12/100 月
朝からパートナーからの連絡はやけに多かった。一時間に一回はやり取りをしていた。そのおかげもあり少しだけではあるが気分はふさぎ込まないでいれた。
待ち合わせ先に向かう途中かけた月が空に浮かんでいるのがやけに目についた。
昔の人が「l love you」を「月がきれいですね」と訳したみたいな嘘か本当かわからないことがあったという話を思い出した。私は話が苦手だ、なにか見透かされるような気がするからだ。
私は好きという事から逃げている、パートナーというのもその表れであった。この数日間でやっとその事に向き合えた気がする。
店に着くとパートナーは既に着いていた。早めについたつもりなのだが私は内心驚いた。考えてみるといつも先についていたがこれほどはやくついているとは思っていなかった。
「ひさしぶり」
「そうだね。」
パートナーは少し緊張したような感じで返答した。いつものようなよそよそしさだった。
「今日大丈夫だった?」
「仕事はやめに切り上げてきたから。」
「そっか、仕事か」
仕事を辞めてもうすっかり仕事がない生活に慣れ始めていることに気が付いた。
「次の仕事とか探しているの。」
「ないかな。もうしばらく考えてみようと思って」
「そっか、お金とか大丈夫。大変じゃない」
「まぁまだ大丈夫だよ」
「あれじゃない。一緒に住んだりする。」
パートナーはまっすぐこちらを見ていた。様々考えての発言だろう。ものすごくらしい発言だったひとりで考えこんで結論のように話す。
「いいかな」
「そっか」
そのくせ考えは押し付けない。それが美徳であると考えているか私にはわからなかった。
「でも本当に大丈夫なの?」
「ああ」
「本当に」
主張が激しい様な弱い様なわからない中途半端な感じは私を少しイラつかせた。仕方なく話題を変えて他愛のない話をすることにした。あまり楽しくない時間がすぎていった。
「じゃあ今日はここまでにしようか」
「そうだね。次はどこいく?」
「疲れたから帰ろうか」
「え?帰るの?」
「そうだけど。」
「そうなんだ。泊まるものだと思ってたから。」
その言葉が何か私の琴線に触れたり。
「人生考えている?」
「え?」
「あと何年だ死ぬとかあと何年仕事するとか考えている?」
「うん」
「うんって何?本当に考えているの?じゃあ何かよくわからない悪魔か天使かもよくわからない存在があと100日で寿命だって行ってきたらどうする」
「今と変わらないかな。」
「変わらないわけないだろ!」
「私もそうだよ。」
「なんだよ私もそうって」
「私もそうあと230日後に死ぬから」
「え?」
「きっとあなたと同じ」
今、月はどうなっているのだろう。綺麗なままでいるのだろうか。




