19/100 浅薄
しゃがみ込んだ相手を見て私は少し気が楽になった。これで相手を置いていけると思ったからだ。
しかししばらくしたあと振り返ってみるとそこには小さく丸まって苦しそうな今にも消えてしまいそうな存在がいた。私は自身の浅薄な考えを恥じた。
そもそも何も考えずに相手を励まして自分の思いと違ったらすぐに捨てる。
近寄ってみると荒い呼吸で今倒れてもおかしくない雰囲気だった。
「予定より早かったみたい」
私に向けて放たれたその言葉はエグく心を抉った。私は少なくとも何日間は生きれるという担保がある。それと違って相手はないのだ。かけていい言葉が見つからなかった。
「死んだらまたあっちで会おうね。待ってるよ。」
「スマホ持ってない?」
私が出した言葉は陳腐で月並みなものだった。
「え?どうして?」
「救急車呼ぼう」
「は?」
「今死ぬべきじゃない。」
「何言っての!」
叫んだ瞬間、卒倒した。
私は相手の身体中を調べてスマホを見つけた。ロックは掛かっていたが119番は掛けることが出来て救急車を読んだ。
山中で中々救急車は来なくイラついてくる。それでも何とか間に合い救急車に乗せられていた。
「着いてきてください。」
「え?」
「あなた一緒にいたんでしょ。説明の義務があるので」
私は嫌々救急車に乗ると病院へと向かった。
相手が倒れてからずっと後悔が押し寄せてくる。




