ユキオ、異世界へ
暇つぶしにどうぞ
なろうではよくある話です
俺は村田幸男。
地元高校に通う男子高校生。
現在、ぼっち、不登校で卒業が無理っぽくなって家族にも疎まれている。
クラスの者には無視され、影で暴力を振るわれ、それを見かけた人も助けてはくれない。
授業でペアもグループ作りも俺には地獄。家に帰れば妹にも盛大に嫌われてる。
もう学校には行かない。部屋の中だけが俺の居場所。
さっき突然部屋のWi-Fiが切れたので慌てて光モデムを見たがちゃんと電源は入っている。
でもPcはネットと繋がらない。スマホを持たない引きこもりの俺にとって自宅回線は生命線。
そこに母親が、
「プロバイダー解約したわ。ちゃんと学校に行きなさい」
学校に行かず部屋に引きこもって無料漫画、無料小説、無料動画、無課金でゲームしていた俺を無理やり部屋から出すためにそんな手を打ったと言いやがった。妹は「あんたのせいで私までとばっちり受けたじゃない!」と言ってるけど、スマホ持ちじゃねーか!それあるだけマシだろ!
くっそ!
俺は家を飛び出して夜の町を走った!
ゆるゆるのジャージとサンダル。財布は持ってないし、行く宛もない。
たどり着いたのは祭りのとき以外は人気のない神社。俺はひとりになりくてここに来た。誰にも会いたくない。
暗くて静かな神社。
視界は満月のおかげか割と明るい。
子供の頃来た以来だけどこんなに狭かったっけ?
巨大だと思ってた社は案外小さく、敷地内公園の遊具のブランコは思ってたより低い。グラウンドのように広いと思ってた境内は走る価値がないほど狭い。
「こんなだったんだ」
小学校の頃は友達と遊んだ場所。オモチャがなくても場所と友達さえいれば楽しかった。今はその友達は敵。
なんだか悲しくなる。どうしてこうなったんだろう。
あの頃は自分の明るい未来を疑って無かった。
皆と仲良く一緒に大人になると信じてた。高校行かず引きこもりで大学も就職も諦めてる。でも自分を変えられない。
もう、知らない土地で新たにやり直したい。全てをリセットしたい。
「遠くにいきたい」
そう思って呟いた。
でも、無理だろ。
家を出たら生きていけない。就職してない、小遣いは全て使いきった。子供に無意味な独り暮らしをさせるほど裕福な我が家てはないのは判ってる。もし、独り暮らしを始められても就職活動は中卒だから厳しすぎる。特技があるわけでもない。それどころか引きこもっていて筋肉はないし、ぶよぶよだから体力仕事も無理だ。というか嫌だ。
『・・・・った』
?
何か聞こえた。
だけどここには俺しか居ない筈。
『村田幸男を確保。転送シークエンス開始。3・2・1・・・・』
その声は声じゃない!
全てに響いて聞こえる!
まるでアナウンス!
でもこの神社にも町内にもスピーカーなんてない!(筈)
それに、この声は綺麗過ぎる!
!
俺の体がふわっと浮く!
足が地面を離れる!
怖い!
地面を離れた俺の体は空に舞い上がった!どんどん高くなる。
眼下に神社。更に昇ると街が全て見える。神社、自宅、小学校、中学校、高校も商店街もすべて見えるほど高い!百メートル?二百メートル?いやもっと?
一体何が起きてるんだ?
この超常現象はなに?
そして上昇は止まり、俺は恐怖した。
海が見える・・・・
晴れた月夜。
夜なのに見える海と真下の陸。山すら遥か下。
今、高度何メートルなんだ、一キロどころじゃないかも・・・・
そして体を浮かせてる何かの力が消える。
「うあ、え?そんな!」
落下を始める俺。
自由落下する、足から。
僅か数秒で景色を目で追えない速度になる。
怖い!
だけど、たったひとつだけ目視できるものがある。
俺が落ちると思われるその場所にあるそれ。
風速のせいで目を開けられないということはなく、それだけは見える。見せつけられてる?
あ。
俺はその夜、上空数千メートルから大型トラックに激突した。