仕事内容
魔皇軍の領土の1つ、菌に関わる種族と、菌と相性の良い種族が住む島、正式名称【菌孤島】、別名【隔離島】。
そこを統治する王、魔皇軍四天王が一人、が住む城、正式名称【黒菌城】に新設された部屋、別称【2代目菌王の遊戯場】内にて、幼い王がいた。
その見た目は、人族と同じような見た目をしていたが、頭に茸の傘、体のいたる所に植物、が生えていた。
幼い王は、書物を速読してメモを取り、数冊読んだら報告書に目を通してメモを取り、添付物を手に取り観察してメモを取り、を繰り返している。
やがて、
「陛下、そろそろ次の御予定の時間です。」
「もう少し時間がかかりそうなので、延長してください。」
「具体的なお時間は、」
「10分程で終わると思います。」
「かしこまりました。 各部署に連絡しておきます。」
「それと、」
「何ですか?」
「ルコウ姉王殿下がこちらに来ます。」
言い終わると同時に、
バン「鍛錬の時間になったわよ。」
やって来たのは、人族と同じ見た目だ。
「あと十分程で終わりそうなので、待ってください。」
「え〜。」
「姉上に飲み物とお菓子を。」
「承りました。
姉王殿下、こちらえ、」
「は〜い。」
「…ねぇ。」
「何ですか?」
「その仕事、楽しい?」
「楽しいですよ、大変ですけど。」
「…貴方から、魔王様に上奏して作った仕事なのよね。」
「そうですね。
だからこそ、手探りな部分が多いので、無駄が多くて大変です。」
「…ねぇ。」
「何ですか?」
「その仕事って、なんの意味があるの?」
「その説明は、前にもしたと思いますけど。」
「聞いても意味が解らなかったんですけど〜」
「…はぁ。」
幼い王は、姉王殿下を見ずに、
「私がやっているのは、未来予想です。」
「物事には前兆があります。
例えばこちら。」
体に生えてる蔦を使って、一冊の本を取り出し、
「これは自然現象についてまとめた資料です。」
「これによると、地震が起きる時の前兆は、鼠、兎などの小動物が騒ぐとあります。」
「よく聴く話ね。」
「それと同じく、特定の鉱石が埋め込まれた美術品が、地震の前に騒ぐ、という噂話があります。」
「不気味な話ね。」
「そうですね。
そして、これらの内容から、地震の前に何か特殊なものが放たれている可能性が出てきました。」
「鉱石は自分から感知しにいかないものね。」
「そうです。
こうやって、参考資料と可能性を纏めて、関連各所に渡します。」
「これで本当に何か出たら、地震の予知がしやすくなるね。」
「そうですね。」
「こんな感じで、噂話、実話、伝承、昔語などを集めて、似たような予兆をまとめて、関連各所に丸投げするのが、私の仕事です。」
「なるほど〜。
ちなみに今しているのは?」
「各国の戦争の予兆と、勇者召喚の予兆です。」
「大仕事じゃないの。」
「そうですよ。
そして、」
「?」
「終わりましたので、鍛錬に行きますよ、姉上。」
「…鍛錬している時間あるの?」
「王が戦えないと、示しがつきませんからね。」
「…一番年下のくせに。」
「…あの、何故私を持ち上げるのですか、姉上。」
「私が持ち上げたいから。
それと、」
「(小声)貴方が私の、私達の弟だから。」