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3.治癒の力

今回も宜しくお願いします(>_<)ゞ

お昼を終え、未だに私、レイト、テスター、アンナ、ルイスのカードゲームの戦いは続いていた。今のところ、ルイス以外は全員1回は勝っている。そして私とアンナのみ2勝だ。カードゲームの内容はババ抜きで、なかなか面白い。抜けれそうで抜けれず、最後まで誰が勝つか分からない楽しさにもう何ゲームもしてしまっている。テスターにお昼だし帰らないの?と聞けば、うちで取ると言い出しちゃっかりお昼を一緒に食べていた。


コンコン


「俺が見てくる。お嬢達はちょっと待っててくれ。」

「ええ、お願い。」


ドアへとルイスが行くとこの家の執事長であるサルモントが顔を覗かした。サルモントの顔を見た瞬間、アンナが勢いよく立ち上がる。急いでサルモントの方へ駆け寄るとサルモントの言葉を聞いた途端驚いた顔をした。


一体どうしたのかしら?


私を含め残された3人で首を傾げる。サルモントの話しを聞き終えた二人は急いで戻ってきて衝撃の事を言った。


「お嬢達!治癒師様が到着されたそうです!」

「ええっ治癒師様が!?ごめんなさい二人とも急いでカードを片付けて支度しないと!勝負はまた今度ね。」

「やばい、僕も準備しなきゃ……!」


テスターだけは「大変だぁ」と、何処か他人事のようにカードを片付け始める。いや、実際他人事なのだが……。アンナは忙しそうに片付けを始める。ルイスもやる事があると部屋を出て行った。私も焦ってカードをかき集め始めたのだが…


「ウッ……!」


左の肩が急に激しく痛みそれどころではなくなってしまった。手を動かし過ぎたみたいだ。


「姉さん!」

「ルーナ!」

「お嬢達!」


今部屋を開けているルイス以外の声が重なる。


「平気よ。少し痛んだだけ」

「すぐに治癒師様を呼んで参ります!」


アンナが血相変えて部屋を飛び出していってしまった。私はあまりの痛さに痛んだ肩を押さえうずくまる。


「テスター、片付けは頼んだ。」

「ああ」


するとレイトは私の痛んだ肩の側により腕を優しく持ち上げ、肩が楽になる位置へと移動してくれた。


ふっと力が抜け、ベッドの背もたれへと体を倒す。この一瞬で汗をかいてしまったようで額には薄らと汗が滲んでいた。


「…ありがとうレイト…」

「楽にしててよ、姉さん」


お言葉に甘え楽な姿勢を取る。


しばらくしない内に足音が近づいて来た。

扉が開き、アンナを先頭にお父様とサルモント、ルイス、そしてその後ろには白いマントをまとった人が何人か入って来た。一人だけ白いマントの淵に金色の刺繍が施されている。きっとあの人が治癒師様なのだろう。


「ルーナ!大丈夫かい!?」

「はい、お父様。さっきは少し痛くなっただけです。」

「だが、汗をかいているじゃないか!?」

「大丈夫ですよ。あのう、後ろの方にご挨拶しても宜しいでしょうか…?」


すると父はああ、と言うと後ろにいた人へとベッドの側を譲った。年は20代後半位に見える。端正な顔立ちだ。


「初めまして、僕は治癒師をやっているカイザルです。君のお父さんにお金をたんまりと払って貰ったから君の手助けをしに来たよ。」

「カイザル様、初めまして。このような格好で申し訳ありません。ルーナ マルチウスです。宜しくお願いいたします。」

「弟のレイトです。」


後ろの白いマントを被った人達は助手のようなものらしい。テキパキと鞄から瓶を幾つか取り出すとテーブルに並べた。


「ルーナ嬢、先に言っておくね。実は僕、あまり怪我の治癒が得意じゃないんだ。」


………………へ?

怪我の治癒が得意じゃない……?


カイザル様の話しによると、治癒には二種類の分類があるらしい。一つは、怪我のような体の外側の治癒でもう一つは病気のような体の内面的な治癒。カイザル様はどちらかというと後者が得意だそうだ。


「本当は城にいるじじいのどっちかが動くべきなんだけど、ここの公爵が少しでも君を楽に出来たらそれでいいからって、じじいの代わりに僕が来たって事なんだ。」


待ってカイザル様、今もう二人の治癒師様の事をじじいって言ってたわよね…?しかも2回も。仲、悪いのかしら…。


「だから、完治まではいかないと思うけどある程度は直すね。今見た所、全身の切り傷と右足首のねんざ、左足首はこれ折れてるよ。あとは右腕の打撲にあちゃぁ左肩はこれよく耐えてるね。痛く無いの?」


やばい、全部言っちゃった。いや、痛いよ、すっごく痛いけど皆に心配をかけたく無くてじっと我慢してたのに、暴露されてしまった……!


