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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

婚約破棄の現場で、生き残ったのは令嬢のみになった話

作者: 山田 勝

「婚約破棄を宣言する!」

「お義姉様、カワイソー、キャ」


「そんな。どうして、そんなことのために大事な使用人たちを殺めたの?」



 ・・・お~、嫌だ。嫌だ。これは同意するぜ。

 お貴族様は、これだから、そんなことのために俺は雇われた。令嬢の従者、メイド、護衛騎士を殺した。


 俺は、ゴルテック、暗殺ギルド所属の元騎士、上級剣士だ。

 真実の愛を邪魔するヒドイ令嬢の抹殺を依頼された。



 しかし、相手は、侯爵令嬢だ。

 いつも、誰かいる。

 王都や領都で殺害をしたら、即行でばれるよ~んと、言うことで、この寒村で襲えと

 婚約者と男爵令嬢から依頼された。


 ちょうど、良い感じに、寒村に視察に赴くというので、襲撃をしたわけだ。

 隣の村まで馬車で2日の距離だ。



「マスター、村人全員48名の死亡を確認しましたぜ。帳簿通りです」

「あ、そう、可哀想にな。村人たちは、盗賊団に襲われたことになるのだよ。ってかその通りだし」


「そ、そんな、村人は何の罪もありませんわ!」


「それだよ。いつも、慈愛を振りまく令嬢で、僕は、いつも肩身の狭い思いをしていたよ」

「そーよ。従姉妹なのに、お義姉様だけ侯爵家に生まれたからって、ダスキー様と結ばれるなんて、ズルイわ」


 全く、ご領主の娘が来るっていうことで村人全員が、出むかえたのが仇になったぜ。


「坊ちゃん。さあ、早く、殺して、真実の愛を成就してくださいな」

「お前達は、盗賊の仕業に見せかける。適当に漁れよ」


「「「ヘイ!」」」



「ゴルテック殿、こいつ、長く苦しめたい。僕よりも成績が良くて、不相応なカップルだと社交界で笑われていたよ」



『あ、そう』、としか言えない恨みだが、恨みなんて、個人ごとだ。それに、俺は雇われ、金をもらったから、文句は言えないな。

 しかし、拷問からの殺害は可哀想だ。ちょっと、提案するか。



「じゃあ、遠い異国の娼館に売れば如何ですか?長く苦しめますぜ」

「それだと、復権する恐れがあるよ」


「ちょうど良い具合に、出てこられない娼館があるんでさ。闇ギルド御用達です」

「う~む。でも、異国で、また、戻ってくるかもと怯えるのもやだな。メルシーも可哀想だよ」


「分かりました。坊ちゃんは、奮戦むなしく、婚約者を死なせてしまった。後で、刀傷をつけておきますから、お忘れなく」


「分かっているよ。ポーションもあるし」



「頭、大変だ。お宝がありますぜ!」

「見たことのない容器に、胡椒が入っていますぜ。お宝が眠っている村ではないですか?」



 あ、そう言えば、この令嬢、何で、この何もない枝村に訪れたのだ?



「これです。これ!見たことのない文字が書かれているんです。古代の遺物では?」

「ば~か、古代の遺物に胡椒なんて・・・何だって!」


 俺は驚愕した。


「・・・この小さいがいびつのない透明な容器、ガラスでもない。これは、異世界のものだ」


「異世界って、あの黒髪族?」



 ガクガクガク~


 足が震える。もしや、縛られている令嬢に尋ねた。


「おい、お前、何故、この村に視察に訪れた!」


「それは、この寒村で、不思議なものが手に入るからと報告を受けたからですわ・・・」



「おい、依頼主、そんな話は聞いていないぞ!」


「へ?そう言えば、不思議ですね」

「そんなことはいいから、さっさと、お義姉様を、なます斬りにしなさいよね!」


 スパン!


「黙れ!メス豚、今大事な話をしているのだ!」


 ポトッ


 時間差で、手首がゆっくり落ちた。


「キャア、腕が、腕が、手首が落ちたーーー」


 ジョボボボー!


 まるで、小便のように、手首があった場所から、血が吹き出る。


 今度は、手下に尋ねた。

「おい、村人は?」


「へえ?さっさと、殺しましたよ」


「アホ!情報が抜けないだろう!」


 スパン!スパン!


「ヒディー、それは、兄貴の命令ですぜ!」



「はあ、はあ、はあ、おい、お前、どうして、疑問に思わなかった!見ただろ?護衛騎士5人を瞬殺した俺の実力を、また、見たいか?」


「そんな、この女は、領地経営でいつもあちこちに行くから」


「うっせー、言い訳をするな!」


「兄貴、どうしたん・・ギャアア」


 スパン!スパン!


 怒りにまかせて、手下どもを殺した!



 坊ちゃんに尋問を続けた。


「へえ?でも、黒髪族でしょう?15年前に、王国騎士団が討伐したって聞いたから、大丈夫だよ!」


「馬鹿野郎!それでも、お前は貴族か?!」


 俺は、15年前に見た。王都で黒髪族が、火矢で、一撃でドラゴンを屠るのを、


 慢心して、王に無礼を働いたから、討伐した?


