リリイ視点
私はリリイ。
村長だ。
この村で一番多く子供を産んでその子供も子供を作り、私は村の長になった。
ラララが変な奴を連れて来た。男だ。
強いようだ。鬼を三頭倒したという。
ラララを救ったからラララを貰うという。
当然の権利だ。
本来ならそれでもいい。
ラララは貰い子だし、体が小さく体力もない。稼ぎは大きい子に比べれば負ける。
だが女だ。
弱い子ラララも大切な村の財産だ。
働き手、産み女として大事だが、他の役割もある。
勇者が現れた時の貢物。
魔王が現れた時の生贄。
他にも金の代わりとして使える。
これがラララにして貰いたいことだ。あの娘は顔がいい。もしやの為に情はかけないようにしている。同情したら手放せなくなる。
なにより自分の子や孫は出したくない。
そんなこともなく、平和に生きて年寄りになればあの子には幸せなことだろう。
そうでなくても人はあっさり死ぬのだ。
あの男には鬼10頭倒す事とラララを交換と約束した。
一番いいのは、ラララを使ってあの男に村に居て貰う事だ。
だが、危険もある。
強い者は危険だ。性格が悪かったら大変だ。
誰もおさえられないほど強いと、村はその者のいいなりになる。
旅人らしいが、旅をするというのは無敵を意味する。
人は群れなければ負ける。ひとりで厳しい旅をしているのは無敵ということだがまさにその通り。ユキオは鬼を1人で3頭も倒している。10頭倒せと言っても言い返してこなかった。鬼は村人10人がかりでやっとで倒す物。死人も出る。いや、倒せず逃げるしかないこともある。
鬼10頭とラララを引き換えにしたら、村を出て言ってもらおう。
ラララに未練が無いわけじゃない。アレは大人しくて従順な子だ。殆ど我儘を言わない。手が掛からない子だった。
ラララは物取りに襲われた他の村の唯一の生き残り。
奪われ尽くして死体だらけの村の中で衰弱しながらも生きていた子。放置されていた赤子は他にもいたがみな衰弱死した。
物取りは赤子は持って帰らなかった。きっと男ばかりの集団なのだろう。ラララの母親は居なかった。連れ去られたのかも知れない。今の美しいラララを見れば母親も美しかったのは想像できる。そして今は生きてるのか死んでいるのか。
父親は死んでいるだろう。あの村に男の生き残りは1人もいない。
さて、あの男が悪い男でなければいいが。
「リリイ婆様! 大変です!」
駆け込んで着たのは村の女。
「どうした?」
「強盗です!」
可愛い名前ですが、孫がいます。