山辺りを回っているらしい。


大陸での記憶は、よく思い出せないが、我らの集落にこのように渡り歩く連中が来ることはなかった。


様々な情報が聞けたし、暮らしの形が少しずつ分かってきた。


この世界は広いかもしれない。

もっと知りたいことがあると感じた。


俺は、世話になった女と結ばれ、男の子が生まれていた。


姉も娘を生んでいた。


それから小屋での暮らしを楽しみ、生活が続いていた。


俺は、山に興味を持ち、八ヶ岳や浅間山を渡り歩くグループと動くことにした。


海は、うるさくざわめいていた。


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