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ねこくん、はじめての疑問

作者: すてねこ

ねこくんにはわからないことがありました。


ねこくんはわからないことがあると、すぐにおかあさんに聞きにいきます。


「ねえねえ、おかあさん。ぼくわからないことがあるんだ」


「あら、なあに?」


「あのね、“死ぬ”ってどういうこと?」


「うーん……、そうねぇ…。わたしも死んだことはないからよくわからないのだけれど…。わたしのおかあさん、つまりあなたのおばあさんね。おばあさんは自動車に轢かれてしまったの。自動車に轢かれたおばあさんはグチャグチャになってしまったわ…。そうね、きっとアレが“死ぬ”ってことだと思うわ。ああ、怖い…」


「ふぅん、そうなんだ…」



どうやらねこくん、まだよくわからないようです。


そこでねこくんは、色々と聞いて歩くことにしました。



ねこくんが歩いていくと、いぬさんがいました。


ねこくんは、いぬさんに聞いてみることにしました。


「いぬさんこんにちは。あのね、ぼくわからないことがあるんだ」


「おう、こんにちは!なんだ?言ってみろよ」


「あのね、“死ぬ”ってどういうこと?」


「うーむ…、そいつぁ…。オレもまだ死んだことはねえからよくわからねーが…。そうだな、オレのアニキはここいらのボスだったんだ。ところがある日、若いオスがやって来てよ。アニキにケンカを吹っかけやがった。ソイツが強くてよぉ…。今じゃソイツがここのボスだ。負けちまったアニキはボロボロになっちまってな・・・。それっきりだ。そうだ、きっとアレが“死ぬ”ってことなんだろうよ。おお、怖ぇ怖ぇ…」


「ふぅん、そうなんだ…」



ねこくんはいぬさんにお礼を言うと、また歩きはじめます。



ねこくんがまた歩いていくと、ぶたさんがいました。


ねこくんは、ぶたさんに聞いてみます。


「ぶたさんこんにちは。あのね、ぼくわからないことがあるんだ」


「やあ、こんにちは。いったいなんだい?」


「あのね、“死ぬ”ってどういうこと?」


「うぅん…、それは…。オイラ死んだことがないからよくわかんないけど…。オイラの父ちゃんは体の大きなオスだったんだ。だけどある日…、バラバラにされて食べられちゃったんだ!きっとアレが“死ぬ”ってことに違いないよ。オ、オイラもいつかは…!!うぅ、コワイよぅ…」


「ふぅん、そうなんだ…」



ねこくんはぶたさんにお礼を言うと、また歩きはじめます。



ねこくんがしばらく歩いていくと、ねずみさんがいました。


ねこくんは何も聞かず、ねずみさんに飛びかかります。


エモノをくわえて得意気に、しっぽをふりふり歩いていきます。



ねこくんが歩いていくと、にんげんさんがいました。


ねこくんはくわえていたエモノを足元に置いて、今度は質問を変えて聞いてみます。


「にんげんさんこんにちは。あのね、“死ぬ”っていうことは、グチャグチャでボロボロでバラバラなの?」


「ねこくんこんにちは。う~ん…、それはとてもとても難しい質問だね…。僕もまだ死んだことはないからよくわからないけれど…。きっと、グチャグチャもボロボロもバラバラも、それは全部“死に”方で、例えば僕のお祖父さんは、病気にかかってフラフラになって、次の朝には冷たくなって“死ん”でしまっていた。たぶん“死ぬ”っていうことには色々なカタチがあるのだろうね。そして、ねこくん。キミがくわえてきたそのねずみさん。ねずみさんはもう“死ん”でしまっているね……。もしかしたらこの後で、ねずみさんはグチャグチャでボロボロでバラバラにされてしまうのかもしれないね」


「ふぅん、そうなんだ…」



ねこくんはにんげんさんにお礼を言うと、エモノをくわえなおして歩いていきます。



ねこくんは歩きながら、“死ぬ”っていうことは、このエモノみたいに動かなくなることなのかなと考えました。


そして、ちょっぴり嫌だなと思いました。



ねこくんは捕まえたエモノを見せるために、得意気にしっぽをふりふりおかあさんのところへ帰ります。

哲学する猫シリーズとして続けていけたら良いんですけどね。

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