アクアタニアの獣と不浄の石
神さまを怒らせてしまったので世界の危機が100連発で困っています
聖暦一〇八七年 四月十五日 マリン・コーネリアの日記
千年前のことです。
人は神さまを怒らせてしまいました。
それも、ひどく怒らせてしまったので人は生まれた時から〈償い人〉なのだと言われています。
昔の偉い学者様は言いました。
「褒められることを沢山したら、神さまは赦してくださる」と。
褒められること。
それは〈功業〉と呼ばれていて「だれが、なにをしたら、褒めてもらえるのか」教会の神託所からお知らせが来ます。
今日、教会の人がお手紙を届けに来てくれました。
黒い封筒に、銀の封蝋が押されていて見るからに普通じゃないです。
白い文字で、受取人の名前が不自然なくらい大きく書かれています。
Marine Cornelia
……不幸の予感しかしません。
今からでも不在戻りって可能ですか? と聞こうとしたら、教会の人がペーパーナイフを突き出してきました。
わたしに。
お手紙の封を切るのが、こんなにもウキウキしないのはじめてです。
聖人が彫られたナイフを受け取って、中身を取り出してみると羊皮紙が1枚。
血文字のようなインクで、こう書かれていました。
【償い人】
ガリア・アクアタニア地方圏 アリエッテ村
ブレイズ・コーネリアとジュネット・コーネリアの娘
マリン・コーネリア
【神託】
アクアタニアの獣は
夜空を飾り
幸福の味を知るだろう
……えっと、なぞなぞ、みたいな事が書いてあります。
神託の文章が、なぞなぞっぽいのは昔から な
(以下は、走り書き)
“couleur”
クラール (いろ)
“fraise”
フレーズ (イチゴ)
“m é t……”
(?)