村に帰って来た
郊外の本拠地を撤収して、ヤクオクで中古車を取り寄せた。
車種はやはりジムニー(だと思う)
こんなでかいものが出てきたら、慣れが出てきたコユキもさすがに驚いた。
まずは俺が乗って試運転。動いたのを見て、これが一体何なのかコユキは漸く理解した。
オクの説明欄にかいてあったとおりちゃんと動く。
この間もそうだったけど、今日も晴天だからスタックしにくいはず。まあ、スタックしても左手に戻してもう一回出せばいいだけだが。
そして今回、ガソリンを手に入れた。
まさか通販でガソリンを買えるとは思わなかった。しかも混合ガソリンではなくレギュラー、災害備蓄用。これで燃料問題はなくなった。
だが給油作業、これが結構大変だった。ガソリンが1リットル容器入り。しかも昭和の缶切りのようなもので穴開けて出すとは。
コユキと二人で穴開けてガソリンをオイルピッチャーに移してから車に。
一体どれだけ入るんだ?といれ続け、37缶目で漸く満タンになった。
空き缶は取りあえず回収。
さて。
「コユキ乗って」
俺が指差したのは運転席。
「いやいやいやいやいや」
「まあまあまあまあまあ」
「いやいやいやいやいや」
「さあさあさあさあさあ」
「死にます!無理です!」
「死なない!多分!」
「多分って!やっぱり!」
「そんときゃヒールするから!」
「いやいや、そういう問題じゃなくて!」
「命令!」
「ええっー!」
どうやら俺が試運転で何回か飛ばした所を見てびびっているコユキ。でもこれで昨夜からの悲しい表情は消えた。今は恐怖の表情だ。
無理やりコユキを運転席に押し込み、ペダル踏ませて椅子位置調整。コユキが乗ったまま椅子掴んで前後調整するとコユキいい臭い!ついでに背もたれ調整やろうとしたらレバー引いた瞬間にバネにびびったコユキ前倒!そこを手で支えればラッキースケベでおっぱいゲットなのだが、慌てて出した手がガツンとハンドルに当たり突き指した。いてえ。
ポジションは整った。
最後はシートベルトすると、おおう!パイスラ!
くっ、爆乳時代だっら・・・・(今でも素晴らしゅう御座います)
そして素人講習開始。
ガガカの時に比べればなんて優しい教え方。
なんやかんやでコユキは運転マスターした(無免許)
「さあ、出発だ」
そういって走り初めたが、実はコユキも道をよくわかってない。都会暮らしで田舎にはあまり出ないらしいし。だけれど、いいもの見つけた。
ガガガ号のタイヤの痕跡!
これで一安心。
それにはコユキも安心したらしい。何せ、同じ道を既に通った人が居るというのは心づよい。ガガガ号の跡を見ればぬかるみも読み易い。しかも、慌てて夜走った時と昼間ではガガガのコースが所々違う。降りずに抜けられるコースはちゃんとあった。やっぱり昼間に移動するべきなんだな。
「昼飯にしよう」
「助かった・・」
相当緊張してたらしい。
昼飯は食パン。
柔らかいパンは高級品とのことでコユキは感動してた。一般人は見た目はパンで材料は芋なのを食べてるのだそうだ。
味付けはジャム各種、マーガリン、ピーナッツクリームと色々出したが、コユキはブルーベリージャムが一番ウマイと言っていた。
飲み物は水とーー
「なんですか?それ」
「一口いってみるかい?」
マワしのみとかは気にしない。間接キッスなんのその。
ぶほぉ!
コユキ、初コーラ。
「ど、毒!」
「毒じゃない!」
炭酸の感触、劇薬のようなものと思ったらしい。
そしてコユキは水に戻った。
コーラ、ウマイのに。
因みにジュース類は問題ないようだ。そして食事は終わった。
「不安です」
そう溢すコユキ。
「ギルド嬢だったこと?」
「ええ」
これは永遠に彼女について回る枷。いくら改心したといっても過去は消せない。
田舎の村もギルドから度々搾取されている。食料とか女とか。
これから行く村もラララが誘拐され、トムムが死に、食料が奪われたばかりだ。
コユキとしては顔を合わせづらい。
「ギルド嬢だったことは明かさないよ。ただ、ガガガには説明する」
「ガガガって、ユキオ様と一緒に来た人ですか?」
「そう。ラララにも」
「ラララにも?」
「ラララとガガガは君より先に俺に忠誠を誓ってる。いわば君の仲間だ」
「そうだったんですね」
そして、一番いいづらい事を説明した。死んだトムムとラララの関係。そして、助かったガガガとは違い自分のせいで死なせたトムムのこと。
「だから俺もラララに会わせる顔がないんだ。唯一助けられた俺が助けなかったんだから」
「ユキオ様もそんなことが」
「みんな幸せならいいのに」
「そうですね」
そしてコユキの素性をどう扱うかは様子見にした。つまり、先送り。
そうして日暮れ前どころかまだ暑いうちに村に到着した。
村の家々に混じって置かれてるガガガ号。ああ、二人も無事か。
そして、村人達に囲まれた。
皆驚いている。
スーパーモデルコユキに。
そりゃそうだろう。
村に美人はあんまり居ない。村では美人は奪われてしまう宿命なので、地味子遺伝子が強くなる。美女遺伝子は残らない。
因みに男は奪われないから普通にイケメンからモブまで揃ってる。村でも美女が生まれる事があるが、父親のいいとこ取りの顔らしい。
あれ?
