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作戦開始

 人殺しをしたくない。


 それは綺麗事。


 正直に言えば、殺す勇気がない。

 ミズリを死なせた俺が何を言うのか。

 最強なのに人を殺せないことが足枷になっている。

 その為に念入りな支度をした。その為の数日間だった。


 サクラ姫の母親と側近はクエイ家に身を寄せさせた。

 ついでにここでギルド襲撃作戦を立てる。

 集めた戦力はモリア家、べスガ家、クエイ家からの精鋭合計20人。クロマツの城の生き残りは弱いものだらけで使い物にならない。強い者は皆殺された。役に立つとすれば、せいぜい終わった後の事後処理だろう。

 あとはオーリンからの潜入班なのだが、それも完全に終わってからしか使うつもりはない。あまりオーリンを巻き込みたくないというか、変に失敗が起きてとばっちりを受けると困る。なるべくオーリンには関わらせたく無いのだが・・・・


 こんのやろう・・・・


「コユキ、村に居ろって言っただろう」

「話を聞いたらいても立っても居られなくって」


 困ったことに留守番いいつけたはずのコユキがここにいる。

 師範のバイトとしてエチゴヤ邸に行って、話を聞いたらしい。

 ギルド員の数が多過ぎて困ってると聞いて飛んで来たと。オーリンの騎士の耳元に桃色吐息を当てながら「クロマツの近くまで連れてって下さる」といえばあっさり()は手にはいった。そして町にいたオーリンの潜入班に声をかけられここに連れて来られた。潜入班は俺を見つけながらも話しかけずに見張っていたと。(でもコユキにはしっぽ振って話しかけたらしい)当然色々把握してる。優秀だわ潜入班。



「そ、その者は?」

 サクラ姫がコユキを見上げる。コユキはサクラ姫より頭二つ近く背が高い。しかも年上美人だ。

 そして対するコユキは巨乳のサクラ姫を目の前にしても臆する事はない。かつての自分の方がデカイと変な自信を持っている。



「あー、コユキと言ってな 、オーリンでは俺の次に強いんだ」


 強いんだと紹介されてふふんと胸を張るコユキ。

 来てしまったものはしょうがない。実際コユキは頼りになる。



「ところで()()はどうなった?」

「あの男?やっぱり尻尾を出したわ。捕まって今は牢屋」



「そうですか・・・・」

 俯くサクラ姫。

 アレとはジャンの事。

 サクラ姫がジャンひとりの護衛でクロマツ内やクロマツ外を悠々と歩けるのは無理がある。ジャンはギルドからつけられた見張りと考えるのが自然だ。ジャンは既にギルドに買収されていた。

 オーリンの町で下っ端ギルド員に絡まれたことがあったが、下っ端はジャンの事は知らなかったのだろう。

 しっかりとした信念の持ち主だが、やや性の観念の弛いサクラ姫をジャンが押し倒さない、口説かないのも不自然だ。ギルマスの物として手をつけなかったのだろう。まあ美味しそう(エロい)サクラ姫を目の前にお預けは辛かったに違いない。そして先日、ジャンはクロマツギルドに連絡をしようとして見つかった。サクラ姫は薄々ジャンの怪しさに気がついていた。体を許さなかったのも、それが心に引っ掛かってたから。だが、一緒に居れば情も涌く。出来ればギルドに連絡を取るなんてして欲しくなかった。見てみぬ振りをしてほ欲しかったのに。

 だが、ジャンはギルドに忠実だった。

 それが痛かった。



「よし決戦は今夜だ。俺とコユキでギルドを潰して回る。集まって貰った諸君は監視と後始末を頼む」


 戦闘は俺とコユキ。

 集まって貰った各家の勇士は事前の監視と終わった後の拘束と制圧維持。

 そして城の資料が残ってないならギルド本社の資料をゲットする!

 きっとギルド員(正社員)の作業日報や評価査定があるはずだ。ギルドカードの台帳も探す。それを裁判に使う。




「じゃあ、俺は本社から回る。コユキは新町支店を頼む」


「新町終わったら次は?」


「へ?」


「だから新町支店終わったら次は?」


 その考えは無かった。

 一ヶ所任せればいっぱいいっぱいだろう。だけど一応、


「あ、回れないだろうけど、余裕があったら東支店に」


「了解!」

 大丈夫かなあ。

 なんか目が燃えてるコユキ。ひょつとして戦闘狂?


