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友達

「んじゃ、ちょっとやりますかね」


まぁこいつなら大丈夫だろう。

ちゃんと言い含めたらベラベラしゃべりそうなやつでもないし


それにいつか世界に出るんだったらいずれはばれるだろうし。


「……」

世界そのものと自分が重なるような感覚に陥る。

溶け合い、混ざり合い、意識が点となり、それが線へ、さらに円へと広がっていく。


半径5メートルくらいに目標を探す・・・・・


・・・いた。あれか。

ごめんよ貰うね。命を・・・


「ちょっと、何してるのよ。人の話きい 」


ふいに世界がゆがんだ感覚が来る。


違うこれは俺が動いたんだ。


景色がぶれる、揺れる、騒ぐ。


その瞬間そいつの、兎の首から下が、、、、なくなっていた。消えていた。


「えっ!? ちょっと待って、何よその動き! 全然見えなかったんだけど!?」

ルナは目を見開き、信じられないものを見たような顔で俺を凝視している。


「あれ?切り飛ばしただけなのに?」


ふと我に返った俺は手にしていた剣を見て違和感を感じた。


こいつのせいかな?

なんか力の入れ方が変だったな?いつもと違う?

いや同じだった?

わからん。


「聞けーーーーー!」


その瞬間、右側頭部に衝撃が走る。

……いや、これ、完全に踵だ。間違いない。


「ぶおおお。ぶへ」


豪快に吹っ飛ぶ俺。


「うわあぁぁ。あんな動きするからこれくらい避けられると思ったの。

 ごめんなさい。ごめんなさい」


必死に謝りながら駆け寄ってくるルナの姿が視界に入りながら俺の意識は薄れていった。




時間にして3時間きっかり気絶していた俺が目を覚ましたのは、やわらかい後頭部の感触と心配そうにのぞき込むきれいなルナの顔だった。


「やっと目が覚めたー。どうしようかと思って。

 ごめんなさい、こんなことになるなんて」


ズキズキする頭をおさえながら、ちょっと名残惜しい枕の感触を惜しみながら起き上がる。


「ふぅー、よく寝た。

 ってひでぇなてめぇは、いきなり蹴りつけるとか」


「ごめんなさい。避けられると思ったから・・」


なんだかしおらしくされると、こちらが悪いことをしたみたいに思えるから不思議だ。


「まぁ、いいよ。無事みたいだし」


「ところであんた!なによあの動きは!

 あんためちゃくちゃ強いんじゃない!騙したわね!」


「いやいやいや、別に騙してないでしょ。

 何も聞かれてないし。

 そっちこそめちゃくちゃな動きしてたじゃねえか」


「私はちゃんと強いって言ってました!」


「うっ・・確かに言ってはいたが、そういう次元の動きじゃないし」


「それを言うならあんたでしょ。

 何よ私が目だけでも追えないなんておじい様以来だわ!」


そんなじじいがいるんかい。

そりゃあんた強いはずだわ。


「説明しなさいよ!どうやって動いたの!?」


「いや、普通に冒険者の秘密だろそりゃ。

 お前こそなんだよあの動きは」


「私のはシュンポよシュンポ。

 なんか知らないけどおじいさまがそう呼んでたわ」


シュンポ・・・瞬歩か。

また、懐かしい名前を聞いたな。


「なんだよそれじゃわからんぞ。

 そのオジイサマというやつかお前を強くしたのは?」


「そうよすっごく強いんだからおじいさまは。

 あんたでもかなわないわ。

 さあ、早く秘密を教えなさい!」


「いや、だから秘密だっつーの。言えるかよそんなの」


そう。

言えないのである。

言ったら首が飛ぶかもしれんからね。


もしかしたらそのオジイサマが俺の首を刈りに。


しかしまずいな。

ややこしいやつに見せちまったな。

いつかたどり着かれるぞ。


その前に力をつけなきゃな。

とにかく今はこいつを何とかしないとだな。


「あールナさんや」


「またオジイサマみたいな言い方して」


んー、なんと言おうかな。

黙ってね。てへ!では通じないよなぁ。


「ルナさん!」


「なによ!」


仕方ない、いい案が浮かばないときは必殺技を使うか。


「このことはしばらく秘密にしておいてもらえませんか」


俺は地面に正座し、両手をつきそのままゆっくりと額を地面に近づけていった。


そう土下座である。


だって、女の子に手を出すわけにはいかんし、プライドはとうの昔に捨てた。

これくらいへっちゃらである。


「・・・何よ。そんなことされなくても誰にも言わないわよ!」


よし、チョロくて助かった。


「これって、秘密の共有ってことよね。 ……つまり、友達ってことだわ!」

ルナは突然、笑顔を浮かべながらぽつりと呟いた。

「友達……私、初めての友達……」


なんかヤンデレっぽいこえがうっすら頭の上から聞こえるが。

まぁまだ友達なのでなんとかなるだろう。


「わかっていただいたようで何よりです。では、帰りましょうか?」


「あんた、兎の討伐はどうすんのよ?

 魔石ごとふっ飛ばして。

 まだ0匹でしょ?たしか最低3匹だっけ?

 狩らなくちゃいけないんじゃなかった?」


ぬおー、そうだった忘れてた。

討伐しに来たんだった俺は。

あ、確かこいつ1匹狩ってたよな。


んじゃ、あと1匹ずつ狩ったら終わりじゃん。

何とか狩って暗くなる前には帰れそうだ。


「ルナさん、さっき狩った1匹譲ってもらえませんか。

 討伐報酬もちゃんと渡しますので」


「嫌よ、手伝わないって言ったじゃない」


「ああ、頭が痛い。蹴られた右側頭部が割れるように痛いーー」


「もう!わかったわよ。渡せばいいんでしょ。

 あと2匹だっけ?さっさと狩って帰るわよ!」


「ありがとう助かります!」


よっしゃー!


「あと、ルナでいいわよ。友達なんだから」


最後の方は消え入りそうな声であった。


「ああ、友達だからな!よろしくな、ルナ!」


「ええ、友達だから!さあ、ファースト!さっさと終わらせるわよ!」


ルナは妙に元気を取り戻した様子で張り切っていたが、結局、兎を見つけるのに手間取り、街に戻ったのは夕方近くになってしまった。

主人公の実力がちょっとだけ出てきました。

能力値は高いですがまだルーキーですので経験が足りません。

これから少しずつ力の使い方も上手くなっていくはずです。


魔石に関してですが、電池のような使い方ができるものという感じに考えていただければわかりやすいかと思います。

人口が多いと魔石の消費量も増えるので、基本足りていません。

大きな街になると他の街から買い入れることになるので、時には物資として駆け引きの材料に使われることもあります。昔の塩みたいなものですね。

ですので、基本的に魔石はギルドが(国or街が)半強制的に買い取ります。


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