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【テニス】オーリンチームが来た 【団体戦】

 遂にコユキさん率いるオーリンテニスチームと私率いるウエアルテニスチームの対決の日がやってきた!


 ウエアルとオーリン。

 この二つの町は実質この世界を二分する二大強国だ。

 オーリンはかつては最弱の町だったのに、現在世界の中心で、ギルド時代は世界の中心だったタクトウを今は属国としている。

 対するウエアルは、実質領主のサクラ姫はクロマツ生まれで、クロマツはサクラ姫の母親モモカが領主をしている。つまり、ウエアルとクロマツは同盟国と言ってもいい。


 ギルド時代は、

 タクトウ > ウエアル > クロマツ > オーリン

 だったのだが現在は、


 オーリン > ウエアル > クロマツ > タクトウ


 になってしまっている。

 かつてはギルド発祥の地で一番強かったタクトウは、支配者層がすっぽり消え去り大混乱に陥った。現在はオーリンの支配下にある。オーリンの職員が駐留して政治・経済を回している。


 オーリンはギルド時代は田舎過ぎ産業が無さすぎて魅力が無い町だった。お陰でギルドも力が無かった。

 そしてオーリンは救世主ユキオが最初に降り立った地である。全てはそこから始まった。100年経てば聖地と呼ばれるかもしれない。



 オーリンテニスチームがやってきた。

 サクラ姫をはじめとする城の役員が城正面で出迎え、ウエアルテニスチームは向かって右サイドに並ぶ。

 そして左サイドには雑務の職員とユキオさん。

 ウエアル城に現れたのはエチゴヤを先頭にした総勢20名の選手団。(レギュラーは三人)


 ん?


 なんで御奉行様?

 特使かな?

 先頭が奉行エチゴヤでしょ、その少し後ろにコユキさん。で、その後を若い衆がぞろぞろ。


 サクラ姫が出迎える。

 後ろにはキリさんと奉行。

「お待ちしておりました、エチゴヤ様。お会いできて光栄です。長旅お疲れになったでしょう。部屋と食事を用意しております。そして有意義な5日間に致しましょう」



「サクラ姫。またお会いできて嬉しいぞ。まだ食事には早い。早速だが練習場を使わせて貰えないだろうか。身体は適度に動かしてこそ甦る」


 ん?


 まさか・・・ね。


「では、お部屋に案内致します。その後、このキリが練習場へ案内致します」

 キリさんが一歩出て頭を下げる。


「かたじけない。者共、荷物を置いたら支度をして一番から九番までここに集合だ。十番から十八番はここに残ってサクラ姫の指示に従え。サクラ姫、半分残して行く。雑用でも仕事でも好きに使ってくだされ」


「分かりました。では」

「解散!」


 奉行エチゴヤの号令の後、若い衆が一斉に移動を始める。城の職員が部屋に案内したりトイレ教えたりワラワラしてる。

 そこでやっとサクラ姫とエチゴヤさんが砕けた歓談を始める。知らぬ仲じゃ無い筈だ。位が高い者同士だし、サクラ姫は逃亡生活の時代にオーリンに匿って貰ってる。


 そして私は気になることを解決したかった。

 そそそとコユキさんに近付く。今日のコユキさんはちょっといい衣装。なんつうか公務用の綺麗なすっとした服。えっと、式典衣装かな?


「お早うございます。ええとコユキさん。オーリンの選手って誰ですか?」


「おう、佳子。私とエチゴヤとカツオだ」


「ええっ!」


 ただの特使かと思ったら選手だったよ、御奉行様!

 まじかい!


「コユキさん、コユキさん、コユキさん!まさか副将、いや、次鋒ってまさか!」


「エチゴヤだ」

 コユキさんがニヤリとする。


「嘘っ!」

 やべえ、変な汗が出てきた。

 私、次鋒なんだよ!

 こんな偉い人と試合するの?無礼だとか言われない?


「そうか、佳子も次鋒か。災難だったな。エチゴヤは強いぞ」


「え?」


「かつてオーリンが何故ギルドに完全に蹂躙されてなかったと思う?他の町がギルドに屈服したのにオーリンはギリギリ持ちこたえた。それはエチゴヤをはじめとして優秀な人材が居たからだ。エチゴヤの意思の強さには私は足元にも及ばん」


 そうだ。

 かつてコユキさんは仕方無いとは言え、ギルドに屈服した。だが考えればエチゴヤさんにも似たような精神攻撃は有った筈だ、間違いない。そして折れなかった。

 そういう人なのだ。

 だからユキオさんが現れてから、すぐ町を持ち直す事が出来た。考えれば四つの町の中で領主と幹部が変わってないのはオーリンだけだ。

 恐らくは領主オーリンも強い人なのだ。


 そしてたった一月ちょいで未知の競技を習得して選手になった。

 テニスは運動能力も求められるが、一度試合が始まれば頭脳戦でもある。ゲームの組み立ても自分でする。メンタルコントロールも。

 そして試合中はコーチや外野はコーチングしてはならないという決まりがある。

 誰かに喝をいれてもらうとか外部からの作戦授与は出来ない。


 向こうがテニス原始人だと思っていると痛い目に合うのは私だ。


 とか、考えてたら奉行エチゴヤもとい次鋒エチゴヤがこちらに来た。

「佳子殿、次鋒だそうだな。当日を楽しみにしている」


「は、はひっ!」

 かんだ。


「佳子殿が大将だと思っておったのだかな」


「リーダーなのに情けないです」


「それを言えば私も同じだ。身分だけ偉くても大将にはなれん。どうやってもコユキには勝てんかった。似た者同士だな」


「いやあ」

 なんと言っていいやら。


「ではウエアルの大将は誰なのだ?」


「クラリスです」


「クラリス?はて誰だ?」

私はあれがクラリスだと、ウエアルチームにいるクラリスを指差すがエチゴヤさんには面識がない。

 あー、クラリスはオーリンには行ってないからなあ。見たことないか。

 よく考えたらクラリスってウエアル在住だけど、所有者はオーリンのラララさんなんだった。とはいえ、ウエアルの備品扱い。勝手にうちのチームにつかっちゃってるけど。

 どうなるんだこれ?


 うん、黙っとこう。




 だが。


「そうか、あの女と勝負出きるのか」




 目が血走ってる人がいた。

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