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6.図書室

「ちょっと待って!喧嘩はダメだわ。何で言い争ってるのか分からないけれど……。とにかく、ルイスはもう疲れちゃったよね?」


二人の間を手で制止、叱る。そして、ルイスの方に向いて様子を確認する。


ずっと私を抱っこしてきたのだから、きっと疲れているはず!気づいてあげられなくてごめん!


「いや、お嬢。俺ばりばり元気で疲れて無いけど」

「そんなはず無いでしょう!」

「いや…」


そこまで言うなんて!でも、疲れている時はちゃんと言わないとダメ!

そうしてルイスの体を見ているのだが…疲れている様子が全く感じられない。それに、汗も全くかいていない。むしろ爽やかだ。


「お嬢、俺まじで大丈夫なんで顔近づけるの辞めて下さい…!」

「ごめんなさい!つい、良い匂いだったから…。」


ルイスの照れた顔を見て、自分の顔にも熱が高まっていくのを感じる。


な、なななななんてことをしているのルーナ!?私は公爵令嬢なのよ!淑女がこんな事をしてはいけないわ!!


ルーナは、3歳からレディとしてのマナーを学び全て8歳で学び終えている。そこは、さすが公爵家と言うべきか国内でトップを争う講師に来て貰い授業を受けた。5年間、みっちりと濃い内容で本当ならば15歳に終わるものをトップスピードで終了させたのであった。それは、講師がいい人というのもあったがやはりなんといってもルーナのずば抜けたセンスと賢さあってのもので、実際は誰も5年で終わるなど予想だにしていなかった。


二人で顔を赤くしていると、二人の前からドスのきいたこえがかかった。


「ルイス……僕が姉さんを運びます。」


それは可愛い弟から本当に発せられたものなのか。正直信じられない。顔は笑みだが、なんたって黒い。両手をこちらに出し私を渡すようルイスに微笑む。(黒い……)


ルイスもさすがに怖かったのか、おずおず私をレイトへと手渡した。レイトは私を優しくふわっと抱くと、満点の笑顔で微笑んだ。(白い、良かった…!)


てか、顔面が良い!!顔が近くてドキドキするし、良い匂いがする!ルイスとはまた違う甘ーい匂いだ。こんなに近くで弟のご尊顔を拝見させて頂ける機会など今後ないだろうと、じーっと今を大切に眺める。すると、何故か機嫌の良いレイトと至近距離で目が合う。


「どうしたの姉さん?僕の顔なんかついてる?」

「いいえ、ただレイトは格好いいなぁって思ったの。これじゃあ社交界デビューしたらきっと可愛い女の子たちからモテモテね!」

「……!!」


急にレイトは顔を赤くさせそっぽを向いてしまった。耳まで真っ赤だ。


「姉さん、それは反則だよ。」

「え?なんて?」

「いや、何でもないよ。それよりどんな本が読みたいの?」


もう一度顔を見せたレイトはもういつも通りだ。

何事も無かったかのように図書室を進んでいく。


それにしてもルイスとレイトと言い、どうして人の聞こえる声で喋ってくれないのよ!それに聞き返したらはぐらかされちゃうし……。

もういいや!


「そうね…。今日は魔法に関する本を読みたいわ!お願い。あと、運ぶの辛かったらすぐに言ってね?」

「そんな事決して無いけどね。」

「無理はだめよ!」

「……分かったよ。」


姉さんが可愛すぎてキュン死しない限り姉さんを誰かに渡すことは無いね。(レイトの心中)


もう、俺がお嬢を抱っこする事は無さそうだ。でも、あんな可愛い姿を近くで見れたからいいか。(ルイスの心中)


ああお嬢様。私がもし男だったらお嬢様を抱いて異国へ去るのに…!!いや…お嬢様程の軽さなら私も抱っこ出来ますね!(アンナの心中)


それぞれの心内を抱えたまま、魔法書の棚の前までやってきた。ここにある魔法書は低級から中級までのレベルのものしかおいていない。上級の内容がかかれている本は元々の書籍数が少なく、重要なもののためお父様の書斎の本棚にある。

と、いってもここにある魔法書の数は凄く多い。私自身も魔法はまだ使えないし、あまりまわりでも見ない。


私が魔法を使えるようになるのは12歳からだ。というのも、この国は12歳になる子供達だけに、ある儀式を行う。それはその子供に魔力があるか否かを調べるもので神殿と言う洗練された所で行われる。私は来年だ。


なんと、国の総人口の六割程度が魔力を有しており、その中でも魔力をしっかりとコントロール出来るのは3割にも満たないらしい。


ちなみに魔力をコントロールするための学校もある。

『王立アルタント魔法学園』と『王立カルターネ魔法学園』である!この国には2つしか魔法を学べる学校が無いため国中から魔力を持った子供が集まる。っていってもやっぱり全員が通える訳では無い。これが魔力をコントロール出来る人が少ない理由だろう。


魔法は独学で一人前になるのが非常に難しい。それは、どの魔法書を読むにしても始めに書かれる前書き。


「姉さん、どれにするの?」

「う~ん…。上から2段目の左から6冊目の赤い表紙の本を取ってもらえる?それと、同じ列の……」


まだ、読んだことの無い本を4冊ルイスに取ってもらった。どの本も中級魔法に関する本だ。


「レイト、大丈夫?私もう部屋に戻るからルイスと代わって、ね?」


『ね?って超絶可愛すぎ!!!小首傾げて上目遣いはヤバイ!!!』(レイト ルイス アンナの心の中は悶えている)


「大丈夫だよ姉さん。部屋までも運ばせて?」


えっ部屋までは大変よね?でも、もしここでレイトも別れちゃったらルイスが私を運んで、アンナが重い本を持つ事になるよね…。


「ごめんねレイト。部屋までお願いするわ。ルイスも本重いのに持ってくれてありがとう!」

「いえいえ、お嬢のためですから。」

「じゃ行こっか姉さん?」

「ええ!」

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