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醤油製作 構うこたない、やっちまえ!

 私の野望でありツバキさんの仕事のザル蕎麦開発。

 ここはウエアル。穀物は割りと簡単に手に入る。米、もち米、麦、大豆、他。蕎麦もだ。


 蕎麦打ちはなんとかなった。手間がかかるので蕎麦打ち専業に従業員を雇うことも検討している。


 問題は醤油。

 ウエアルでは日本にある穀物は手に入る。

 しかし、醤油を作るという文化は無かった。

 貴重な穀物を調味料にしてしまうなど贅沢過ぎるのだ。大豆や麦は主食にするもので調味料程度には勿体なくて使えない。

 だけど、酒は平気で作るのよね。人間って我が儘だ。


 ユキオさんにタブレット出して貰って醤油作りの動画を見ようと思ったのにこの世界には電波が飛んで居ない。当然電話線もない。


 ならば今週の友弥へのメッセージは、


『醤油製作解説DVD作って。違法コピ許す!』


 後はユキオさんからポータブルDVDプレイヤー出して貰って準備万端。

 PCやタブレットはネットに繋がらないと何かと不具合出るけど、単純なDVD再生機なら問題なし!

 オーバーテクノロジー?

 しらん!

 醤油が手に入るなら構わん。

 神子が種の保存するなら私は文化の保存だよ!

 いーんだよ!

 ヒャッハーの世界では醤油製作どころじゃないからこっちの世界に醤油製法残すんだよ!


 さて、友弥が某動画サイトから違法コピーしたDVDが数枚翌日届いた。うちの旦那マジ有能!


 そして醤油製法の極秘上映会。

 メンバーはツバキさんと部下二人。

 DVDプレイヤーが極秘なのもあるが、なにより極秘なのは醤油の製法。

 部外者を完全シャットアウトしてキーボードのないノートパソコンのようなプレイヤーの電源オン。


「なにこれ!」

「なにこれ!」

「なんだこれ!」


 この世界ではフルカラーの写真すらないのに動画なんか見せたら大騒ぎ。音まで出てるし。

 煩いなあ。

 大事なのは中身だよ。

 これ(動画)見せときゃ大丈夫と思ったのにそんなには甘くなかった。

 動画の言葉がツバキさん達に通じない。

 私は普通にこの世界の言葉が通じるから気付かなかったわ。一般人は日本語解るわけないか。てか、私の能力凄すぎる。この世界に落っことされただけなのに。


 再生しながら同時解説して二作観た。

 異文化の習得は辛いかなと思ったけれど、ツバキさんはそんな私の心配を良い意味で裏切ってくれた。

 元は酒蔵のおかみさんのツバキさん。

 動画観ただけで醤油の作り方の基本は理解した!

 後は麹の選定と施設と試作。

 麹はユキオさんから取り寄せて貰おうかと思ったが、なんとアテがあるという。しかも何種類も。この人マジ有能!

 とはいえ、醤油は作るのに月日がかかる。

 その間はユキオさんから出来合いを出して貰うけれど、この期間にツバキさんはこの世界の人向けの出汁の調合をするという。

 私は鰹だしが好きなんだけれど、ツバキさんのイチオシはこの世界の辛いキュウリみたいな野菜を熟成させて絞った辛いタレを醤油に混ぜたものだ。


「辛!」


 酸味と辛味が強い。入れすぎると大騒ぎ!

 それが私の感想。

 そうか、これは私達のワサビやカラシのようなものか。風味と辛味。


 うむ。

 商品の味付けは現地人に任せよう。



 因みにクラリスはここにたまに日本から取り寄せた素麺の乾麺もって現れて、勝手に茹でて私用の鰹だしめんつゆで食べている。

 いつものように素麺短く切ってヘラに載せてぱくり。

 それはいい。

 なんで醤油が無いときに、素麺にラズベリージャムみたいなの載せて食べるの?


 解せぬ。


 だがこれがツバキさんの目に止まった。


 水から上げた素麺は水気が抜けるとくっついちゃってダマになる。

 この性質を利用して、一口分づつ巻いたくっつき素麺に色んな物をトッピングして盛り付ける。載せるものは多種多様。おかずのようなものや、肉、ジャム、あんこ。


 そうか、これは寿司か!


 日本の寿司はシャリの上に色んな物を載せて楽しむ。

 一方、こちらは味の薄い素麺に味の濃いものを載せて食べる。

 正に寿司だよ!


 ツバキさんの一口素麺の試食会は大成功。称賛の嵐で評判良い!

 そして商品化!

 やったね!



 ぱくっ。

「・・・・・・」


 やっぱ、鰹だしのめんつゆがいいわ。



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