14/100 フラッシュモブ
『フラッシュモブをしたいんです。』
今までの私なら一笑に伏していただろう。しかし状況が違う。相手は残りわずかな寿命で必死に言っているとしたら話は別だった。そしてその必死さは文面からもしっかりと伝わってきた。
私は私たち専用のサイトから相手の連絡先を知りコミュニケーションを取っていた。切羽詰まっているのかわずかな寿命なのでどちらでもいいのか電話番号も住所も個人情報は全て書かれてきた。
『どんな内容か決まってますか?』
『まだ決まってないですが、相手は決まってます!!良ければ直接電話かけてきてくれないですか?』
その返事に少し迷いつつも私は電話を掛けることにした。
「もしもし」
聞こえてくる声はかなり幼かった。高校一年生と書いてあったのである程度想像をしていたが直接声を聞くと質量を感じ少し怯んでしまった。
「先程連絡していたものですけど」
「ありがとうございます!フラッシュモブの件ですよね!」
「はい。私で出来ることなら手伝えればと思って。」
「ぜひお願いします!最後の思い出にやりたいんです!!」
その声は絶望より希望に溢れていた。久しく感じたことのない青春の香りがした。しかし、私の相手も知っている。残り少ない人生だということを。そう思うと私は聞かざるを得なかった。
「無理してない?」
「してないですよ!」
すぐに返ってきた答えだが、そこには嘘偽りが無いように感じた。少し間があったことからか相手は続けた。
「自分の場合寿命が1週間だったんですね。笑っちゃいましたよ。いくらなんでも短すぎだろって。
でも私の母が同じく寿命を宣言されていていろいろサポートしてもらったんですね。学校も行かなくていいっていうし、好きなものも好きな場所もいけるし。そういう意味ではかなり幸せでした。
そんな中で悩んでいる時間ないなと思ったんです。本当にあっという間に過ぎていくし、それで一番やりたいことを考えた時に何かと思ったらフラッシュモブだったんですね。」
私は正直相手の話を半分も理解できていない気がしたが、その生命力に圧倒されていた。元々協力するつもりだったが少しでも求めているものを叶えてあげたいと思うようになっていた。その気持ちがつい口に出ていた。
「すごいなぁ」
「いえ。切迫詰まっているだけですよ。」
そこから私達はしばらくフラッシュモブの打ち合わせをした。