「あっあのっ、ごごごごめんなさい!別に皆に隠してたわけじゃ無くて……。」


部屋中の重い空気に最後は聞き取れるか取れないか位の声量になってしまった。カイザル様だけがポカンとしたように首を傾げる。


「あれ、なんか僕、悪いことしちやった…?」

「いえ、カイザル様が来ていただけ無かったら娘は更なる負担を抱えていたでしょう。感謝してもしきれません。」

「そ、そうですか。あの、さっさと治癒やっちゃいますね。」


そう言って一歩踏み出したカイザル様は私に向けて手をかざした。ほんのりとカイザル様の手が光ると温かな感じがして体が軽くなる。体中にあった切り傷がスウッと消えて綺麗な雪肌へと戻っていく。


凄いわ…!綺麗


さっきまで痛んでいた肩の痛みも軽くなり、だいぶ楽になった。


だんだんとカイザル様の手から光が消えていく。ふぅ、と息を吐くとにっこりと微笑んで「どうですか」と聞いてきた。


「凄く楽になりました!ありがとうございます!」

「まだ、完治ではないよ。肩は本当に痛そうだったから集中治療したけど、治してきれてない。足首の骨折は直す余裕がなかったから自然治癒で頑張って直してね。弟君はどうだい?」

「僕は完治しました。ありがとうございます。」

「それは良かった。」


私の怪我と一緒にレイトの怪我も治してくれていたらしい。凄いなこの人。


「じゃあ帰るよ。」と言われたので最後にもう一度お礼を言うと微笑んでくれた。優しい人だった……。それに始めに白いマントの人達が用意していた瓶は完治を手伝う働きのある薬だったらしくそんな重要な物をおいていってくれた。感謝しかない。


父はカイザル様達をお送りするためサルモントを連れ部屋を出て行った。残ったのは私、レイト、アンナ、ルイスそしてなぜかずっとこの部屋にいたテスターの五人になった。


「いやぁ、治癒師ってのはすげえな!ルーナがだいぶ楽そうになって良かったよ。」


「な!?」とテスターが興奮気味にレイトに言うがレイトは反応が無い。不思議に思ってテスターが近づこうとしたら後ろからルイスに捕まり、強制送還させられた。バイバイ、また今度ね。


それにしてもレイトはなぜ反応しないのだろうか。まさかまだ、痛いところでがあったのか!?


「レイト、大丈夫……?」


「姉さんはなぜ言ってくれなかったの……。」


しばらくしてレイトが口を開いた時そうこぼした。


「えっ…………」


言ってくれなかったの、もしかしなくても怪我の事だろう。


「あ、あの、本当に大丈夫だったのよ…。」


いや、耐えられるほどの痛みもでも無かったが皆に心配をかけたく無くて必死に顔に出さないようにしていた。それが更に皆の心配をさせてしまったようだ。

部屋の中に重い沈黙が立ちこめ、誰も目を合わせてくれない。アンナやルイスも顔を下を向いていた。


「……ごめんなさい。」


私にはそれしか発せなかった。声が震え、顔を落とし、ベッドを握り絞める。


「違う。僕は謝罪なんか望んでない。……もっと、姉さんに僕を頼って欲しかった…!」


その声にはっとしてレイトを見る。

悲しげな瞳に目があってしまい、胸が苦しくなる。


「私共もです。もっとお嬢様に頼って、寄り添って差し上げたかったです…!」


アンナの声に顔を向けると瞳一杯に涙を溜めてこちらを真っ直ぐに見るアンナとその隣で力強く頷くルイスがいた。


「姉さん、僕らそんなに頼りない?」


そんな事は決してない。今まで一緒に過ごして来た親友で家族だ。


全力で首を振ると、レイトが微笑んだ。


「これからはもっと頼ってよ。僕らはさ、いつでも姉さんの、ルーナの味方だから…!」


3人の気持ちに涙がこぼれた。


「ありがとう……!」


泣きながらお礼を言うと、これからは隠し事を無くそうと心から誓った。

呼んでいただきありがとうございます!

次も宜しくお願いします(>_<)ゞ

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