スライム①
「次の策は、スライム族に助力を願いたく思います。」
「ほう。
スライム族は勇者のせいで数が減りすぎて、我の城で保護している種族。
生半可な策では、聞く耳無いぞ。」
「承知しました。」
「それと、策の前に、スライム族の魔王様に伺いたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
魔皇様が、半透明で髪が青い人型、スライムの擬人化をイメージすると思いつくような存在、に目線を送る。
魔皇様に会釈すると、
「何でしょうか? 二代目菌王候補、チューズローハ殿。」
「まずは、了承していただき、ありがとうございます。
質問ですが、貴方のような人型に成れるのは、他に存在してますか?」
「高位の存在なら、成れますね。」
「次に、その容姿を変えることはできますか?
腕の部分だけ太くしたり、脚全体を伸ばしたりなどですが。」
「そもそも、体全対が粘体ですので、そうですね…。
人型の容器に液体を入れた、とイメージしていただければ、解りやすいかと。
なので、言われたことは全て可能です。」
「お答えいただき、ありがとうございます。」
「質問は以上ですか?」
「この策に必要な質問は、これで終わりです。」
「判りました。」
「魔皇様、私は人型に成れるスライム族の皆様に、人族の使う武術系スキルと、武技スキルを習得していただきたく思います。」
「…それがお前の策か?」
「はい。」
「詳しく説明せよ。」
「はっ。」
「前世において、武器持ち、無手、関係なく、武術で強くなるために必要な事は、自身の体を知る事です。」
「皆様は種族が違いますので、同じように見えると思いますが、皮の下、筋肉のつき方や骨格は、人によってバラバラです。」
「ですので、まずは自身の体の構造を知り、そこから速く動ける動かし方を知った後に、それに合う武術を習う事こそが、強くなれる秘訣でした。」
「ですが、この世界はスキルのせいで、一定レベルの強さに簡単になってしまいます。」
「有象無象や階級の低い兵士の武術スキルは、だいたい同じぐらいだとも習いました。」
「そうなると、槍が得意な体つきをしている人が、剣を使うようになります。」
「そういう無理は、見えない部分で傷をつけていきます。
将来的に、筋を痛めて動きに支障をもたらしたり、動かなくなったりと。」
「ふむ。
それだと時間がかかり過ぎるな。」
「はい。
ですが、勇者ならどうでしょうか?」
「…なるほど、勇者は不自然に成長速度が速く、大抵の場合、剣を持っている。
適正がない状態で、大技を連発させたら、直ぐに自壊するかもしれないな。」
「はい。」
「だが、そうなると、技の前兆を知らないといけない!!
そうか、そこでスライム族に繋がるのだな。」
「骨も無く、各部位の膨張も可能なら、最高水準の武技を使える可能性がある。」
「そして、各武技の前兆を調べ尽くし周知させれば、避けることも防ぐことも用意になる。」
「これも、後で調べないといけない、最重要な策だな。」
「ありがとうございます。」