コユキって実はイイトコの娘?
ううーん、村の男達が大変なことになってる。こりゃ大変だ。(主に妻帯者が)
そして村長リリイの家に行く。(コユキも)
挨拶を済ませ、もうしばらく村に居ると告げた。
「ガガガとラララはどうしてます?」
「ガガガは畑だろう。ラララは森に行った。夕方には戻るだろう」
「そうですか。元気なら良かった」
「ユキオよ。どうかラララを頼む」
深々と頭を下げる村長。
「どうしたのですか」
「今あの子が不憫で仕方ない。トムムが死んだのはラララにとって辛い事だが、それ以上にトムムが死んだのはラララのせいだとラララを責める者もおる。無論、トムムは覚悟の死だ。己が心に従って死んだまで。だが、村人の中にはラララに辛く当たる者もおる」
「そんな・・」
「本来、贄の子が消えて村人を助ける。だが逆になった。ラララは戻って来てしまった。今もラララは森に一人で芋掘りに行っとる。村人と一緒に畑に居れないのだよ。贄の子は不幸だ。だが今のラララはもっと不幸だ」
ラララが辛い目にあっている。生きてさえいればと思ったが、生き地獄。
恋人のトムムが死に、自身は責められる。いっそ、村に戻らず町に残した方が良かったのだろうか。
だが、死んだトムムにも会わせてやりたかった。ラララも会いたかったろう。
それに、ラララを村から出しても次の贄の子が指名される。
「村長、ラララは私が面倒見ます」
「すまない」
「鬼を10頭倒すのもしなくてはいけないし」
「あれは、もう・・」
「いえ、これは約束です。ラララを貰う時の約束です」
「すまない」
村長としても、鬼については有耶無耶だった。無しにしてもいいのだろう。
だが、正式に交わした約束だ。
村にとっても鬼退治はいいことのはず。だから村長も遠慮したが受け入れたのだろう。
そして、夕方帰って来たラララと再会。
「ただいま。ラララ」
「会えて嬉しいですユキオ様」
ラララの顔が暗い。
夜は俺チームだけで車の所に集まる。
夜会である。
自己紹介するが、各々素性は言わない。よく考えれば俺が明かしてない。あれは言えねえ。
夕食は俺チーム四人で離れた場所で鍋。車二台も少し移動させた。鍋自体は村料理にもあるが、食材が豪華。ラララ、ガガガにも好評だ。
そして、鍋完食しろと笑顔でコユキが迫る。ううむ、目的は鍋本体か。
そして夜は車で寝ることにした。
というのは、ラララは村に帰ってからずっと一人で車で寝てるという。心苦しくて家に入れないのだ。と、いうことで車中泊にした。(ガガガ除く)
俺がガガガ号で、ラララとコユキがコユキ号。
寂しそうな顔のラララに、
「一緒に寝ましょう」
と、誘う優しいコユキ。
車に入って一分後・・・・
「ユキオ様!風呂!風呂出して!ラララきたない!」
血相変えて出てくるコユキ。俺の方の窓をバンバン叩く!
ああ、そうだった。
この村は風呂が無い。
コユキは都会暮らし。
気になるよなあ。
離れた場所に風呂一式設置して、俺は湯沸かしさせられた。
ちらっと見ればあんまりにもコユキがガシガシ洗うもんだからラララが逃げようと狭い風呂で右に左に。
「何見てるんですか!もっとお湯!」
怒られた。
お湯追加したら、
「あっち行って下さい!」
コユキの目が怖い。これは二人風呂!
すぐさま離れるが、地面に伏せて草を被る。
後ろ姿だけど、コユキの裸が見れてラッキー!
おい、ガガガ。
なぜお前がここに居る?
この作品では明確にジムニーと書いてませんが、(嘘つけ)
ジムニーっぽい車種は何があるだろうと調べたら、
ジムニーシエラ
テリオスキッド
パジェロミニ
AZオフロード
このくらいです
シエラをオッケーとするなら、パジェロイオも有り