 違う。真相は

 騙し打ちにしたのだ。

 彼らが持っている魔道具欲しさに、王が、宴会に呼び。武装解除した状態で襲った。


 しかし、やがて、銃とやらは、礫がなくなり。自動車とやらは、動かなくなった。


 一人だけ、武器の監視で残っていた者は、取り逃がしたと聞いたが、

「・・・生きていたのか」


「キャー!血が止らない!キャー!キャー!」


「うっせー!そもそも、お前らが、真実の愛とか寝言を言うからこんなことになったのだ!」


 スパン!スパン!スパン!バシュ!


 男爵令嬢をなます斬りにした。


「ほら、ご希望のなます斬りだぜ」


「ウゲー!ダスキー、ポーション!ポーションあるでしょーーーちょーだい!」


「え、やだよ。これは僕のだよ!」


「ギャハハハ、真実の愛じゃないのかよ!」


 ジョボボボー


「ヒィ、許して、パパに言えば、お金を出して・・・」


 ズボズボ!


 失禁して腰を地につけている坊ちゃんの太ももを刺した。


「ギャアアアアアーーーーーー」


「どうだ?刺されるって、痛いだろう?他人の痛みを知っていれば、長く苦しめとか言わないものだ。ア~ハハハハハハ」


「ポーション・・」


 ドカ!

 パリン!


「馬鹿だろ。敵の前でポーションを出すなよ」


 奴がポーションを取り出したので、蹴って割ったぜ。


「ウワー、割れた!」


 こいつらは、出血多量で死ぬだろな。



 ・・・・




 この村で、生きているのは、俺と令嬢だけになった。


「・・・・・・」


「ほお、お前は、泣き叫ばないのだな」


 縛られている令嬢は、冷静だ。さっきまで、殺される運命だったのに、いや、今も俺の胸三寸だ。


「ええ、今更ですわ。あれは王国が背負う罪です。呼んどいて、用が済んだら、殺害するなんて、まさか、生き残りの黒髪族と交易している村だとは思いもしませんでしたわ」



 バン!


 何だ。雷か。小さな破裂音が聞こえる。あれは、奴らの魔法杖、近くにいる!急いで逃げなければ・・


「知るか。そうだ!俺は、闇ギルドを抜ける!そうだ。そうすれば、たすか・・・る」



 ドタン!


 一撃か・・・

 大きな振動を感じた。胸を、鉄礫が貫通したのだろう。

 あのとき、俺は新米の騎士だった。

 どこで、間違えたのだろう・・・・いや、初めからだ。


 王命を拒絶することなんて、出来る訳がない。あの時、騎士団を脱走していれば・・




 ☆数分後


 一人のマダラ模様の服と、鉄兜を被った小柄な黒髪族がやってきたわ。

 顔面を何かで覆い。わずかにはみ出ている髪は、黒、ドワーフの工房メガネのようなものをかけているが、分かったわ。瞳は碧眼?文献と違うわ。


 手には、木と鉄で作られた奇妙な魔法杖。

 これは、文献通りね。あちらの世界の騎士団所属の黒髪族の武器。


「貴方は・・・・」


「・・・・いつもの場所に、交換の物資がないから、見に来た。これで、・・交易拠点がなくなった」


 ・・・少女の声、もしかして、黒髪族とこの世界の民との間の子供?



「村人は、全員殺されました。戸籍で確認をしていたので、残念ながら、確かだと・・・」


「そう・・」


「私は王国側ですわ。殺さないのですか?」


「お前は、その時、赤子だったのだろう?私は生まれていないがな」



「命の恩人・・でいいのですか?代わりに、私が、生活物資を用立てますわ」


「いらない。それよりも・・・」




 ・・・・・



 私は、少女の願いを聞くことにした。

 それは、武器の献上だ。


 この村で、黒髪族から渡されてたと言って、王宮に届け出た。

 村人は全滅、黒髪族を庇った罪を負う者はいない。



「ほお、黒髪族が生きていたか。一人、補給陸曹とやらが生き残っていたと聞いたが」


「どうやら、異世界の武器や弾薬、自動車の赤い水を、召喚できるようです」



「陛下、令嬢が、黒髪族と接触しました。この箱を渡され、これで、王国に住まうことを願いたいとの書面がありました。陛下宛ですので、開けてはおりませんが、確認しますか?」


「ほお、感心だ。ドワーフでも作れなかった弾とやらがあるのか?よい、ワシが自ら開けて、確認しよう」


 王が、箱に手をかけ。開けた瞬間、


 ドカーーーーン!


 爆音が響いた。




 ・・・・・


「陛下が崩御された」

「黒髪族、討伐は?」


「やめておけ。それよりも、次の王位継承権争いが起きるぞ。まだ、王太子を、指定をされていなかった」


「・・・異世界人に関わるのはやめておけ」


 宰相は、心の中でつぶやいた。


 ・・・黒髪族の抹殺の命令者は、死んだ。禊ぎは済んだ。

 上手く迎え入れないか・・・


 次の政権では、

 黒髪族、処罰不要の詔がだされた。





最後までお読み頂き有難うございました。

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