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初食事

「私の名はラララ。今日からあなたの物です」


 みすぼらしそうな娘はそう言った。

 困った。

 これって、部下?奴隷?妻?ペット?

 助けたらお礼とか礼品でいのに、あなたの物になるときた。


 いや、この子が嫌なわけじゃない。

 今はみすぼらしくて汚いけれど、素材は良さそうだし、日本的な生活習慣させたら小ぎれいな可愛い子になりそう。

 正直、綺麗になったら俺の下半身が黙っては居ないと思う。

 助けてもらったから貰われてもいい。この民族はそういう価値観なのだろうか。

 今、押し倒しても拒否されなそう。

 いっそしてしまいたい。頭は紳士だが下半身は彼女を求める。


 でも、この娘の体が細くて、テレビで見たどっかの国の難民のようで抱くのに罪悪感。もうね、服の切間から見える身体が骨っぽいの。


「その、それはそうしなければならない決まりなの?絶対なの?」

 これは重要だから聞いておこう。


「いえ、決めるのはあなた様です。あなた様がいなければ死んでいました。私は他に差し上げるものも御座いません。ですが、私を取るのも、売るのも、食べるのもあなた様の自由です」


 今、最後凄いこと言わなかった?


「食べないよ。無理、人間を食べるなんて!」


 ラララはほっと息を吐く。

 多分安堵のため息。

 怖! この世界は食人することもありえるんだ・・・・

 極限の飢餓ならありえるかも。前世でも直に見たことはないけど食人族とか飢餓で仕方なく食べたとか聞いたことはある。人間は毒を持ってないし、食べれないことはない。

 ということは、所有されるのはまだいい方なのか。


 俺の顔色を伺ってくるラララ。

 どうなるか気が気じゃないんだろう。どうしよう本当に。

 本心は妻にしたい。ヤリまくりたい。

 でもさらに邪な心が横切る。




 もっと凄い娘が居るかもしれない。




 もし、この国というか世界が一夫一婦制だったら選択は慎重にしなければいけない。

 多妻オッケーならまあ。


「この国の結婚は一夫一婦制?」


「いっぷいっぷ?」


「男は奥さんを1人しかもらえないの?ってこと」


「そうです。でも破ってる人もいます。そういう人は好きじゃありません」


 なるほど。

 一夫一婦制だが破っても罰則は無いと。浮気がバレても怒られて終わり。妾が居る者も居るかもしれない。そういう感じかな。

 でもこういう時はあれだ、曖昧にしておこう。


「よし、とりあえずラララを俺が貰う。とりあえずな。この先のことはその時考えよう」

 とりあえず、ツバつけた。


「わかりました。ラララは今から貴方の物です」


「俺はユキオ、17歳だ。ラララは何歳?」


「確か15歳です。多分・・・15・・・14かな・・・16じゃ無いと思う」

 よくわからないらしい。孤児かな?

 悩む姿が可愛い。なんか好きになってきた。どうしよう。

 ラララの気を引きたい、好意を欲しい。



 そうだ!



「カスト!」


 俺の突然の声にびくんと驚くラララ。


「待ってろよ、ラララ。腹減ってるよな。今いいもん食わせてやるから」

 そしてテイクアウトメニューから注文。

 呆然とこっちを見るラララ。

 他にも色々注文!


 そしてラララの目の前に、テーブルど〜ん!(ちゃんと怪物から距離はとってます)

 椅子もどど〜ん!それもアウトドア用でなくて立派な奴。

 しまった、森の中では椅子が動かん!

 一度、テーブルと椅子をしまって、でかいベニアを数枚買って取り出す。

 並べて敷いた板の上に椅子とテーブル。これで安心。

 目を丸くするラララ。

 そりゃそうだろう。だがこれからだ!


