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異世界来たらプリンだろう!

 数日経ち、ユキオ邸のガワが出来上がった。


 おおう、思ったよりいいじゃん!

 コンセプトは悪目立ちしない古屋に見えるというものだが、なかなか立派だ。

 柱を叩いてみるが、重厚感がある。漆喰もまだ汚れてないので建物全体も綺麗に見える。

 屋根タイルは中古だが並べたばかりで抜けも割れもなく並びも綺麗。


 ううーむ立派な家だわ。

 目立ちそう。


 嬉しい。ニヤけた。

 なんだかんだ言って、やっぱりね。



「中がまだなにも無いのだけれど・・」

「わあ、凄い」

 当然なコユキの反応。

 一方、屋根と壁があるだけで満足なラララ。


「中は俺たちでやるんだよ」

「ええー!」

「がんばります!」

 ラララだけが乗り気だ。

 コユキはいまいち。なんでお嬢様になってんの?




 そして最後の賄いは盛大にやることにする。中は終わってないけど村人に手伝ってもらう所は終わったし、完成打ち上げの意味合いも込めて。

 最後は工事現場付近でなくて、村の中心に村人全員集まってもらう席を設ける。

 全員参加なのは、工事に参加してない人には、工事のほうに人が抜けた分、苦労をかけてるという意味合い。つまり、工事に来なかった人にも苦労をかけているから、そちらにもお礼をしたいという意味合い。


 広間にいくつも低い円卓(ちゃぶだい)が並び、鍋がずらっと。その他にも皿料理が一杯。村の祭りより豪華に違いない。


「どうぞ、お好きな席に!」


 目を丸くする村人。

 今日の鍋は豪華!

 種類も海鮮、鳥、牛と色々。皿料理もサラダに漬物に焼き鳥に後色々。


 今回は村長もコユキもラララも料理作ってはいない。仕事してもらったら悪いし。とはいえ、支度は手伝って貰った。


「ユキオよ、なんと感謝してよいやら。こんな素晴らしい料理を頂けるとは。生きてて良かった」


 生きてて良かったと言うほど村長は年寄りでは無いと思うが。

 そして、俺が何処からともなく色んな物を持ってくるのは『不思議な力』と理解出来てないが察する事にしたらしい。

 出す物も凄いものや豪華なものばかりで、俺は金持ちと思われてる。0円だけど。


「いえいえ、私の我が儘で村人を使ったのです。これくらいはしなければ私の気がすみません。町で業者を頼めばもっとお金が掛かりますから。さあどうぞ」


「有り難うユキオよ。さあ、皆の者、頂こうではないか」


「さあ、冷めないうちに」


 ドヤドヤと始まる食事。

 おおむね好評のようだ。

 中には初めて賄いに来るものも居る。鍋の中の未知の食材に驚いている。しかも食器類が綺麗だから驚きに拍車を掛ける。

 そしてコユキは頭のなかで、土鍋がいくらになるのかなーとニヤニヤ。


 俺の席は上座。

 俺の卓には村長と俺、ガガガ、ラララ、コユキ。


「村長、ご協力有り難う御座いました」

「いやいや」

「ガガガ、監督有り難う。お陰でいい家が出来た」

「お安いご用だ」

「それでな、ガガガ。今回使った道具全部やるよ。ガソリンもつけるよ。今回使わなかった斧と大ノコギリもやるよ」


「本当か!」


「ああ、村のために使ってくれ。うちばっかり豪華だと気が引ける」

「ユキオ!なによりの褒美だよ!こんなに嬉しい事はない。家も建てられるし、畑も広げられる!」


 ああ、そうか。

 畑が足りないのか。

 道具が有れば、材木と畑が同時に手にはいる。今までは村は貧乏でノコギリ1本すらなかったし。



 そこで村長が口を開く。

「これからはそれも良いかもしれん。今までなら村が豊かになるとギルドに襲撃されていたが、ギルドも無くなった。これからは畑も広げられる。有り難うユキオ」


「そうだったんですか」


 村はどうみても貧乏で食べ物も不足気味に見えていた。

 だがそれは豊かにするとギルドが襲いに来るからだったのか。だが、これからは違う。豊かになっていいのだ。


 さてと。

 村長とガガガが未来の構想に花を咲かせてるのを横目に、俺は机の下(実際は左手)からとあるものを取り出して、ラララの前に置いた。


 皿に載った不思議な物を目の当たりにして、()()と俺の顔を交互に見るラララ。


「食べてみて」


 不思議な食材。


「や、やっこい」


 プルプルとした小さな存在。それをスプーンで一口。


「美味しい!」

「ラララ、私にも!」

 ラララの横からコユキが襲撃!

「美味い!」


 ふっ。

 異世界人に人気が高いとされる『プリン』さ!

 ラララとコユキの方に注目する村長とガガガ。

 しかし、ラララとコユキに食われて、あっという間にプリンは無くなった。村長もガガガも興味津々なのに既にそれはない。


「これはプリンと言うものです」


「プリン?」←ラララ

「美味しかった」←コユキ


「本当?美味しかった?」

「「はい」」

 うむ。やはり異世界ではプリンは効果抜群だ。


「皆さんにも食べてもらおう。ラララ、コユキ、手伝って」

「はい」←ラララ

「はい。それとおかわり」←コユキ


 物陰に隠れて俺は30個以上のプリンを出して、それをコユキとラララが皆のところにどんどん運ぶ。そして皆に行き渡った。


「これはプリンと言うものです。どうぞお召し上がり下さい!」


 珍しそうに眺めたり、つついたり、揺らしたりする村人たち。

 だが・・


「ウマイ!」

「アマイ!」

「不思議!」

「初めて!」

「つめたーい」

 と、喜びの声がどんどん上がる。


 席を回りながら感想を聞くと皆満足らしい。

 まあ、この世界にプリンは無いだろうしな。都会育ちのコユキも知らなかったので予想出来たけど。


「いかがですか、プリンは。手にはいったのでお出ししました」

「外の世界にはこんなものがあるのですか」

「ええ、まあ」


「これをユキオ様が作ったのですか?」

「ええと、まあ」


「さっきコユキさんが作っってたのですか?」

「あーそうかも」


 もうどうでもいいや。

 なんだかんだ言っても皆話聞いてねえし、出所の説明出来ないし。


 そして、定番だが『プリンで異世界人を驚かせる』のは成功した。

 だが、世界は広かった。


 向こうのテーブルに居るおっさん達。

 漬物皿からキムチをとって『キムチプリン』を作りやがった!

 しかも、ウマイウマイと盛り上がってる・・・・




 異世界恐るべし。

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