 ということで、俺は本社→西支店→東支店→新町支店と回ることにした。

 コユキは新町支店→東支店と回る。



 ーーーーーーー





 作戦開始。

 今夜全てを終わらせる!




 本社。


 ガッ!

 ガッ!

 バァン!

 ドスッ!

 ガン!

 バキ!


 本店に突入するなり質問もせずに片っ端からナタで殴り飛ばす。それこそ1人10秒で片付ける!

 とにかく会ったら逃がさない!

 報告されたら面倒だ!

 逃がしたら面倒だ!

 次から次へと仕留めるがいったい何人いるんだ!


 俺のあとに続く拘束係がテンヤワンヤ。

 彼らには手錠とナイロン結束バンドを大量に渡してある。あとロープも。

 拘束係はまずは強い人に速攻で手足指を縛ってもらって、その後から強くない拘束係が増し締めや追加締めを行う。


 次!

 次!

 はい次!

 もひとつ!

 追加!

 これも!

 ほいこれも!


 どんどん倒す。

 あと何人居るんだ!

 合計百人は覚悟してたが、本社だけで50人は居るんじゃね?あ、もっとだ。ひょっとしたら二百人相手にするのかなあ?


 倒す!倒す!倒す!

 後ろが大忙し!


 あ、蓮方の間。

 中には若い女性が檻にいてこちらを驚いた目で見ている。

 可愛そうに、もうすぐ自由だからね!


 更に階を上がって倒す倒す倒す倒す!

 有名な剣士も居たみたいだが俺から見れば全部雑魚!

 だが強い奴はすぐわかる。

「よくぞここまでーー」とか「俺はこのギルドのーー」とか「この剣のーー」とか長々話したがる。関係なく叩きのめす。長い話は嫌いだ。

 あとは芋虫のように拘束してもらう。



 そして最上階。

 来たよ社長室。


「てめえギルドにたてついーー」

 パッカーン!

 喋り始めたギルマスをどついて終わり。


 あとはお任せ。

 こちとら急いでんだ!

 話なんかしてらんない!

 階段辛い!


「じゃ、あと頼む!」

 肩で息をする拘束係に後始末を押し付けて、二人だけ連れて西支店にダッシュ!(足で)


 本社で誰も漏らさないつもりだったけど、情報が西支店に行ってないか心配だ。走る走る走る!


 成功の秘訣は奇襲(闇討ち)あるのみ!

 待ち構えられたら面倒だ!


 みんなでゼイゼイ言いながら西支店。

 道影に先行隊の監視係発見!

 ギルドの伝令も誰も来てないというので、ゼイゼイハアハアいいながらまたみんなで突入!

 後を着いてきた二人が現地監視組に「お前らいいなあ」と、愚痴を言っていたが無視!


 夜だから一階の直営店は閉店中で一般人は居ない。

 取りあえずは居た奴見た奴向かってきた奴を片っ端から、どついて倒す!


 ドカ!

 ガン!

 バキッ!

 ドスッ!


 もう何がなんだか分からなくなってきた!とにかく倒す倒す倒す!支店とはえ、ここも結構居る!


 後ろから「もっとペース落として」とか「また階段」とか「疲れた」とか聞こえるが無視!

 ひょっとして拘束係の方が重労働?


 階を上がってまたドカ!バキッ!ドスッ!


 支店長室に押し入れば、

「だが、ここまでだ。おーー」

 と、何か言いかけた支店長をドカ!っとどついて床に転がした。


 よし、西支店制圧完了!


「よし、次は東支店だ!二人来い!」


 そう言うと後ろで、

「お前行け!」

「お前走ってないだろ!」

 と、押し付けあい。

 本社から走らされた奴は大変だったらしい。


「いいから二人来い!あとは頼む!」

 と、走り出す!


 ゼイゼイ言いながら東支店!

「 さあて、頑張ろう!」

「へ、へい!」

「はいいっ!」


 だが、


「あれ?」

「お?」

「凄い」




 東支店を制圧完了したコユキが最上階の窓に座ってた。


 くっ、コユキやりおる。

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