サクラサク
地球ではもう春なんだろうなあなんて思ってた。←地球と日本をごっちゃにしてる。
【サクラサク】
なんか嬉しそうにサクラ姫が友弥からのメッセージを持ってきた。
私は友弥からのメッセージに絶句した!いつもとは違い十文字にも満たない言葉。
おいおい、まじかよ!
友弥は頭よかったけど、東大目論んでから半年ちょいで合格しやがった!
すげえええええええ!
それと、サクラ姫とサクラサクは関係ないからね!
これはお祝いのメッセージを出さねば!と思ってからはたと思った。
「ここに来てから勉強してないわ・・・」
半年以上勉強してない、いやもっとだ。
いつ帰れるか分からないけど、帰ってからはとりあえず生活せねばならん。なんかの活動するにも生きるにも金は要る。金のためには就職だ。
「このまま帰っても中卒だわ、私」
サラ・コナーをする前に就職をしなければ。いやいや、高卒認定取らないと。大学は無理かなあ。行きたかったなあ。日本に帰ってから勉強しなおして高卒認定とって大学目指すと皆が卒業する頃にやっと入学かもしれん。もっと遅いかも。
友弥と結婚したらどうなるの?
夫は東大。
妻は中卒。
いやあああああああ!
友弥ごめん!
そして友弥へのメッセージ。
【祝合格!帰ったらマジで勉強教えて下さい】
ーーーーーーーー
何の因果か友弥が受験のために辞めたテニスに私がドはまりしてる。
近いうちにオーリンのテニスチームとの対決がある。
向こうはコユキさん率いる鬼斬りの精鋭部隊とエチゴヤの若い衆。
対するこちらはウエアルの鬼斬りと奉行所剣士。当然リーダーは私。
ユキオさんはどちらにも属さない。ユキオさん曰く、
「俺無敵だから」
だそうだ。
そして、我チームのサーブ練習に割り込んできたユキオさん。
ならばと、私もレシーブの順番を無視して割り込み、ユキオさんに対峙した。リーダーの我が儘だ。
そして右サイドに立つユキオさん。ぽーん、ぽーん、と二球打った。反対サイドは別の人が使ってるのでサイドチェンジは無い。多分これは肩慣らし。リターンもサーバーにボール返却程度の強さでする。そしてラケットで受けとるユキオさん。
三球目、ユキオさんのフォームが一変する!
高いトスとは裏腹に低く反った上半身。
バン!
速っ!
曲がっ!
時速二百キロ超えの曲がるサーブがサービスエリアの角を叩いて私の遥か右に消えた。外野から歓声が上がる。
これは追い出すサーブだと直感したが、ボールはそんな私を寄せ付けず遥か右に消えた。凄すぎる。
相手がユキオさんだからと諦めてはいけない。恐らくはコユキさんも殺人サーブを打ってくる筈。あの人は絶対そうだ。
だからこれは貴重な体験になる。
四球目、センターに見せかけたサイド!
思った通り右に落ちるがやっぱり取れない。
ここまでフォルト無し。
試合なら一ゲーム取られてる。だが、三球目からが開始だとすれば、まだ(0ー30)だが。
皆が見ている。
ここでのエースは私。
一番強い私がユキオさんに下るのか。
判っている、勝てない。
でも、全敗はゴメンだ。一球くらいは返す!
五球目。
もう、サイドは打たない・・・とみせかけてサイドもあり得る。それともセンターか?
いや、違う。
ボディーだ!
ユキオさんのサーブは私が居たところにとんでもない速度で飛び込んできた!
ボディ。
それは見えてても一番取りにくい場所。長いラケットは振ってこそ威力が出る。体に近すぎるボールは当てて返すだけになりがちで、返してもその後カモにされる。
ユキオさんのインパクトに合わせて左に一歩ズレてコンパクトフォアの構え!フルスイングは不味い。かといってハーフボレーで返すなんてごめんだ!
ボンっ!
返した!
読んでた私は確かに当てた!
ユキオさんに向かっていくボールをユキオさんはワンバンで回収した。打ち返さない。
「アウト。50センチ」
非情なユキオさんの言葉。
私のリターンは50センチも線をオーバーした。
リターン失敗である。
私的カウントなら(0-40)
次が崖っぷちの一球。
確かに私はここでは一番強い。進化ヒールもした。
しかし、目の前に居るのは絶対強者。
次はどうする?
一歩前に出たくらいでは揺さぶりにもならないし、前で打つには私は弱すぎる。かといってラインから大きく引けば逃げるサーブの餌食だ。
ただただ受けるしかない!
次はクロスかストレートか、またボディか?
違う!
きっと!
あからさまに違うユキオさんのフォーム。
ネットダッシュする私!
ぽっとんサーブだ!
それは一試合に一回使えるかどうかの変則技。(反則ではない)
辛うじてネットを越える程度の超超超ショートサーブ!
取れる!
弛い球速。
既に落ちだしてる弾道。
読んで既に駆け出した私!
取れる!
サーブは既にワンバウンドを終えていて、ツーバウンドまでのカウントダウンが始まっている!しかも横向きの回転かけられてて私からボールが逃げる!
返せばいい。
だがそれだけだと試合ならその後カモになる。
私はやっとこさラケットの先端付近で拾い、ネット越しのクロスで打ち返した!
取ったどーーー!
心の中でドヤガッツ!
「あっ」
ざざーー!
ネットに突っ込んでもーた・・・
底引き網にかかったアザラシのような私。
ギリギリで倒れないように、ネットに触らないようにしてたのに持ちこたえられなかったよ・・・
「あううううう」
※ポイントが確定する前にネットに触ってはいけません。
せめて私が転ぶのが、リターンしたボールがツーバウンドした後だったなら良かったのに・・・
敗北です。
はい。