6章 プロローグ 世界の罪の重さを知る少女たち
短めですが新章突入です。
現役の大臣が建てた豪邸。
そこには異色を放つ4人の魔法少女がいた。
姫騎士を思わせる姿をした少女――美珠倫世。
無頓着な美貌に裸エプロンという奇怪な格好の少女――天美リリス。
奈落のごとき絶望を目に宿している人形じみた少女――星宮雲母。
妖しい雰囲気を放つ猫耳の女性――三毛寧々子。
統一感のない面々。
それも当然のことだろう。
彼女たちは《逆十字魔女団》。
彼女たちは皆、世界を救った魔法少女。
別々の世代に生まれ、別々の脅威から世界を救った少女たちなのだから。
そして今、彼女たちは新しい戦場に身を投じていた。
「ついに今日――私たちの戦いが始まるわ」
そう倫世が告げた。
彼女の言葉を3人の少女は静かに聞いている。
リリスは頬杖をついて。
雲母は椅子で膝を抱えて。
寧々子は壁に身を預け、小さく微笑みながら。
「今日。私たち《逆十字魔女団》は宿願へと至るのよ」
倫世は宣言する。
戦いの始まりを。
「ついに清算する日が来たのよ」
「この罪深い世界を――浄罪する日が」
倫世が腕を上げた。
収束する光の粒子。
それは一つの形を取り――大剣となった。
「私たち《逆十字魔女団》は――魔法少女システムを破壊する」
「……きっとそれが一番にゃん」
寧々子は静かにそう言った。
彼女たちにはある共通項がある。
世界の深淵を――世界の真実を知ってしまった。
魔法少女の――その裏にある犠牲を知ってしまった。
だから彼女たちは戦うのだ。
「世界を根本からひっくり返す。破滅的だヨォ」
リリスは愉悦に表情を歪めた。
倫世たちがする戦いは世界を覆すものだ。
それこそ、本当に世界を崩壊させかねない暴挙。
「わたしは――死ねるのならそれでいい」
雲母は目を伏せる。
彼女はそうだった。
この戦いの中で死ぬ。
それが彼女の願い。
世界の真実に到達すれば、死ねると彼女は信じている。
「それじゃあ行こうか『リーダー』さん」
そうリリスは口にした。
彼女の言葉に倫世は頷く。
「そうね――団長が待っているもの」
美珠倫世は《逆十字魔女団》のリーダーだ。
しかし《逆十字魔女団》ならば当然――いるはずなのだ。
――団長が。
「行きましょう」
「世界の犠牲者を、救うための戦いに」
――《逆十字魔女団》は扉を開けた。
3章エピローグにおいて、《逆十字魔女団》は『副団長の存在に言及している』のに、『倫世をリーダーと呼んでいる』んですよね。
6章は悠乃たちと、先代魔王の復活を目論む《残党軍》、そして魔法少女システムの破壊を目指す《逆十字魔女団》の戦いとなります。
そして、ついにマリアが記憶を完全に取り戻す章となります。