「君の席だ」

 そう言ってラララの後ろに回り、席の方に押す。あ、この娘軽い。

 指先に女性の体の柔らかい反発・・・と、思ったら骨っぽかった。

 ラララが席に座る。

 椅子という物は知ってるらしい。でもこんな高級な木製家具の椅子はないだろう。

 ラララは背もたれとか手すりとかマットとか不思議そうに触る。


「凄い・・・」


 そんなラララの横に立ち、左手に右手を突っ込む。

 そして、コップの水を出す。透明なガラスのコップ。ガラス見るのは初めてかな?

 また目を丸くするラララ。

 そりゃそうだろう。次々と物が出てくる俺の左手に釘付け。


「飲んでいいよ」


「水?」


「水」


 ラララはコップの中に指を挿して指先についた水をちろっと舐める。毒味かな?


「大丈夫」

 途端に一気飲みするラララ。

 喉が乾いてたかな?

 見た感じそして育ちは良くない。俺もだけど。


「まずは」

 そう言ってラララの前にポテトサラダと生野菜の盛り合わせをどん!

 食器はスプーンとフォークを出しておいた。箸とかナイフは要らないだろう。て、いうか、一緒に食べる俺がナイフを使えない。箸はいいけど。そして水を追加(天然水2L購入)


「遠慮しないで食べていいよ。まだまだあるから」

 ラララは珍しそうに食器を見る。

 彼女からすれば食器すら別次元のものらしい。

 そして選んだのはフォーク。

 皿の上の葉っぱとか芋サラダとかちょびっと味見してからその後ガツガツ食う。

 どれも見たことないらしい。


 次は。

 200グラムハンバーグとライスどーん!

 またも目を丸くするラララ。

 温かい食べ物が出てきたのは流石に驚いたらしい。

 またもチロチロ毒味して安心するとガツガツ食べ出すラララ。

 食べ方が小学生みたいながっつき方。ライスは味付けなしでも平気らしい。


 うーん、汁物どうしよう?

 ラララに皿でスープってのも無理っぽいし、ここにきてラーメンはちょっと。


 よし。


 テーブルにワカメスープとモツ煮を出してみる。

 ラララはどっちが好みだろう?と思ってたら、両方平らげた。


 そして俺はというと暫く食べれなかった天ざるうどん大盛り。

 うどんなんてカップ麺しか食べてなかったし久しぶりだ。


 自分の食事を終え、俺のうどんを珍しそうに眺めてくるラララ。


「食べる?」


「いえ、流石にお腹いっぱいです、わけわからない味だけど美味しかったです。このご恩は忘れません!」

 まあ、あの体ならあの量で充分だろう。そしてどれも初めての味らしい。

 貧乏そうだから、普段少食な人が急にいっぱい食べると吐くかもだしこれ以上は出さなくてもいいな。


 とはいえ、ラララがじっと見てくる。


「こういう『麺』って食べたことある?」


「メン?」

 無いらしい。


「こういう長ーい食べ物を麺というんだよ。これは麺の一種でうどんというんだ」


「ウドン?」


「そう。長いだけなんだけどね」


 なおも見てるラララ。



「それって、お腹の中まで繋がってるんですか?」


「噛むよ」


「・・・よかった」

 なんか心配されてたらしい。

 そのあとまた水を飲んでゆっくりくつろぐ。



 うーん、この左手があれば一生引きこもり生活できるわ。

 流石に家は出せないだろうけど、組み立て式のやつとかで居住エリアをなんとかすれば引きこもれそう。

 娯楽もなんとかなるだろう。テレビ電波とネットは無くても円盤や本はなんとかなるだろうし。


 でも、今はラララが居る。

 引きこもるというわけにはいかない。

 俺1人なら山奥で悠々と引きこもるが、ラララはそうはいかないだろう。太陽の下で生きていた人間だ。生活も苦しいはずだ。あの手足を見れば分かる。


 町なり村なりに行かないといけないか。




「ラララ、君の住処に連れてってくれないか」

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