ジャムトーストさえ齧っていれば
今日も多くの人が、私の知らないところで死んでいる。
多くの悲しみが生まれ、零した涙が争いの種々に潤いを与えた。
そして、争いの花々が咲き誇り、また悲しみを生んだ。
大義名分を持たない怒りが、世の中に光化学スモッグのようにモクモクと浮かんでいる。
それは視界を白ぼんやりとさせ、鼻がむずむずとして、そして時折咳払いをしたくなる。
ああ、耐えられないなぁ。
家に帰って、食パンをトースターに放り込むと、焼きあがるまでの3分間で牛乳をマグカップに注いだ。
こんがりと焼きあがったトーストにイチゴジャムをたっぷりと塗り込んで、ガブリと齧った。
ああ、幸せだ。
このよのなかのかなしみよ、いかりよ
ぼくにふりかかるかなしみよ、いかりよ
どこにもいけないなら、そこにありつづけよ
ぼくはジャムトーストを齧ってるからさ。
終わり