神社の取り壊し始まる
気が付くといつぞやの場所。
牛乳を水で薄めたようなうっすら白い空間。
地面もなければ空もない。
あるのは自分の身体だけ。
「やあユキオ」
神様!
相変わらず姿は無いのに空間全体に響くような神様の声。
「遂に勇者と会ったようだね」
勇者?
やはりさっき近付いてきたのが!
「そうだ、あれが勇者だ。君のステータスを無理矢理覗いていたようだね。引き下がったと言うことは君のほうがやはり上らしい。油断は禁物だがね」
ほっ。
ところで勇者は何しに?
「簡単だよ。君の僕、そう、ラララを襲いに来たのだよ。
随分美味そうに育ったからね。勇者は性欲に従って生きている。とは言ってもいい女を手当たり次第と言うわけではなく、好みはかなり煩いがね。彼の好みはどうやら低身長ロリ巨乳でうぶな娘だ」
それって、まんまラララじゃないか!
「そう。そしてラララは過去、勇者に一度会っている。その時は本当にまだ子供だったが、既に美人になるのは予想できる顔立ちだった」
そう言えばラララがそれっぽいことを言ってたような。確か『あの勇者』とか。
「そうだよ。ラララは幼い頃に山で勇者に会った。流石に幼過ぎてレイプはされなかったが、彼女は勇者の記憶に残った。今回は君が側に居たので引き下がったが、きっとまた来るね」
何のために!
「言っただろう、女好きだって」
勇者は一緒に転移してきた冒険者の女が好きなんじゃないのか? なんで他の女を!
「ああ、この世界の女を勇者がどう思ってるかという説明が要るな」
説明もなにも人間の女だろう?
「少し違う。勇者の元いた世界の人間は元々強い。しかも魔法を使うし、魔法分野の文明も進んでいる」
だから?
魔法が使えるとか強いとか関係ないだろ?人は人だ。
「いや、恐らくは勇者はそう思ってない。今の勇者はこの世界の女を二足歩行する美しい肉便器程度にしか見ていないようだ。君が元の世界で二次元に萌えてさんざん射精するのと変わらない感覚だ。勇者からのラララの認識を君の感覚で説明すると、期待の新作エロ漫画とオナホのセット商品と言ったところだ。恋愛対象はあくまで同種族だけ。つまり実質同じ冒険者の女一人だけ。この世界の女を抱いても浮気には当たらないと思っているし、殺してもなんとも思わない」
そんな!
犯しても殺してもなんとも思わないということか!
「そのとおり」
酷い・・
「まあ、ユキオの世界にも有ったじゃないか。差別とか奴隷とか敵対とか。それのジャンル違いだと思えばいい」
さっき、車のところに戻るのがあと少し遅かったら・・
「そうだね。間に合って良かったね。でなければアウトだったね。前回は触られただけで済んだけど」
触られた?
「そうだよ。昔のラララは触られている。幼いラララは何をされてるか理解出来なかったようだけど、服をひんむかれて、そりゃもうべたべたとね」
あんのやろう!
「まあ、勇者はつるぺたには興味がなかったし、性交出来る体格でなかったからそれで終わった。成長するのを待つことにしたんだろうね」
やっぱり勇者殺す!
「それはユキオの好きにすればいい。それよりも大事な話がある。遂に神社の解体が始まった」
え!
まずいよ、神様逃げて!
「いや、無理だろう。彼等は僕の御神体だと思い込んでいる鏡を新たなステンレス製の小さな神社に移して満足している。本当の本体は始祖の木から作った盃だ。このままでは産廃業者に砕かれるか燃やされるかは時間の問題だ」
そんな!
何かいい方法はないの?
工事現場の人を上手くコントロールするとか!
「しようとしたけど、どの人も駄目だったんだ。そこでだ。君に一肌脱いでもらう」
俺?
「僕はまだ消えたくない。君を見ていたら楽しくなった。永遠に存在したいわけではないが、もう少し見ていたい。見ていて面白いんだもん」
え?
生き延びたい理由が俺を見てるのが面白いから?
「そうだよ。飽きないんだもん」
なんと言っていいやら・・
俺、そんな面白いことしたっけ・・
「面白いよ。まあ僕の笑いのツボは君達には理解出来ないだろうけど」
ええ・・
俺、お笑い対象?
「そうだよ。別に消えてしまうのは構わないけど、君を見終わってからにしたい」
ええ・・
俺のどこに笑いの要素が? 謎だ。
「いや、こうして話してるだけでも笑いを堪えるのに必死でね。ああ楽しい!」
神の世界は不思議がいっぱいだ!
あ、そう言えば俺何かしなきゃなんだっけ?
神様消えちゃうよ!
「あ、困ったら言うから。君も色々あるだろうから自分で何とかするよ。たまに君の身体借りるけど」
借りるけど?って何するの?
「セックス」
ぶっ!
「身体を作らなきゃいけないからね。なら僕から見て都合のいいユキオの身体を使うのが一番だ」
ええと・・どなた・・と?
「それは今、選考中。時間がないからもうすぐ決めるけど。あ、セックスするのは僕でユキオじゃないからね」
俺の身体なのに?
「ああ」
あのあのあのあの!
その時の俺の意識は?
「ないよ」
酷い!
「じゃ、ユキオ。急ぐからまたね」
ーーーーーーーーー
「う、うう」
酷い夢を見た。
いや、夢じゃない。神様との会話は現実だ。
なんか周りがうるさい。
ここ、どこだっけ? 俺の最後の記憶はラララ号の助手席だった筈なのに、ここは建物の中。村の家じゃない。そうすると奉行所かエチゴヤ邸?
大喧嘩の声が聞こえる。
「だから絶対駄目!」
「何が駄目なのよ!」
「だから私が!」
なんか狭い部屋でラララとコユキとサクラが怒鳴りあっていた。
神の思考と嗜好は人間とは違います




